オタクが旅する、イーハトーヴの道中記 DAY1
どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません。
——宮沢賢治『注文の多い料理店』
2016年、8月の終わり。
私は、岩手県の花巻・盛岡を旅した。
東京からはるばる新幹線に乗って2泊3日。爽やかで心地よい夏の東北。
宮沢賢治は1896年8月27日に生まれたと言われているため、今年はちょうど生誕120周年のアニバーサリーイヤーにあたる。ピンポイントでこの年を狙った私は、さらに生誕記念日にドンピシャの8月26日〜28日という日程で旅行を計画した。
だって私は賢治マニア。オタク心が騒いでしまったのだ。
どうしてもこの記念すべき年に聖地へ行かねば!
綿密にスケジュールを練って、関連スポットを網羅。
我ながら、賢治ファンにぜひおすすめしたい聖地巡礼プランが仕上がった。
旅の記録も兼ねて、3日間に分けて紀行文を綴ろうと思う。
----DAY1----
上野駅から新幹線に乗り、新花巻駅へ出発。
駅に着くと早速、賢治作品のモチーフが出迎えてくれた。
『セロ弾きのゴーシュ』ほか。
晩年の傑作『グスコーブドリの伝記』よりブドリとネリ。
これは映画版のキャラクター。
看板を頼りに、まずは宮沢賢治記念館へ向かってみる。
広場で小休憩。屋台で売っていたイワナの塩焼きと玉こんにゃくが美味しかった。
こんなオタクグッz……かわいいお土産もゲット。中身はポストカードや食品など。
敷地内には輝くオブジェや、物語をモチーフにした構造物が沢山ある。
館内にも作品をテーマにしたさまざまな展示があるので、これはぜひ行ってみてほしい。
観賞後はお茶をしようと、次の目的地である注文の多い料理店・山猫軒へ。
ここのアクセスは徒歩ではやや遠いので、バスがおすすめ。
物語を彷彿とさせるメニューを楽しむことができる。
時刻はあっという間に夜に。ここでもう一度、記念館のほうへ戻って夜のライトアップを見てみる。
花巻の地に広がる幻想的な賢治ワールド。
奥に見えるのは「南十字星(サウザンクロス)」の輝き。
夜の展示を堪能したらいよいよ宿泊。1日目の宿は大沢温泉 湯治屋へ。
ここは「賢治ゆかりの自炊部」として、自炊に必要な食器・調理器具などを揃えてくれている。食堂があるので自炊しなくても泊まれるのが嬉しい。コインランドリーも用意しているので、ワーケーションなどで長期滞在する方もいるのだとか。
古民家風の温かさに、どこか懐かしい気持ちになる。部屋はこぢんまりとしているが、リーズナブルに宿泊できてかなりよかった。温泉も素晴らしい。
夕食にはご当地グルメの盛岡冷麺をチョイス。唐辛子の辛みとスイカの夏らしいサッパリとした甘さが印象的な、見た目にも涼しい一品だ。
翌日の荷物を整えて消灯。
イーハトーヴの夜が更けていった。
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(聖地巡礼の2日目は、賢治ファンなら誰もが憧れる"あれ"に乗って……!)
おやつを恵んでいただけると、心から喜びます。