賢治忌によせて - 「雨ニ負ケテモ」
1933年9月21日。
宮沢賢治が亡くなった。
賢治忌、は秋の季語になった。
秋雨が降る。
やがて、冬に向かう。
***
雨が降るのは、いやだなと思う。
風に吹かれるなら、気持ちいいくらいがいい。
雪が降ると交通機関が止まるから億劫になる。
夏は暑くてすぐバテる。
丈夫でいたいなと思うけど、気づけば風邪を引いている。
物欲がありすぎる。
いつも静かに笑っていられる寛容さがほしいけれど、
よく小さなことでガミガミ怒っている。
玄米よりも白いご飯のほうが何だかんだ言って好きだし、
味噌と野菜は美味しいけど
できればお肉やお魚も食べたいし
ケーキもチョコレートもスナック菓子も食べたいし、
お酒も飲みたいしコーヒーも飲みたい。
めんどくさくなったらカップラーメンで済ませたい。
いつだって主観も私情もいっぱいだ。
何でも理解できるほど頭はよくないし、覚えてもすぐ忘れる。
住むなら交通の便のいいのどかな郊外がいい。
で、耐震がちゃんとしていて雨漏りしないところ。
バストイレ別でコンロは2口以上、オートロックありで洗濯機は室内。
収納多め、お風呂の追い焚きあり、駅近で徒歩10分以内。
ペット可。音楽練習可。2LDKで日照良好。
バカだなー。
欲まみれで、ワガママで。
弱いなあ。
そんな人間でもさ。
病気の子供に、氷枕を作っておかゆを食べさせること。
難病の子に何かできることはないかと考えること。
仕事に家事に忙しい父や母を少しでも手伝うこと。
やがてくる死期を思う人に、何も言えなくても寄り添うこと。
争いの前に、どうにかして平和に解決できないかと声を上げること。
苦にはされたくないけど褒められていたい、そんな人間でもさ。
賢治先生。
こんな俗物です。仏の世界にはまだまだ遠いようです。
それでもね。
***
「雨ニ負ケテモ」
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