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対話するリーダーシップ#4 関係性を見落とさない

あるグローバル企業のアジア太平洋地域のリーダーシッププログラムを担当することにあたって学んでいることをお伝えしてみたいと思います。プログラムでは、深く考え、対話を通じて参加者の個人、組織の変容を促す中で、各地域の伝統的な内省的な考え方にも触れていきます。私自身、人としてのあり方を探るような対話のプラットフォームを作っていくことに興味があり、セキュラーな仏教を通じて学んできたマインドフルネス、瞑想的なあり方という観点からも関わっていくことになりました。学んだこと、問いをここで共有することでビジネスパーソンの方々のご参考になったらと思っています。

Podcastはこちらです。

今回のテーマは「関係性を見落とさない」です。

今回取り上げるのは、システム思考・組織開発コンサルタントのダニエル・キムさんの成功の循環モデルです。

この成功の循環モデル自体は、だいぶ前から提唱されてきたものですので、聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。私自身も、リーダーシップの研修の中で取り上げられていて、まあそうだろうなぁくらいに受け止めていたことを思い出します。特に批判するところもないですし、そこまで印象にも残っていませんでした。

それが、最近、自分自身が関わっているプロジェクトでのオフサイトのミーティングをして、ようやくこのモデルの意味合いを体感、実感することができました。確かにそうだと。実はそのプロジェクト自体は、まだ準備をしている段階ではあるのですけれども、特に「関係性」の質が上がることで、このサイクルが回り始める感覚ができたのでした。

成人の学びでの高名な立教大学・経営学部・中原淳先生は、このモデルについて、このようなブログを書かれていました。

同じく立教大学経営学部で兼任教員をされている留岡一美先生の作られた「関係性の罠」という言葉から、「関係性」が単に仲良くなるだけが志向されてしまうと、同調圧力がはたらき始め、逆に言いたいことが言えなくなってしまうという罠があると指摘されています。また、そもそもよく引用されるモデルなのに、実証もされていないとも先生は指摘されています。確かに定量化も難しそうです。このモデルを提唱されたダニエルさんはアメリカの方なので、日本ほどの同調圧力はなく、個人が個人の意見を主張する環境だから言える概念とも指摘されていました。海外の理論をそのまま文字通り翻訳しても、そのようにはならないのではということで、その通りだと思います。

外資系で長く仕事をしていると、グローバル本社からの言葉が、日本の社員には響かない・・・これは残念ながら日常的に経験することでもあって、単に日本語に翻訳するのではなく、どんな文脈でこのメッセージが出ているのか、どんな意図を持って社員に何をしてほしいと思っているのか、文脈を含めて翻訳することが問われているように思うことも多くありました。

ただ、これは何も外資系という話ではなくて、ビジネスの場では、本社と現場、マーケティングと営業、製造と物流の間、個人の立場の違いでも出てくることだと思います。同じ日本語でも、お互いに違う立場、文脈、背景であったら、違う意味になることがある訳です。

では、改めて、私が今回感じた「関係性」とは、どういったことだったのでしょうか。
プロジェクトは、立場も、年齢も、専門性も違うメンバーだったので、ファシリテーターの方のガイドで、全員が車座に座り、役割ではない名称でお互いを呼び、会議室を離れて話をする場が設けられ、できるだけ均等に意見が出せるような投げかけをしてくださる場になっていました。シニアなメンバーの方が、とてもオープンな態度を持って接してくださっていたことも、とても大きな影響があったように思います。

最後には、各自がプロジェクトに関するメッセージを発表しました。統一した成果を求めるのであれば、あまりにもバラバラだったかもしれません。よくあるのは、グループで話した内容を、最後に誰かがまとめてグループとして発表するというものだと思います。ただ、それぞれの意見をきちんと形にする場というのが、見過ごされていることもあるのではないでしょうか。今回は、何となく話しているだけ(=仲良くなるだけ?)では決して出てこなかったものが、限られた時間の中で、それぞれの持ち味として出てきました。より、プロジェクトのメンバーのダイバーシティがわかったこと自体も成果だったとも言えるかもしれません。ビジネスの現場では、ついつい、成果だけをみてしまいがちです。これからも、関係性を見落とさないように、時々、問いかけてみたいと思います。

本日の問い
ご自身の職場で・・・
それぞれが意見を言える場が作られていますか。
成果を出せるような関係性になっているでしょうか。

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