ティアーズオブザキングダムの考察を書きました。

ティアキンはブレスオブザワイルドの時系列にタイムパラドックスが発生した世界ではないか。

ブレスオブザワイルド、およびティアーズオブザキングダムの時系列について考察する。
結論から言うと、「ブレスオブザワイルドは勇者敗北ルートの続き」、「ティアーズオブザキングダムの過去のハイラルは全く新しい第四の時系列」、「ティアーズオブザキングダムはブレスオブザワイルドの時系列に第四の時系列が干渉したタイムパラドックスが発生した世界」なのではないかと考察している。

まず、「ブレスオブザワイルドは勇者敗北ルートの続き」の根拠について説明する。
作中でも語られていた通り「何度もハイラルはガノンという厄災に見舞われている」という事実と、青沼氏の「最も新しい時代の出来事」という発言から、過去のゼルダ作品を経てきたことは間違いない。
ラネール地方におけるゾーラ族の石碑から、ルト姫の伝説が綴られていることや、各種神獣の名前が賢者の名前から取られていることから、時のオカリナを経由していることが分かる。
そして、諸考察にある通り、ハイラル王家の習わしとして生まれた姫にゼルダという名前を付けるのは初代ゼルダの伝説を経ている根拠となる。

さて、ここで「では、岩塩が存在することや、リト族が存在することについてはどう説明するのか」という点について解説していく。
岩塩に関しては、そもそもスカイウォードソードの時点で海が存在していることから、必ずしも風のタクトを経てハイラルが一度海に沈んだ証拠ではないと言えるだろう。
リト族に関しても風のタクトのリト族とは大きく風貌が異なることから、単純にゾーラ族の環境に適応した新種族であると断言できない部分があり、岩塩とリト族の存在が風のタクトを経由していると確定させることは難しい。
そもそもハイラルを沈めるという願い自体がトライフォースによる強固なものであり、大地の汽笛に至るまで終焉の者の生まれ変わりと見られる者がいないことから、風のタクトのリンクによってトライフォースを巡る輪廻とハイラルの歴史は断ち切られたと考えても良いと思われる。
したがって、大人時代ルートである可能性は低いと考えられる。

次に、子供時代ルートに関してだが、前述の通りゾーラ族の石碑にルト姫が賢者として覚醒していると記載されていることや、神獣の名前が時のオカリナによる賢者たちの名前から取られていることから、それらの出来事がそもそも子供時代ルートでは発生しなかったため、同様にして子供時代ルートである可能性も低いのではないか。

ブレスオブザワイルドに於いてはトライフォースの名前すら失われており、王家の伝承として『聖なる力』とだけ語り継がれていることから、最も多くの作品を経由して一度ハイラル王国が滅びかけた勇者敗北ルートの続きである可能性が濃厚であると考えられる。

では、ブレスオブザワイルドにおける祝詞、「空を舞い、時を廻り、黄昏に染まろうとも」「海を越え、神の作りし黄金を求めんとき」の部分について、なぜ分かれたはずの時系列が同時に語られているのかについて考察すると、考えられるのは「マスターソードはあらゆる時系列の出来事を記憶している」からではないかと考えられる。
これは、スカイウォードソードの辛口モードに於いて、女神の剣を手にした際に「これまでの激しい戦いの記憶を宿していて、剣を天に掲げたときに刃にみなぎるスカイウォードの力が最強になっている」とのことから解釈している。
そのため、ブレスオブザワイルドの祝詞が上記のようになっていることは、ハイラル王家の姫がファイの声を聞き、マスターソードのこれまでの戦いを伝えたものが発祥となっているのではないか。

ちなみに、ゼルダの伝説の世界そのものが歴史改変が行われやすく、特にブレスオブザワイルドはパラレルワールドの発生しやすい時系列であることは予め言っておかなければならない。
厄災の黙示録が代表例で、未来から英傑の子孫たちが救援に来たように、過去時点で未来の出来事も決まってしまっているのである。
また、スカイウォードソードにおいて過去に飛んで終焉の者を倒したりしていることからも、登場人物たちの記憶が保持されたまま、未来が書き変わることが起こり得る世界である。
ムジュラの仮面において時を戻した際にリセットされる事象とそうでない事象があるように、もしかしたら、女神ハイリアか時の女神によって歴史改変が行われる場合は勇者と姫の魂を持つ者に有利になるような干渉が行われるのではないかと個人的に推測する。

さて、ここでやっと「ティアーズオブザキングダムの過去のハイラルは全く新しい第四の時系列」についての解説に移ろうかと思う。
そう考える根拠については、ゾナウ族と秘石の存在、そしてトライフォースとマスターソードの不在にある。

まず、ティアーズオブザキングダムにおける過去のハイラルについて、スカイウォードソードからの地続きであると考えた場合、従来の時系列であればどんなに歴史が進もうとも伝承の残っているトライフォースとマスターソードの存在が過去のハイラルでは全く認知されていないという重大な矛盾が発生する。
また、スカイウォードソード時点でも過去の文明が存在しており、過去の地上がハイリアの地と呼ばれていること、シーカー族が存在していることから、女神ハイリアの信仰はハイラル王国建国前からあったと考えられるだろう。
スカイウォードソードから地続きであった場合、特にマスターソードに関しては過去のハイラルにも存在していないとならないわけで、ゼルダはマスターソードが新生ガノンドロフに対する切り札となることを察していることから、これは想像となるが、その洞察力があれば過去のハイラルにおけるマスターソードを探しているはずではないか、と考える。
それをせずに、わざわざ未来からマスターソードが来る必要があったのは、過去のハイラルにおいてはマスターソードが存在しなかったのではないか。
つまり、マスターソードが生まれる前、スカイウォードソードの出来事が発生する前の時代にラウルらゾナウ族が降り立ちハイラルが建国されたのではないか、と考えられる。

ティアーズオブザキングダムにおけるハイラル建国のタイミングがスカイウォードソード以降であった場合、スカイウォードソードの時の神殿に安置されているマスターソードと未来から来たマスターソードで、マスターソードが2本存在していることになってしまう。
また、龍の泪のムービーにてファイの声が聞こえていることから、今までの戦いもスカイウォードソードを経ていることも間違いない。

つまり、結論から先に言うと、ティアーズオブザキングダムの過去のハイラルは、「どこかの遥か遠い未来で、ハイラル王家の者が、トライフォースに『争いの種となるトライフォースが存在しない世界でハイラルをやり直す』と願い生まれた、スカイウォードソード以前の時代からやり直した全く新しい世界」ではないか、と考察する。

しかしながら、スカイウォードソードの出来事が発生しないならば新生ガノンドロフは終焉の者の生まれ変わりではないのか? と考えると、ティアーズオブザキングダムの序盤にてマスターソードが反応・覚醒していることから、間違いなく新生ガノンドロフは終焉の者の生まれ変わりであると思われる。
つまり、争いの種となるトライフォースのない世界においても、終焉の者のかけた輪廻の呪いは消えず、有効だったのではないか。
マスターソードが過去に飛んだのも、終焉の者の魂を宿したガノンドロフが過去のハイラルに存在するため、退魔の剣としての役目を果たすために時を遡ったのではないかと思う。

これらが、「ティアーズオブザキングダムの過去のハイラルは全く新しい第四の時系列」についての説明である。

そして、「ティアーズオブザキングダムはブレスオブザワイルドの時系列に第四の時系列が干渉したタイムパラドックスが発生した世界」について説明する。

タイムパラドックスによる歴史改変は複数回行われていると思われる。
まず最初に、新生ガノンドロフがティアーズオブザキングダムの世界に来た、つまり「第四の時系列がブレスオブザワイルドの過去の歴史と融合してしまった」のではないかと考える。
終焉の者のかけた呪いは、姫と勇者、そして終焉の者の魂を持つものが惹かれ合い、永遠と争いを続けるという輪廻の呪いである。
ブレスオブザワイルドにて厄災ガノンが打ち倒された時点で終焉の者の呪いが作用し、第四の時系列によって生まれた新生ガノンドロフがブレスオブザワイルドの世界に転移したのではないか。
それぞれの魂が惹かれ合う運命によって、ティアーズオブザキングダムの序盤に繋がるのではないかというのが、自身の考察である。

しかし、皮肉なことに、新生ガノンドロフがブレスオブザワイルドの世界に転移することは、同時にゼルダが過去に飛び、魔王への対策を練ることを確定させていた。
これは、ティアーズオブザキングダムの序盤にて、ガノンドロフのミイラがゼルダをゼルダと認知していることから考えられる。
そして、ゼルダが過去に飛んだのちに、地上絵や天変地異が発生したと作中で語られている通りに、ゼルダが過去に飛んだ時点で二度目の過去改変が行われた。
これは作中の描写でも明らかで、ある程度ブレスオブザワイルドの歴史が保たれたまま、歪んだ形で第四の時系列の歴史がブレスオブザワイルドの世界に持ち込まれたのではないか。

これは、ハイラル城の隠し通路における石碑に刻まれている文章を引用して説明する。
石碑には、「偉大なる初代王 この地深く 魔王を封印す 我ら 王の封印を 強固とする為 聖域を張る その要として ここに城を築くものなり これ失われし時 聖域も失われ 魔王 時と共に復活し その憎悪と怨念が この地に解き放たれん」と書かれている。
この『憎悪と怨念』というのはブレスオブザワイルドにおける厄災ガノンのことであろうが、ティアーズオブザキングダムにてハテノ村でシモン先生が語っている通り、過去において幾たびも厄災がハイラルの地を襲っている歴史はティアーズオブザキングダムの世界においても失われていない。
しかし、この文章を読む限り、逆に言えば聖域が保たれていれば厄災ガノンは復活しない、と考えられる。
つまり、歴代ゼルダ作品を経由している事実が保たれたまま、ブレスオブザワイルドにてハイラルを襲った憎悪と怨念の権化の厄災ガノンは、新生ガノンドロフから湧き出た怨念であった、という歴史改変が行われたのであろう。
ガーディアンやシーカータワーなどが不自然に失われたのも、プルア達が展望台の建設に使用したのもあるが、他にもその影響があったからなのではないか。
神獣装備について賢者達から聞ける説明も、過去の賢者が使用していたものだと作中では語られるが、本来は神獣は一万年前の厄災ガノンに対抗して初めて作られたはずのものであり、極めて不自然である。
各種神殿に神獣のモチーフとなったであろう意匠が存在するのも、そういった過去と未来の相互作用が働いたためではないか、と思う。

マスターソードが新生ガノンドロフの瘴気によって砕けたのも、終焉の者に特化した退魔の剣が砕けることなど、従来の歴史では考えられない事象である。
それも、単なる魔力や力のトライフォースではなく、秘石によって倍加された全く新しい力であり、だからこそマスターソードは対応できず、同じくゼルダの秘石による強化が必要だった、ということである。

以上が、ティアーズオブザキングダムにおける時系列の考察である。
推測に過ぎない部分も多々あり、確定事項とは言い難いが、ゼルダの伝説の考察を楽しむ方々の一助となれば、自分個人としては幸いである。



〈2024/10/8追記〉
マスターワークスで新たに判明した事実、三女神が秘石を創ったというところと、知恵のかりものについても触れる。
知恵のかりものに関してはこちらの考察を読んでいただけると幸い(以下知恵かりネタバレ注意)

知恵のかりものの時系列がああだとすると、ハイラル王国の樹立時点でリト族がおり、種族として繁栄し続けられているべきである(風の賢者として末長く存在してなければならないから)。
にも関わらずブレスオブザワイルド式のリト族がブレスオブザワイルドにしかいないのは、ゾナウ族の介入、およびタイムパラドックスのタイミングがリンクの冒険〜ブレスオブザワイルドの一万年前の間のどこかであったのかもしれない。
古の勇者の魂からもそう想像できる。
もっとも、ブレスオブザワイルド時点ではゾナウ族は単なるフィローネ地方の蛮族であるし、本格的な歴史改変があったのはブレスオブザワイルド以後であると思われるが。

トリィの力、シンクはウルトラハンドの源流のようなものにも見える(エフェクトも似ている)し、物を複製するトリィロッドの能力はブループリントにも似たもののようにも見える。
三女神が秘石の管理をゾナウ族に任せた時点で、トリィの能力を技術としてゾナウ族に渡していたのではないかと考察できるのではないかと思う。

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