#37. の前に1人の人間である
私の初めての推しはアイドルだったから、
アイドルを推すより、芸人さんを推す方が難しいと思っていた。
アイドルを推す
アイドルは別に歌やダンスに詳しくなくとも
ただ、かっこいい!と声をあげ、応援すればよいのに対し、
それ以外の芸人さんやダンサー、アーティストなどは、彼らの代表作や彼らが戦う主戦場、
何がヨシとされて、何が憚られるのか、
お作法やある程度そのジャンル自体を知り、
更に評価できる必要があると思っていた。
私は生粋のダンス育ちだったので、
このような考え方により、アイドルという存在を避けていたように思う。
私が応援しているアイドルには、結局ダンスをキッカケにハマったが、
自分自身がアイドルヲタクになることによって、そんな簡単に言い表せる訳ではない
"推し"という存在がどれだけ特別で、
例えそのアイドルが1人だとしても、ファンの数分の"推し"がいることを学んだ。
一人一人の心に推しを宿すことで、
その人は生きる希望を持てるかもしれないし、
前に進む力を得られるかもしれないし、
新たな学問を志すかもしれないし、
人に優しくできるかもしれない。
"芸"と観客
アイドルの商品はアイドル自身である。
TVに出ている広告塔となる有名人・芸能人、
そしてまたInstagramやYouTubeなどで
活躍しているインフルエンサーもそうだ。
でも、それ以上にアイドルの商品はアイドル自身である。
かたや、芸人さんやダンサー、歌手の商品は、
ネタであり、ダンスであり、歌である。
だから、芸人さんに対して、ネタやお笑いが
詳しくないから、好きって伝えるのが憚られる、
という現象が生じる。
でも違うのだ、彼らはネタやダンスや歌を提供する
"1人の人間"であり、
1人間である以上、彼らがくれた作品、
体験、経験に対して、感謝や好意を示すことは
なんら恥ずかしいことではない。
たとえ、そのもの自体に詳しくなかったとしても
感謝の気持ちや好意や、笑いや感動は本物である。
そしてその好きに後からついてくるのが
そのものに対する知識や仲間、経験でいい。
何もかも初心者がいる訳だから、
エンタメこそ、1番そこに優しくある世界がいい。
反面
アイドルは、その人自身が商品である以上、
その人への信頼が失われた場合、
その人から貰った輝きや、言葉は
ただのファンサービスという商品の一つになり、
一気に色を失ってしまうのである。
難しさ。