絵を描くということ
私は現在、占い師をしながら空いた隙間時間に絵を描いてます。
物心ついてすぐ2〜3才くらいから絵を描くのが大好きでした。小1くらいには模写を始めました。漫画やアニメの好きなキャラクターを真似して描いたり。
幼い頃は病気がちでよくベッドの中で伏せっていました。ベッドから出ておもちゃで遊ぼうとすると母に叱られ、何もできなくて退屈で死にそうになるので、暇潰しにしていたことはアニメを見たり本や漫画を読んだり、絵を描いたり。
ある時から、絵を描くことが母とのコミュニケーションの一部になりました。今日、一番上手く描けたものを母に見せにいく。
母は幼い私相手でも滅多に褒めませんでした。
「ここがちょっと違う、ここを直したらもっとよくなる」
母自身も絵を描くことが好きで、学生時代はアトリエに通っていたそうです。私の母も美大に通いたかったけど、母の母(私の祖母)に
「絵で食べていく覚悟があるの?」と問われ、諦めてしまったそうです。
母は客観的で的確なアドバイスをしてくれました。幼かった私は褒めてもらえないことに対して自分を否定された気持ちになって、ただ拗ねるだけでした。
次はもっと上手く描いて、母から悪いところを指摘されないようになろうと、いつしかそればかり考えるようになりました。
中学時代、絵を描いているのを同級生に知られると次の日には「オタク」と陰口を言われるようになりました。
ただ好きなことをしているだけなのに、です。
絵を描くやつ = オタク = キモい
同級生の中でこのような方程式ができていたようです。田舎と言う土地柄、同調圧力が異常に強い環境でした。少しでも周りと違うことをしていると好奇の目で見られ、浮いてしまうのです。
学校で絵を描くことはしなくなり、趣味を隠すようになりました。
「漫画やアニメ好きは異常」
「オタクキモい」
「宇宙人」
などとカースト上位の子から言われます。
好きなことをなぜ隠さないといけないんだろう。
まるで変質者や犯罪者かのような扱いです。
(好きなものを"好き"と堂々と言えない)
自然とそんな意識が植え付けられた年頃でした。
大学のデザイン科に進学して、天才的に絵が上手な人たちと出会い、自分は大して絵が上手くないこと。素人に毛が生えたレベルである、そんな現実を知った時。
完璧に描ける人への羨望が募り、同じようにはなれない自分に絶望。努力が足りない。
そもそもセンスが無い。
そう感じてまた自己否定をし続けました。
自分自身の視野の狭い考え方に疑問を持ちつつも、これと言った確かな答えを出せずに。
やがて、絵を描いていて楽しいと思えることが少なくなりました。完璧に描けないと満足できない。完璧に描けない私はダメなんだ。私は下手、ダメだ。
この負のループに陥りました。
幼い頃はただ絵を描くのが好きで楽しかった。完璧を求め出してから何かが崩壊し始めました。
不況により家庭の経済的理由で大学を中退。
イラストレーターや絵に携わる仕事をしたいと言う夢を諦め、適当にバイトを掛け持ちして、絵を描くことから離れました。
本当に絵が好きなのか分からなくなったからです。仕事のストレスもあり描く余裕も気力も体力もなくなり、趣味の絵すら描けなくなりました。
(続きます)