感情をコントロールして感動する気持ちを押し殺す
感動する気持ちを押し殺すなんてシチュエーションそうそうあるわけがないのだが、かつて20代の頃に海外添乗員として働いていた頃はそれが常態化していた。
添乗員は誰でもなりたければなれると思っている。ただ続けるのが大変だと感じていた。
「仕事で旅行に行けていいわね」なんて言われがち。そう。否定はしない。それが目的で、添乗員になったのだから。
どこに行くにも 初めて見るものだし 食べるものも初めて。
ドキドキ高揚する気持ちを無表情の下に隠して「お天気良くて良かったですね」と言う。「飛行機揺れなくて良かったですね」と言う。
高揚しながら初めてだと悟られないよう また無表情のうえに今まで使ったことの無いほほの筋肉を使って微笑む。
勉強して 観光地を覚えて 立ち寄り地のトイレやお土産やさんの特徴を必死に覚える。そしてたんたんと集合時間を伝え、自由時間の間に次の観光地を頭に入れる。
ガイドさんはいるけれど私のそばに立つお客様は私になんでも問いかける。
ガイドさん以上の知識を持っていると疑わないのは何故だろう。
うまくやり過ごしてホッとすると沸き上がる罪悪感。「お客様を不安にさせないためなんだから」と自分を納得させ また忙しさに忙殺される。
そんなことも半年もすれば同じところに何度か行くようになり本当になれてくるようになる。
初めての場所も難なくご案内出来るようになる。
この仕事に付くまで使ったことの無かったほほの筋肉はこの頃には私の顔の形を変えていた。
そんな私の添乗員生活は4年に及んだ。
短く濃い年月だった。
そんな中 出会った人々
トラブル 事件
私の特技少しずつ御披露目したい。
今日はここまで