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夏のオリオン

冬将軍とも言われるオリオン座
夏に見れるなんて、普通は思わないですよね。

でもね、それが、見れるんですよ。

それに気づいたのは若かりし頃。
ここのところお騒がせな宗教の二世として
めっちゃ頑張ってた私は
実家を離れて、早朝…といっても3時からの
弁当工場でアルバイトしつつ生計を立てて
宗教活動をメインにするという
ことをしてたんですな。

で、そんな生活をしていたある夏の日。

出勤のために外に出た。
時刻は2時半ごろかな。
まさに草木も眠る丑三つ時
夜中だけど蒸し暑さは消えない夜中
たしか8月の終わりだと記憶している。

何気なく空をみたら

いるんですよ

見慣れた3つの星にそれを取り囲む4つの星の

オリオンが

オリオン座といえば
肌に空気がピリピリと突き刺さるような
冷たい空気の中
涼しげにキラキラ瞬いているはずで

こんな蒸し暑い夜の夜中に
見るもんじゃないはずだ。

そこで私は

あー私人間やめてるな

と、絶望したことを覚えている。

何のためにこの生活をしてるかとか
そういうのを考えるまではいかなかったけど

おそらく
あのときのオリオンは
私に問いかけてきていたんだとおもう。

この季節のこの時間に、私を見つける意味はなんなのか。
そこに、本当の意味はあるのか

たぶん、潜在意識の中に、鮮烈に問いかけて
問いかけ続けて

そして今

私はあのときの活動をやめている。

そのことに後悔はない

ないのだが
あの宗教をやめたということは
あの教えが間違っていたと認めることだ
つまりは
人生の大半をかけて教え込まれてきたことは
あの希望とやらは
虚像にすぎなかったのだと

すべてが崩れたところから這い上がるのは
なかなかに骨が折れる
けど、これを乗り越えたら、
何かが変わる気がしている。

今はただ、虚空に問いかけることしかできない。

世の理を教えておくれ
私がここにいる意味を、教えてくれ

肌を刺す空気の中のオリオンは
ただ涼やかに天上から見下ろすことしかしてくれない

もし今度
あの蒸し暑さの中で、東の空にようやく姿を出したオリオンを見つけられたら
今度は
答えを見つけられるかもしれない。

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ふうま
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