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第21回 農村民泊:これから民泊をはじめるには?
2017.10.19
植田淳子
和歌山大学食農総合研究所特任助教
概要
農村地域の活性化策としてグリーンツーリズムが拡がりをみせたのは1990年代からのことです。
近年では,外国人を対象としたいわゆるインバウンドへの期待、さらにはAirBnBをはじめとするインターネットサービスの拡がりを背景にした「民泊」への注目など、これまでの農家民宿や農村民泊(農泊)とは異なる新たな動きも拡がりつつあります。
そこで今回は、国内の農村民泊の先進地である大分県安心院(あじむ)町の安心院町グリーンツーリズム研究会事務局長として、長く農村民泊の推進に取り組んでこられた植田淳子さんをお招きして、その先進的な取組についてお話を頂いた上で、篠山市をはじめとする農村地域で、これから新たに民泊を始め、展開していくための方法や課題について話し合っていきます。
規制緩和により、民泊に注目が集まっており、「始めたい!」という声も多く聞かれるようになりました。
特に農村部での空き家や空き部屋を活用し、農家体験や農村体験を盛り込んだ「農村民泊」は、グリーンツーリズムやアグリツーリズムとして国内外から注目されています。
そこでまず、「農村民泊」がどのような位置づけなのかを確認した上で、農村民泊の火付け役ともなった大分県安心院町の取り組みを、植田さんに紹介していただきました。
植田さんは、大分県安心院町グリーンツーリズム研究会事務局として、
農村民泊をどのように始め、どのように継続していくかを見守ってこられました。
安心院町では、本業の農業に主眼を置き、民泊の代表は必ず女性であることを要件としていたそうです。
受け入れる家の管理は女性が、男性は縁の下の力持ちとしてフォローをするという役割分担があるからこそ、無理のない運営が可能となっていました。
受け入れる側として、整理整頓には気を付けること等の細かな配慮はあるものの、「できる範囲で」という気張らない対応が、継続するための肝なのではないでしょうか。
また、受け入れ可能な時期や回数などを細かに把握し、民泊希望者や団体調整等を行う事務局の存在も重要なのではないか、
事務局はどのようにして立ち上げるのか、ということも議論にも挙がっていました。
このような事務局の存在が、農村民泊に取り組む農家さんの安心につながっていたのではないかと思います。
植田さんのご経験をお伺いする中で、
重要なのは「地域としてどのように運営するか」ということではないかと思います。
インターネットを活用することによって、より手軽に民泊を楽しむことができるようになり、さらに規制緩和により、誰もが民泊に取り組むことが出来るようになり、需要と供給の一致が図られているように見えますが、
何よりも「人が人をもてなす」ということが大切だということを、議論を通して学んだように思います。