そしてぼくは今しあわせです
この鳥肌モノのコピーはSONY WALKMANのCMに付いていたものです。もう随分前のCMで、当時もういいおっさんだったので強く身に染みた記憶があります。出てたのは新垣結衣だったけど、あれは逆にミドルエイジを狙った広告だったんだろうか。
いい加減、人生も後半になると確かに同じような歌を口ずさむ自分に気づきます。
私の場合、朝から晩までTULIPを聴いてた時代があって、そのあと無闇矢鱈と佐野元春を聴いてた時代がありました。歳がバレますが。
TULIPのアルバム「THE LOVE MAP SHOP」は神憑り的に好きでしたね。特に「さよなら道化者」は尋常じゃないほど聴きました。佐野元春といえばどれも好きですが、やっぱり基本は「SOMEDAY」でしょう。
でも、ある年齢から「SOMEDAY」を口ずさむことはなくなりました。
「いつかはきっと」という "SOMEDAY" という言葉は、中年のおっさんには脂っこくて、とても口ずさめるものではなくなったんだと思います。
「いつかは」というのは希望の言葉であり、現状打破を目指す決意ですが、いい加減おしまいが見えてきた身の「SOMEDAY」は、夜のフラッシュライトは救急車かしら……とか、傷は手当しないとなかなか治らないよとか、挙げ句「いつかはみんな死ぬし」とか、そういう方向に流れされていっちゃうんですね。
一方でTULIPの「さよなら道化者」は未だに脳内でリフレインされ続けています。
スゴいぞ、TULIP。
聴いたことない人も多いと思うので、ぜひYouTubeででも検索して聴いてみてください。この曲はシングルver.とアルバムver.の2種類がありまして、私がリフレインしているのはアルバムver.。シングルver.は4分ちょい。再生時間が5分を超えてるなら、それはアルバムver.です。
シングルver.は「もう一度 僕を笑わせておくれ」で終わるシンプルな別れ歌ですが、アルバムver.はどうしたことかやたら陽気なエンドコーラスが4回入ります。
これだけ。
これ、いま別れ歌ったあとに言う?
そりゃそうでしょうよ。
10代の頃だって、40代の頃だって、私も幸せが好きでしたよ。
雨の日も風の日も雪の日も嵐の日も靴のひもマントヒヒも。
そして今も幸せが、大好きですよ。
思うに「いつか」というのは常に「いま」ではないんですね。
故に年齢とともに希望から諦観に変わることもあるということです。
でも「幸せが好き」というのには時間軸には関係がありません。
どういう状態が「幸せ」なのかは人によって違いますし、常に「いまが不幸」というわけではありません。結局、幸せは「いつか」得るものではなく、その時々に「感じ取る」ものなんだということですね。
同じ島田浩太郎さんのコピーで「理想は、小さく持て。」というのもあるんですが、これも好きなコピーです。昔から私の理想は小さいですよ。
その方がチマチマ達成できていいし。
おかげさまで、小さいながらも私の「いつかは」は概ね手に入れることが出来ました。「金持ちになりたい」はまったく未達ですが。
そして今も、ぼんやり庭を眺めながらエンドコーラスを脳内リフレインさせています。
今日も、ぼくは幸せが大好きです。
じゃ、またね。