純喫茶が好きという話
純喫茶が好きだ。
昔はなんだか怖かった。外から覗くとなんだか暗いしタバコの煙が充満していてお客さんは怖そうなおじさんたち、というイメージ。
純喫茶に行った一番古い記憶は遠い親戚が営んでいた純喫茶だ。
幼稚園か小学生くらいの頃に家族やいとこ達と一緒に行って、初めて口にするクリームソーダのおいしさに感激した。
しかしその後高校、大学にかけてはファミレスやらおしゃれカフェにしか行ってなかった。まだ暗くてタバコのイメージが強かった。
純喫茶を好きになりいろいろなお店に通うようになったのは今の彼の影響だと思う。
彼の地元に遊びに行ったときに、ある喫茶店に誘われた。
お気に入りだと言うそのお店に入ると、煙草を吸っている人は何人かいるものの、禁煙が根付いたせいかそれほど煙たいというほどでもない。
年季の入ったテーブルとイス、カウンターがあり、明るすぎない照明の屋根裏部屋のようなつくりのそのお店は、レトロ好きの私にはひどく魅力的に感じた。
いただいた珈琲もすごくおいしく、大きなカップに並々と入っていて、そのカップは熱々。お茶請けにはハッピーターン。
今までのカフェにはない魅力に気が付いた私はその後ほかのお店も行ってみたくなった。
色々なお店に行ってよく思うのは「今このお店を作り上げようとしたらめちゃくちゃ大変だろうな」ということ。
床一面のタイルや、どっしりとした調度品、飾り窓、ステンドグラスなど、行く度に贅沢な家にお邪魔しているような優雅な気分になるお店がいっぱいある。
お店の人も魅力的だ。家庭的だったり少し頑固そうな感じだったり様々だけど、お客さんをちゃんと「見てる」感じがする。嫌な意味ではなく。機械的な対応(それが心地よいときもあるけど)のカフェとかファミレスでは感じたことの無い感覚だ。
純喫茶は入店する時に「お邪魔します」という気分になる。個性が強く出るからか、お店の人のテリトリーに入る感覚。
ずっと変わらずテリトリーを守ってほしいと願いながら今日も珈琲をいただく。