松本旅行記【1日目】
朝、彼と喫茶店でモーニングをしてから空港へ向かう。
昨夜友人と会ったときに話していたりくろーおじさんの店舗が空港内にあり、4分の1カットが売られていたので、すかさず買って温めてもらった。りくろーおじさんごとき(失礼。だが昔のいつでも買える印象が強くて)に長蛇の列に並ぶのは嫌だという気持ちから数10年?遠ざかっていたが、久しぶり食べたらふわふわで美味しいね。彼は彼で神座のラーメンを食べており、二人ともモーニングを食べた後なのに序盤から食べ過ぎ感が否めない。
飛行機は予定通り離陸し、1時間ほどで松本空港へ到着した。体感一瞬。
バスで松本駅に行き、10分ほど歩いてお蕎麦屋さんへ。松本は関西より涼しく、息がしやすい。とはいえ標高が高く日差しがきついので暑い暑いと天ざるに。おいしい。けどやはり私は蕎麦の違いがよくわからない女だなと実感した。
蕎麦屋を出て、女鳥羽川や至る所にある井戸など、私のお気に入りを紹介しながら歩く。彼も「きれいな水があるのいいなぁ」と私と同じように気に入ってくれたみたいだ。古本屋さんがあり入って物色していると、いしいしんじさんの松本に住んでいた時の本があり、なんてタイムリーなと思い購入。
その後、向かうはバイク屋さん。バイク屋さんまでの道のりがけっこう困難で、本数の少ない電車に乗り、小さな駅からは歩いて行けないので事前にタクシーを予約しておいた。駅前で待機しているタクシーはなかったので予約しておいてよかった。
今回の旅行の目的の一つは「バイクでビーナスライン走行」だ。と言っても私は後ろに乗るだけで、大型二輪の免許を持っている彼にすべてを委ねる。親切な店主さんにお世話になり無事に出発。今日はまだビーナスラインには行かず温泉宿までの30分ほどの距離を走る。
車とは違い、遮るものが何もないので景色がぜーんぶ見えるのがバイクの良いところだ。自宅の近所では見られない、一面に広がる田んぼや山を横目に見て「気持ちいい~」を連発しながら温泉宿を目指した。こちらの蝉はミンミンゼミなんだね。いつも聞いているクマゼミと違ってそこまでうるさくなくて良い。ヒグラシの鳴き声が好きなんだけど聞けなかったな。
1泊目の宿は美ヶ原温泉にある「金宇館」という旅館。
ここが旅行の目的のもう一つだった。大人っぽくシンプルでありながらレトロさも残されていてめちゃくちゃセンスが良い館内。お庭が美しい。少し高級だが、有馬温泉の最近の高騰具合や、ビジネスホテルでも1万円を超えたりすることを思うと安いもんだと思う。貸切風呂が空いていたので汗を流しさっぱりしてからお食事。
一皿ずつ一口ずつ悶絶する。とうもろこしのかき揚げはあまりの甘さと、薄いのにカリッとした揚げ衣の歯触りに大きめの声が出そうになった。濃すぎず薄すぎない味付けや火の入れ方がどれも絶妙で幸せ100%に。高級なお店は緊張して中々入れないが旅館だったら料理人が目の前にいないからか、緊張しないで楽しめるので嬉しい。私はいつものおじさまや女友達とたまにちょっと背伸びしたようなお店に行くが、彼は気取らないお店ばかり行くので、こういう手の込んだ繊細なお料理に感動していた。与えられたものをいただいているだけで別に自分のレベルが上がるわけではないけど、良いものを知ることって大事。
長野の名物の馬刺しは全く臭みがなく、鮎は内臓が甘かった。どのお料理も関西の甘めの味付けとは異なり、新鮮。
給仕してくださった方はどの方も丁寧で、にこにこしていて、この仕事が好きなんだろうなぁと思えた。本当はどうかわからないけど。こんな素敵な空間で働けるのって羨ましいし、良いものを自信を持ってお客さんに提供できるのって良いなと感じる。
昔飲食店でアルバイトをしているときに、いつも品切れ(というかメニューにあるのに仕入れない)商品があって、それを「申し訳ございません。品切れで…」と説明して謝るのがすごく嫌で、引け目に感じる仕事はしたくないなと思ったのだった。
彼が注文した日本酒も少し分けてもらうと、すいすい飲めちゃう危険なお酒(美味しい)だった。ボリューミーなお料理ではなかったけどゆっくり楽しんでいるうちにかなり満腹に。最後のデザートはラウンジに移動していただいた。白ゴマのブラマンジェ杏ソースは夢のように美味しかった。そういえばお部屋に用意されていた手作りの枝豆大福も持ち帰りたいぐらい美味しかったな。
食後、彼と旅館を出て星空を見上げた。見に行くまでの道がかなり暗く怖かったが、きれいな星空を見るとそんな恐怖も飛んで行った。
部屋に戻り、またお風呂へ入ってから眠った。
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