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「浦沢直樹の漫勉」を見て & 「2001夜物語」

 普段は見ない「浦沢直樹の漫勉」を妻が私のために録画しておいてくれました。
 星野之宣さんの回です。

 星野さんの漫画のタッチは劇画です。最近の漫画のトレンドからは少々外れてしまっているようですが、少年ジャンプで『遥かなる朝』を読んだ時は小学生だったので強い感動が残り、子供心ながら “遥かなる朝” のフレーズが好きになりました。“三つ子の魂百まで” じゃありませんが、今でも頭に深く刻み込まれています。

「浦沢直樹の漫勉」

 番組では『海帝』での “大海原” の描画に焦点を当てていました。
 荒いラフ、ほとんど下絵はない状態からペン入れして大海原を描くプロセスは圧倒されますね。画力が本当に高いんだと思います。

 写真などの参考資料はほとんど見ずに描かれていると言うことです。そのシーンを見ながら、妻も私も同じことを考えていたらしく、それを可能にしているのは、

「サバン症候群の人たちがよく持つような、数秒写真を見ただけで緻密な街の絵が描ける、あの驚異的な能力みたいだね。見ずに描いてるわけじゃなく、まったく違うタイミングで見た視覚を覚えていて、それを参照して描いてるんじゃないか?」

 と、お互いが口にしました。もちろん星野さんがサバン症候群だと言うことを言いたいわけではありません。あくまでも、それに似た能力をきっと持っているんだろうね、と推測しているだけです。誤解しないでくださいね。

 それから「日本人は絵をで描く」のくだりも思わず頷きました。それに対して欧米人はで絵を描く、と普段から認識していましたから。YouTubeのイラスト描画の動画を見ると、まさしくその通りですよ。
 私も職業がイラストレーターだった時期もあるし、高校生のときは美術の先生から「芸大行くなら、推薦状書いてやるぞ」と言われたことがあったので、ある程度絵心はあります。(通知表見せた段階で「もっと勉強しろ!」と呆れ返され、目指しませんでしたが ^^;)

 高い描画力といえば、森薫さんを連想しますね。『乙嫁語り』の書き込みも凄いです。うっとりします。

 「2001夜物語」

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 『2001夜物語』は私の一推しのSF漫画です。この漫画は古い作品ですが、今でも楽しめる内容だと思います。ハードSFでありながら、人情的な作品です。

 第四夜「大渦巻Ⅲ」は宇宙空間でのサバイバル。冷静で知的な判断に基づく、しかし生きるための一か八かの行動。怖いです。
 第十夜「明日を越える旅 PART Ⅰ」は宇宙船KARC9000の旅立ちを見送った宇宙飛行士のその後の物語。胸キュンでした。

 まだ読んでいない人もいらっしゃると思うのであらすじは書けないのが辛いです。辛いわー。書きたい... この漫画で盛り上がりたい。

 ところで『2001夜物語』は、私たち夫婦にとっても重要な漫画なんです。
 まだ、妻が彼女というポジションだった頃、SFの漫画の話をしていた時のことです。私がある作品を話題にするときに、専門的でない単語を使って説明をするつもりで、「ゴロゴロ」と口にしただけなのに、なぜか『2001夜物語』を言い当てた過去があるのです。どーしたら「ゴロゴロ」がこの漫画に結びつくんだ(笑)? 
 僕はこの時「やっぱり彼女と結婚しよう」と思いました。

 放送すら知らなかったこの番組を、妻がたまたま放送開始直後に見かけ、気を利かせてとっさに録画しておいてくれたのは、多分、妻もあの時2人で大笑いした記憶が残っているんでしょうね。あれは感動的な出来事でした。

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 ヘッダーの写真は 「NASA Image and Video Library」 からダウンロードした画像です。 https://images.nasa.gov