「ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○」情報にバイアスがかかりすぎの現実への挑戦?
黒木華に当てて書いたような脚本。彼女が主役であることで成立している感じもする。周囲の野暮ったい男たちの無能さというか、やる気のなさが、彼女のせいで覚醒していくのだろうか?そして、最初に覚醒された生瀬勝久が一回でいなくなるようだが、これは勿体無い。そう、この人は、こういう枯れた男を演じるとすごく格好いいからだ。とはいえ、この第一回、オリジナルドラマとしては、なかなか面白いテイクオフという感じ。次回からの展開に期待はできる。
「ネットニュース」という言葉で、それがとても軽くいい加減なような雰囲気を持つように感じる人は多いだろう。だが、今、日本に渦巻く多くの情報は、さまざまなバイアスがかかった上に成り立っている。テレビ、雑誌、新聞などのほとんどは、そこに乗っかる利害関係者のバイアスがなかったらやっていけないものがほとんどだろう。政府だって、資料を黒塗りにして出して平気な時代である。そして、インターネットも、本当か嘘かわからない情報ばかり、そして、少し面白く書かれたものや、画像やビデオは、その本質を確認されないで拡散され、拡散されるうちに違ったバイアスがかかる。ビデオだって本当かどうかわからない。だから厄介な時代なのである。そんな中でネットニュースが多くのPVを取ろうとコタツ記事を書いているという現実。上から下まで、真偽不明の情報の中で私たちはうまく操られているというのが本当のところだろう。
このドラマは、そんな環境下のネットニュース編集部に経理の堅物の黒木華が編集長として送られるという話。発想はとても面白い。彼女はビュー数を取れとはいうが、そこに他のバイアスを挟めないということで、真実をネットに書いて世情を動かしていくという流れのドラマのようだ。
確かに、コタツ記事では、先が見えているし、今、求められているのは「真実」になるべく近いメディアだったりもする。それがネットから出てくれば、もはや新聞もテレビも報道などやってるだけ無駄ということになる。ドラマの中で大鶴義丹がやっているワイドショーは、自分の局の茶化しなのか?まあ、テレビドラマでこの辺りを描くのは限界はあると思うが、オリジナル脚本なだけに、楽しみではある。
黒木華の編集部の中心は溝端淳平ということになるのだろうが、石井杏奈と寛一郎、あたりの芝居が楽しみな感じではある。そして、黒木が通うお店のママのりょうさん、変わらず華やかな雰囲気で良いです。そして、黒木の真実が見えた時の笑う顔のアップが毎回出てくる感じは、テレビドラマ的には面白い。
ネットニュースに関しては、この間までやっていた「和田家の男たち」でも取り上げられていたが、ネットニュースそのもののレベルの底上げになるような話をぶち込んで欲しいと思ったりもする。今年は、もうテレビとか新聞じゃなくて、ネットが最も影響力のある時代になっていくのは確実であろう。そんな中での正月からのこのドラマ、それなりに期待である。
そして、黒木華という女優は、もはや代替えのいない世界の中で歩いている。それは本当に素晴らしいことだと思う。