「潜水艦カッペリーニ号の冒険」人生は食べて歌って恋をするためにある!その通りである!
フジテレビは、昨年、一昨年と「教場」なる、暗いドラマを正月に流す暴挙に出たが、今年は、ホイチョイ・プロダクション原作のこのドラマ。何故に正月に戦争ドラマと感じてはいたが、流石にホイチョイ!これは恋物語として昇華された戦争ドラマだった。なんか、最後に暖かくなる感じは正月に流すにふさわしいと思えた。
この、潜水艦カッペリーニ号という潜水艦について、私は全く知らなかった。イタリアの革命の最中に日本に向かっていたという不幸。実際はそのまま、ドイツの戦闘に使われてから、その降伏と共に日本の潜水艦になったということだから、ここに描かれた日本についてからの顛末はおおよそがフィクションだろう。だが、それによりホイチョイ風の戦争映画が出来上がったということ。
イタリア人が日本に入り込むために、歌やトマトや恋物語で、ドラマをなんかイタリアンにしてしまった不思議なテイストは、おかしくもあり、そして確かな反戦ドラマとしても成立していた。つまり、テーマであろう「人生は、食べて歌って恋をするためにある」というその文言全てが、戦争など、何が面白いんだ!ということに通じるのだ。
イタリア人が、日本に上がってきて、「ゲイシャ、ゲイシャ」と叫ぶところから、もうユルユルなのだが、日本の生活に馴染んで行くところは、なかなか楽しく、そこに二宮和也もうまく溶け込んでいる。もちろん、有村架純も。彼らが演じても説得力のある戦争の描き方というのは、こうでいいというお手本?とも思えた。
ホイチョイの馬場監督ですので、これ、映画にしたほうがもっと面白くできたのではないか?と思えるところはある。どうしても、CMという間がある以上、ジェットコースター的な展開はできないわけで、その辺は勿体無い題材という感じもした。
とはいえ、愛する人に告白できない二宮と、それをお節介にアシストしようとするイタリア人という構図も面白く、その恋の相手の愛希れいかさんも、なかなか昭和的な感じが残る良い女優さんだった。宝塚の娘役らしい顔立ちですね。テレビドラマは「青天を衝け」に続き2作目。事務所がアミューズということは、今年はもっと露出してくるでしょうね。楽しみな人の新春の顔出し見たいな感じですかな。
昭和的といえば、有村などは、こういうモンペを履いているような姿が似合う女優さんの一人である。そういう意味では、重宝がられるのですよね。今年も良い形の発信というところか?
正月にしては、俳優陣はそんな派手派手しくもないが、エンディングのほっこり感は一年の初めに見るテレビドラマとしてはとても良かった。今年も、素敵なテレビドラマを多数見たいものである。
だけど、ナビゲーターで池上彰氏を使っていたが、これはいらないですね。まあ、彼が出てきたことで、本当か嘘かよくわからなくなるという効果はありそうですが…。
ある意味、日本とイタリアの感動交流物語という体をとっていますが、空襲後のお婆さんが「戦争する人は、みんな嫌いだ!」というのがドラマの本音なのでしょう。人種などどうでも良くって、戦争する人全てが鬼畜なのである。そう、私から言わせて貰えば、戦争の準備に予算をいっぱい使おうとする政治家は全て「鬼畜」です。政治の世界から「鬼畜」が全て排除される時代が早くくるように祈るばかり。
そんなことを私に考えさせるんだから、なかなかの新春ドラマでした!