社長はオールラウンダーである必要はない
後継者の方は、何でも自分でやる必要があると思っている人が多いはず。そう思っていなくとも自分の業務内容を見てみると、かなりの実務を抱えていませんか?それが常態化していると余裕がなくなり、社長が果たすべき本来の役割を全うできないリスクもある。本当に社長がフォーカスすべき仕事は何か?についてのお話です。
会社の成長段階で変わる社長の役割
私は今、1名で会社をやっている社長です。会社もまだまだ安定しているとは言えず、営業から経理、新しいサービスの考案と何でもこなす必要がある。会社を起業した経験がある方であれば、この状況は想像できると思います。しかし、これをいつまでも続けていては会社がこれ以上成長できないということも頭では分かっている。起業当初は、まずは自分一人が十分食べていける収入源を確保する事が最優先であり、自分一人というリソースが最大限の成果を上げられるように社外の仲間やネットワークを構築して付加価値を生む仕事に専念できるようにしなければならない。
これが、創業期における社長の役割です。
会社が徐々に大きくなってくると、社員も増えて更に売り上げを拡大させるための対策を講じ成長を加速させていくフェーズに入ります。
ここまでくると、社長は社員をフォローする側に回り、社員が力を発揮できる環境を整えたり、長期的な視点で会社の将来について思案する役割に代わっていきます。
後継者の皆さんの場合、既に先代が食うに困らない状態を作ってくれているので、後継者である貴方が何でもかんでも先頭になって仕切ってやる必要はない。余裕があるわけです。この余裕がある時間に何をするか?
さて、あなたは今、何をやっていますか?
先代の動きを観察してみる
経営スタイルにも因るので一概には言えませんが、経営が上手い社長は多くの実務を抱えている人は少ないはずです。同族経営であれば、あなたのお父さんはどんな仕事をされていますか?
社員の動きを観察したり、様々な情報に触れて経済、社会情勢を分析し、次の一手を一人黙々と考える。普段は、現場を歩き回り、社員に優しく言葉をかけて労をねぎらい、困っている社員がいれば、膝詰めで話を聞いてあげる。そして、解決の糸口となるヒントをポロっとつぶやいて現場を後にする。専門的なスキルが必要な仕事に関しては、勘所を抑えてはいるものの任せた社員を信頼し相談し合いながら会社としての最適解を見出していく。
私が理想とする社長像はこんなイメージです。先代あるいは現社長は、こんな感じで仕事してませんか?
なかには、毎日、現場で怒鳴り声をあげて怒りまくっている社長もいますが、会社を伸ばす社長は、計算した上で現場で怒鳴り声をあげたり、とにかく先の展開を野性的な感覚で読み解き、最も良い方向へ事が進むように反射的に行動、言動を行う人が多いのではないでしょうか?
例えるなら、灯台のように全体を見渡せる位置に立ち、社員や社会、顧客を観察し、会社が間違った方向へ進まないように、社員が目的地を見失わないように、優しく光を放ち続けるような存在ではないかと思うのです。
オールラウンダーである必要はない
もし、アトツギである貴方が多くの実務を抱え成果を出していたとします。最初は良いかもしれませんが、そのまま社長になってしまうと会社の成長はどこかで止まる。
また「部下がやるより自分がやった方が早くて結果が出る」と思っていたら社長になるのは時期尚早です。
後継者として会社に入ると、とにかく成果を上げたいので何でもかんでも勉強して仕事をやってしまう。ビジネス、会社を理解する目的をもって、そのような行動を行っている自覚があるのであれば心配ありませんが、成果が出るにつれて「自分はデキる」という自身を持ち始めると、かなり危険です。もとも、仕事ができる後継者はこのパターンに陥りやすいので注意が必要です。
このような仕事のやり方では、灯台のような存在にはなれません。
つまり、オールラウンダーをやっている間は灯台のようなポジションで仕事出来ないし、できていないという事です。
何でもできる人というのは、何でもできる反面、深さに限界があります。後継者だからといって、何でも出来ないといけない必要性は全くありません。
むしろ、後継者である貴方がオールラウンダーになることで、社員の成長や挑戦の機会をあなた自身が奪っていると考えた方が良いかもしれません。
社長が持つべきスペシャリティー
経営者のスペシャリティを上げるとしたら、目利き力です。これは間違いない! 優れた人材を見つけ出す、社員の困りごと、顧客の困りごとを見抜く、業界や経済の動向を見抜く、会社の異常を見抜く・・・・
挙げたらきりがありませんが、すべては目利きです。
オールラウンダーを目指すのではなく、目利きのプロを目指してください。私自身も、常にこれを意識して仕事をしています。
オールラウンダーは、一見するとすごい人と思われがちですが、社長向きのタイプではないのです。
社長を目指すなら目利きのプロを目指してください。
以上
ランナーズ株式会社 https://www.runs.co.jp/
代表取締役 関根 壮至
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