好業績でも社員が笑顔になれない会社?
皆さんが働く会社でも、こんな事が起こっていませんか?会社の業績が良くなっているのに社員が明るい顔をしていない。社員への還元が少ない。なぜ、このような事が起きてしまうのでしょうか?。。。今回はそんなお話です。
何でこうなるの?
実は、私はサラリーマン時代、このような経験は殆どないんです。極端に業績の良い会社か、常に業績が振るわない会社のどちらかにしか働いたことがないので、中間を経験していません。ですが、家業に入ってからは、年度によって業績が良かったり、悪かったりする事もありました。しかし、社員の還元が業績に準じていたかというと?ところがあります。
実際問題、業績に応じた変化をつけることが難しい。会社の経営は、短期間の業績だけで行えるものでもなく、拡張を目指している場合は先行投資が必要で単年度の業績がどれほど良くとも急激に社員の待遇を改善することはリスクが高く、簡単に判断できません。 そのため、ある年度の業績が良かったとしても、その年度に十分社員へ還元できない場合も起こり得るのです。しかし、社員の方は長期で会社を見ているわけではなく、日々の収入で家計を支えているため、業績が良くなったらその分は還元して欲しいというのが社員の要求です。
ここまで読んで、何か感じましたか?
この原因の一つには情報格差(経営者と社員が持つ情報量の差)が考えられます。常日頃、経営者が社員に対して会社の状況を報告し、これから会社にとってどのような事が待ち受けているのか? 今後の業績見通しや、市場の予測をどう考えているのか?楽観的な予測が見込める時は、思い切って賃上げもできるかもしれませんが、先々の不況や投資が見込まれているのであれば、おいそれとは賃上げできない。経営者は、大量の情報を基に意思決定しているのですが、社員にはその判断材料となる情報も、意思決定された経緯も説明されず、結論だけが一方的に提示されてしまう事が多いのです。
言い換えるなら、社員からしますと、常に賞与や昇給は後出しジャンケンである場合が多いのです。賃上げされなかった場合の理由説明も”不況”とか、”現状はこれが精いっぱい”みたいな言葉で手短に説明されるのです。
これで、皆さん、納得できますか?おそらく納得できないですよね。
こういう会社というのは、業績を見ながら経営者が賞与の査定時期になると「うーん、今年は厳しいから、このくらいにしよう」みたいな感じで賞与の水準が決まっていきます。ただ、これはある意味仕方がないことです。会社経営は生き物みたいなもので”必ずこうなる”という見込みなど誰も予測できません。
ちゃんと後先を考えて経営している社長さんは大勢います。しかし、その考えている事を社員に解るように伝えている社長がどれだけいるかというと、意外と少ないのではないでしょうか?
じゃあ、どうする?
1つは、経営者層と社員間の情報格差をできる限り解消することです。そのためには、常日頃から経営状態について、四半期に一回とかのペースで社員に情報を開示し、ちゃんと経営者が自分の言葉で社員に説明する必要があります。今、どんな事が起きていて、何が上手くいっているのか、何が経営上の問題だったり懸念事項だったりするのか?
その対策として、どのような事を考えているのか?この先の市況をどう考えているのか?
会社としては、どのような戦略で市況の波を乗り越えていく考えなのかをできる限り説明することだと思います。
また、途中だけではなく、期初には目標を達成した場合、社員に対してどのような還元を考えているのか明示できるのであれば尚由です。
まとめると、こまめな情報共有を経営層と社員間で行うこと。そして、社員への還元については、できる限り後出しジャンケンを避けること。
誰でも、嬉しいサプライズは喜んでくれますが、マイナスのサプライズは喜びません。マイナスのサプライズが起きないように、情報をこまめに出すことで社員が経営に関心を持つようになります。仮に業績が良くても還元が難しい場合、理由が明確で筋が通っているのであれば理解が得られることもあると思います。
会社は、経営層、社員が力を合わせて協力しあい、同じ目標に向かって努力することで成長していきます。ここのかみ合わせが良くないと、本来は伸びるポテンシャルがある会社なのに伸びきれない。実力を出し切れない。
コンサルティングの仕事をするようになってから特に感じていることです。もっと、オープンに話をすればいいのに。そんな会社が多いなーと感じる今日この頃です。
経営者にとっては、あらかじめ還元の話を出すという事は、コミットしなければならないリスクを伴うので当然ながらプレッシャーも増します。将来的な話になりますが、今、私が経営している会社では、利益の?%は人件費に回すとか、社長である私のフリーハンドですべて決めるのではなく還元のガイドラインを設定・明示して経営していきたいと考えています。そうすることで、社員も会社の業績に関心を持つようになりますし、将来設計も多少はしやすくなると思います。
経営者にとって後出しジャンケンは楽なんです。でも、あえて宣言型にするのはアリだなと思っていますし、それが当たり前だと考えています。上場企業などは、事前に経営計画を出すので当たり前になっていますが、中小企業ではまだまだです。
以上
ランナーズ株式会社
後継者を鍛える専門家 関根 壮至
https://www.runs.co.jp/