奥田民生「59-60」DAY2 GOZ編 現地ライブレポ in両国国技館(24.10.27)
こちらはDAY2のレポ。DAY1のレポも別で上げているため、よろしければそちらもどうぞ。↓
民生さんの39歳年下の私。私がリアルタイムで追いかけて来た民生さんは既に50代。
お若い頃の姿は映像でしか見たことがないし、当然GOZを見るのも今回が初めて。
有太さんはMTR&Yで、根岸さんは某アーティストのサポートメンバーとしてフェス出演されたのを見たが、シータカさん、長田さんは生で見るのも初めて。
今回もDAY1に引き続き2階の注釈付指定席だったが、この日は西側の向正面1列目で、上手側斜め後ろからなんの遮りもなくステージ全体を見渡せるとても素敵なお席だった。
1.ルート2
1曲目から激レア。GOZ時代のライブ定番曲で、もちろん生で聴くのは初めて。
このライブに向け、民生さんソロ曲を予習していく中で大好きになった1曲だったのでめちゃくちゃ嬉しかった。
ハモリを担当する根岸さんの歌の上手さにも驚いた。
演奏している姿は前に生で見たことがあったものの、歌っているところを見るのは初めてだったので、あまりの安定感と安心感ある歌声でびっくり。
久しぶりにやる曲ということで、1番終わりの間奏部分、民生さんが1人でリフを弾くあたりで若干リズムにバラつきが生まれたものの、さすがはプロ、瞬時にズレを修正し、何事もなかったかのように足並みを揃えて並走しだす。
2.彼が泣く
こちらも生で聴くのは初。予習していたためイントロ部分で「彼が泣くだ!!」と気付いたが、ライブでやるとは思っていなかったので、一応幅広くアルバム聴いててよかったとほっとするなど。
ここまで初期の曲が2曲続き、その時代をリアルタイムで知らない勢としてはなんだか不思議な気持ちだった。
私の知らない奥田民生の歴史があって、私の知らない奥田民生を追いかけ続けてきた人たちがここに沢山いる。
今この年齢になって、その一員となれたことが本当に嬉しい。私の後にも途中合流するファンがきっと沢山いて、私より年下の子もきっと沢山いる。こうやって幅広く、太く、厚いファンの層になっていくのだなとジーンときた。
3.ときめきファンタジーⅢ
こちらも生で聴くのは初。
ここでは有太さんと根岸さんの音に耳を持っていかれた。
根岸さんのベースがとにかくかっこいい。
単純に同じメロディを繰り返し演奏しているだけなのだが、かっこよさの秘訣はその弾き方。
ピックを使わずに弦を手で強く叩き、弦を押さえている左手の方を動かすことで音階を作っている。
弦を叩くことでアタックが強くなり、音は大きく、より深くなる。そのアタックの余韻だけを使って左手のスライドで音階を作っているため、自然と勢いやグルーヴも出てくる。
ユニコーンや民生さん周りにこの弾き方をするベーシストがいないのでとても新鮮だったしかっこよかった。
そして有太さんのキーボード。
「銀河系」やら「宇宙船」やら言っているとおり、この曲はキーボードが鍵となってコズミックな世界観を作り上げている。
シンセやエフェクターを駆使して、文字では表現できないような電子音や機械音を曲中にこれでもかというほど盛り込む。
太さと厚みと勢い、全てを兼ね備えてしっかりと的確にリズム刻むシータカさんのドラムと根岸さん率いる弦楽器隊の低音がまとまってひとつの層になり、その上を有太さんのキーボードが縦横無尽に飛び回る。
曲の最後では、エフェクターを使って好き勝手演奏し始める民生さんと長田さん、相変わらず様々な音を盛り込んで遊び心を出す有太さん。
その後ろで、リズムとコードがブレてしまわないよう根岸さんとシータカさんが互いに連携を取りながら演奏を続ける。
これぞバンドの真骨頂、曲の基盤を作るリズム隊がしっかりしていると周りはこんなにも自由に遊べるのだ。
リズム隊のお二人が連携を取りながら徐々にフェードアウトしていく。民生さんのエフェクターの音だけが最後まで響き、不思議な世界観の余韻を残して曲が終わる。
いつの間にかリズムに乗るのをやめ、微動だにせず食い入るようにステージを見つめていた観客たちはハッとして盛大な拍手と歓声を送る。
素晴らしい。この一言に尽きる。
4.夕陽ヶ丘のサンセット
民生さんのFC開設記念生配信で一聴き惚れしてからずーっと大好きな曲。まさかこのライブでやるとは思わず大興奮。もちろん生で聴くのは初めてだった。
ずっとリズムを取りながらノリノリで聴いていたが、「夕陽は赤いのに こんなに赤いのに そんなに若いのに 何で言う」で、いきなり涙が込み上げてきた。
「そんなに若いのに」と歌われた瞬間、まるで名指しでもされたかのような気持ちになり、ぐっと胸に何かが刺さって抜けなくなってしまった。
俺たちはあまりにも 忘れてるままだろ
だけどこの身体にも流れてるじゃないか
風が吹き今にも 何か起こりそうだろ
あの丘に俺たちも 登りたくはないか
見てみたくはないか
置いてきたくないのさ
一体どこに感化されたのか、一体何が私のスイッチを押したのかわからないが、すべての言葉が心の隙間にするりと入り込んで、腹から胸、胸から喉、様々な感情を伴いながら上へ上へと涙を押し上げていく。
「置いてきたくないのさ」
が、何に対する言葉なのかはわからない。
だが、この時の私にはどうにも「『君を』 置いてきたくないのさ」に聴こえてしまって、言葉では表現できないほどたまらない気持ちになった。
「あなたのことが大切だ」と、暗にそう言われたような気がした。
5.風は西から
夕陽ヶ丘→風は西からの流れはズルすぎる。
この曲も生で聴くのは初。
歌詞に合わせて虹色に光る照明と、カラリと晴れやかで暖かい、昼下がりの日差しような民生さんの歌声がマッチしてとても素敵だった。
間奏明けで見事に歌詞を間違う民生さんに笑いが漏れる会場。
そんな雰囲気の緩さと暖かさも奥田民生のライブの大きな魅力だ。
曲の締め、私が大好きな1番最後の歌詞。
「It's gonna be alright.」
聴く前は絶対に泣くと、そう思っていたのに。
その歌声を聴いた瞬間、急に心がふっと軽くなった。
重荷が降りるような、ポンと肩を叩かれたような。あらゆる悩みや不安が嘘のように消えてなくなり、「そっか、そうだよね」と素直に思えた。
知らぬ間に背負っていた疲れや無駄な思考から解放され、一気に身体が軽くなり、心も晴れる。
奥田民生の紡ぐ言葉は時に魔法のような力を発揮することがある。私はこの曲で、確かに魔法にかけられた。
6.メリハリ鳥
またまた生で聴くのは初の曲。
民生さんの伸びやかな歌声はもちろんだが、コーラス隊も素晴らしい。
主旋律の民生さんの歌声ほど大きくない、しかし爆音のバンドの中でもしっかりと聞こえる絶妙な音量バランス。ハモリの精度も言うことなしだ。さすがは全員百戦錬磨のミュージシャン。上手いのは楽器だけではない。
「そのうちむかえが来て あの世のトビラ ノックしそう」で思わずドキッとしてしまった。
年齢も年齢ということで、死生観についてかなり言及されている著書を読んだばかりだったので、「わりとソロ初期の曲だけど、これが洒落にならなくなる年齢に差し掛かっているんだな、本当にずっとずっと健康でいてほしいな」と心から思った。
改めて、今日この日まで、当たり前のように健康でライブをやり続けてくれている民生さんに大感謝だ。おかげで私のような小娘も奥田民生の歌声を生で聴くことができている。
7.トリコになりました
(´ё ` )「このメンツ、20年ぶりだそうで」
\(拍手&歓声)/
(´ё ` )「だから昔の曲もね、やってるんですけど。…意外と覚えてる、できるものもあれば、これはできないってやつも…笑」
\(爆笑)/
(´ё ` )「いや、できないっていうかその…キャラじゃないみたいなのもあるんですよ。…次、そういう曲です」
この時点でもしかして…?とは思っていたが、根岸さんのベースが鳴り響いてイントロがスタートし大興奮。やっぱりそうでした。
いつか生で聴いてみたいなと思っていたけど、同時に、もう二度とやらないんだろうなと諦めてもいた大大大好きな曲、「トリコになりました」!!!まさか生で聴けるとは…!!!
歌い出した民生さんに驚愕。何度も何度も繰り返し見ていたお若い頃の映像と何一つ変わらないその歌声。
声色も、高音の伸びも、歌い方の癖も、当時と全く変わっていない。まるで30年前にタイムトリップしたかのような不思議な感覚。
とにかく感動と興奮でおかしくなりそうだった。
民生さんはもちろんだが、根岸さん有太さんのコーラス隊も当時と変わらない歌声で驚いた。歌が本業ではない上、かなり高音のハモリなのになぜ30年前と同じトーンとキーで歌えるのか。
1番終わりの間奏部分、有太さんの大仕事キーボードソロも健在。指がまあ動くこと動くこと。
2番の民生さんのセリフパート、昔はふざけてムッツリ風に、囁き声の「ああコーフンする」だったが、さすがに30年も経つとそのまま行くわけにもいかないようで笑
随分とふてぶてしくなった、そこそこデカくて低い声の「ああコーフンする」だったが、それでも会場は大盛り上がり。
昨日から「奥田民生に下ネタを言わせたいの会」が発足されている気すらするほどの黄色い歓声。
ラストサビ前の「誰か助けて」で軽く声が裏返った民生さん。
その裏返り方と、それをフォローするお茶目でヤンチャな語尾の歌い方が、これまたお若い頃の面影を強烈に感じさせてめちゃくちゃエモかった。
曲が終わると、会場は大歓声&拍手に包まれる。かくいう私も手がちぎれるのではないかと思うほど全力で拍手を送った。
(´ё ` )「…これ(この曲)良いね」
俯いてギターを眺めながら小さくそう呟く民生さん。
そうですよ、良い曲ですよ、だからキャラじゃないとか言わないでたまにやっていただけるとファンは大変喜びます←
8.ワインのバカ
こちらも初めて生で聴く曲。予習をしていたので曲は知っていたが、生で聴くと音源の何倍もいい。癖になる。
要所要所で入ってくる有太さんのキーボードが良いアクセントになっていて、気付くとその音を待ち望んでいる自分がいた。
全編を通して噛めば噛むほど味の出る、旨味のある曲だ。
比較的キーが低く、ギターもベースも全員低めのところを弾いているため、民生さんの丁寧で厚みのある歌声が楽器の一部のように演奏に馴染む。
ゆったりとしたテンポ、低めのキー、全体を通して音程の上下が少なめとなると、ちょうど奥田民生の旨味が1番良く出るあたりだ。
曲自体が持っている旨味と、奥田民生の歌声が持つ旨味が見事に合致し、最高に癖になる1曲が完成。
おかげさまですっかりこの曲に魅せられ、家に帰っても尚繰り返し聴くようになってしまった。
9.KING of KIN
開演前、同世代の友人たちと談笑する中で「まかり間違ってKING of KINとかやってくれないかな~」「KING of KIN笑笑笑」「ないでしょ~アハハ」とか言っていたらまかり間違ってしまった。
いや、私だって冗談のつもりだったよ、誰が本当にやると思うのさ。
イントロが始まった瞬間、嬉しくて飛び跳ねると同時にその会話が頭を過り、興奮と驚愕でよくわからない感情になった←
初めて音源を聴いたときに一発で気に入り、それからずーっと大好きな曲。まさか生で聴ける日が来るだなんて思ってもみなかった。セトリを予想する上で選択肢にすら浮かばないほど、完全に予想外。嬉しすぎる不意打ちだ。この曲を生で聴けたことは一生忘れないと思う。
相変わらずずっと伸びやかで音源と変わらない民生さんの歌声。
ハモリの根岸さんの安定感も素晴らしい。
民生さんに促され、観客は皆腕を上げて「KING of KIN!!」と叫ぶ。楽しい。めちゃくちゃ楽しい。すんごい楽しい。
前々から、1番終わりの間奏部分、それまでの呑気な演奏からブラスが入り一気に豪華になるところを「宮殿で兵隊が行進してるみたいだな」と勝手に思っていたのだが、この時、その間奏部分で民生さんがエアで指揮杖を上下に振るような動きをしていて、「合ってる!!!合ってるじゃん私の解釈!!!」と密かに興奮した。
民生さんが歌い終わった後のヨロレイヒパート(もっと他に言い方あるだろ)で、根岸さんのヨロレイヒ~♪があまりにも上手でびっくりした。民生さんより上手い。いつかユニコーンのヨロレイヒ王であるABEDONとヨーデル対決してほしい←
曲の最後、どんどんテンポが速くなっていき、それに伴って演奏にも力が入る。派手な動きでそれぞれの楽器を演奏するGOZの皆様方。
その派手な動きはそのままに、徐々に曲はフェードアウト。無音でギターをかき鳴らす民生さん笑
笑い声と拍手、歓声が会場を包み込み、曲は終了。
(´ё ` )「…下手になったな~!これ(派手な動きのままフェードアウト)昔めっちゃ上手かったのに!衰えたね!」
有太「でもリハより良いよ、今のが1番上手かった」
(´ё ` )「そうね」
リハの惨状を鮮明に想像できてしまうほどキッパリ言い切る有太さんと、即座に同調する民生さんに会場は爆笑。
(´ё ` )「これ難しいのよ!動きはそのままでちょっと弾くっていう笑……(観客に向かって)…やってみ?難しいから」
\(爆笑)/
10.息子
一度MTR&Yの演奏で聴いたことがあり、その時も良い曲だなと思ったが、GOZはさすがというか「本家本元」といった感じ。
久しぶりに演奏するはずなのに、洗練度合いが段違い。なんというか、ユニコーンが「大迷惑」を演奏するときの感じに似ている。
何度も何度も繰り返し演奏し、遺伝子レベルで染み付いたような、そんな演奏。
ドラムの音をきっかけにバンド全体が演奏し出した瞬間、「やっぱり『息子』はこのメンツなんだな」と思わされた。
曲終わり、最後の音を弾き終えると同時に、メンバー全員両腕を上げてバンザイ。
一気に音が消え、余韻もへったくれもない終わり方に会場からは拍手&笑い声が。
どうやら当時、GOZで「息子」をやる際のお決まりだったようで、それを懐かしめるファンの皆様方がとても羨ましかった。
(´ё ` )「これもね、やってたよね笑 なんだっけ?この手上げるやつ笑 なんでやることになったんだっけ?笑」
有太「さあ…」
シータカ「わからん笑」
(´ё ` )「…リハやってるとね、えらいもんで誰かが思い出すんですよ、『あれ、こここうやってなかった?』『あぁごめんごめん』みたいな」
この民生さんの言葉を聞いて、ふと「人は物事を忘れるんじゃない。どんな古い記憶も実は覚えていて、それを思い出すか思い出さないかだ。」というような名言が頭を過った。
それが本当かどうかはわからないし、人間忘れてしまいたいことも沢山あるから本当だったらちょっと困るけど、もし本当にそうなら、このライブというきっかけがあって久しぶりに演奏をするうちに、互いにそれを「思い出した」だなんて、なんだかとても素敵じゃないか。
だからこの瞬間だけは、その名言が本当であることを心から願った。
11.The STANDARD
弾き語りスタイルでなら生で聴いたことはあったのだが、バンド形態で聴くのは初めて。
どごまでも伸びやかな民生さんの歌声と、それに寄り添い、静かに支えるGOZの演奏。
観客は軽く身体を揺らしながらステージを見つめ、その音楽に聴き入る。
間奏で長田さんのギターソロを聴いて、同じメロディでも弾く人が違えばこんなに印象が変わるのかと改めて驚いた。
よくユニコーン川西さんが「民生の叩くドラムはすごくボーカリストらしい」と仰っているが、この時初めてその意味がわかった。
ドラムに限らずギターでもそうなのだな、と。
まるで歌っているようなグルーヴと抑揚があり、味わい深い民生さんのギター。よく「下手だ」をオブラートに包んで「味がある」と表現することがあるが、そういう意味ではない。本当に「味がある」のだ。
彼のギターの良さは、きっとわかる人達にしかわからない。裏を返せば、わかる人達には絶対にわかる。
その「わかる人達」が沢山ここに集まっているのだなと思った。
対して長田さんはさすがギタリストといった感じ。テクニックはもちろん、流れるようにリズムに乗りながら、曲のテンポを崩すことなくさらりと弾きこなす。
「拍」「小節」といった大きな枠組みから外れることなく、定められた範囲内で見事に自分の個性を出してみせる。まさにプロ。
ギターが2人いるからこそわかる違いも面白かったし、人が違えば音も違うという当たり前のことを改めて思い出させてくれた。
最後の「愛じゃないと ないと ないと」の語尾を、いつもよりだいぶ長く伸ばす民生さん。
じんわりとした暖かな余韻を残して、会場は大きな拍手に包まれた。
12.手紙
The STANDARDからの手紙。
今後一生ないのではと思うほど豪華な曲の並びに会場は大熱狂。
民生さんが歌い出すと、会場のあらゆるスポットライトが奥田民生ただ一人に集まり、民生さんの歌声とともに客席へ向かって爆散する。あまりにもかっこいい。
スポットを浴びているのは民生さんだが、実はタイミングを取っているのは根岸さん。
観客が皆ライトに照らされる民生さんに夢中な間、暗闇の中で律儀に足を上げる根岸さんと、民生さん含めライトなんかまったく気にせず根岸さんの動きに集中しているGOZメンバーが大変に可愛らしくてクスッとしてしまった。
とはいえ演奏は圧巻。
最後の「ひまがあれば」を鮮やかに歌い終えたと思ったら、そこからさらに観客を魅せる民生さん。
ステージ下手側の前方まで出てきて白熱のギターソロを演奏。
あのあたりにいる観客はあれほどの至近距離で直接ギターソロを浴びて大丈夫なのだろうか、一応救急車とか呼んでおいた方がいいのではなかろうかと思ってしまうほど。
民生さんご自身も、熱が増していくにつれ演奏に没頭し、最後の方は観客に背を向け、俯き加減でギターと対峙しながら完全に自分の世界に入り込んで弾いていた。
観客は皆動きを止め、食い入るように民生さんを見つめる。もうみんな民生さんしか見えていない。たぶんこの間に自分の荷物とか盗まれてもわからないだろう。
なんだかものすごいものを見た。それだけはわかる。
運営さんには、手紙ギターソロ時用貴重品盗難防止ロッカーとか準備してほしい。
13.無限の風
(´ё ` )「新しい曲もやらないと…この曲知ってるっけ?」
長田「知らない笑」
シータカ「知らない曲 笑」
(´ё ` )「そうか笑」
からの「無限の風」。GOZ時代ではなく、MTR&Yになってからの曲ということは、有太さん以外のメンバーはこのためだけに曲を覚えたということ…??そんな豪華なことある…??
それまでメインでハモリを担当していたのは根岸さんだったのが、ここでは有太さんがハモを担当。GOZ→MTR&Yに移り変わる歴史を感じて、なんだかとてもエモい気持ちになった。
去年のラビットツアーで何度か聴いていた曲だったが、この日の民生さんの歌声を聴いてびっくり。ラビットツアーのときより声出てるじゃん。え、なんで????
お酒の節制によるものなのかそれともタバコなのか、理由はよくわからないが、現状風邪を引いているというのに去年より声が出ている。衰えないにもほどがあるんじゃないか。
14.MANY
お若い頃の民生さんの面影を強く感じた1曲。
サビ最後、「ほらいっぱいの日差し」の語尾が「しーー」ではなく「しぃぇぇー」みたいに母音が変わっていくあの感じ…!!今の民生さんがほとんどされないその歌い方に胸がぎゅーっとなった。かっこいい。
サビの9小節目「胸いっぱいの腹いっぱい」、そう行くと思ったら行かんのかーい!な、わざと違和感を効かせた音程(伝われ)なのだが、民生さんはまだしも、ハモの根岸さんがそれにジャストピッチでついていけるの本当にすごい。歌が本職じゃないのになぜそんなに上手いのか。
ベーシストが歌上手いってことは歌上手かったらベーシストになれるってこと?(違うそうじゃない)
15.コーヒー
大大大好きで、あわよくばリリース時メンツのGOZで聴けないかなと思っていた曲。
しかし、昔のインタビューで(´ё ` )「あれ難しいんすよ、演奏もそうだけどコーラスも難しくてみんなやりたがらない笑」と仰っていたので半分諦めていた。まさかやってくれるだなんて。
この曲のサビの爽快感といったらない。絶対にここぞという高音外さないマンな民生さん。この日もズバズバクリーンヒット、ジャストピッチで鮮やかに歌い上げる。
コーラス隊も当時と変わらぬ歌声で民生さんに寄り添い、曲を彩る。
有太さん以外の皆さんは民生さんより歳上だというのになぜ変わらない。第一線に立ち続けてるミュージシャンたちは皆歳を取らないらしいぞ。
2番では「もう60だからということで言うことでさすがにやらないが」では会場から拍手が起こる。60???その歌声で???異常だぞ???(褒めてる)
最後のパートに行く前の間奏部分、今まで生で聴いたどのコーヒーより民生さんの歌声が若々しくて驚いた。いつもの、勢い&大迫力という感じではなく、お若い頃のように、軽くさらりと何でもないことのように歌い上げていて、まだ余力を残したその歌声に若干の畏怖すら感じるほどだった。
最後の最後、「明日晴れたら釣だ」からの締め部分で、今まで身体に溜まっていた鳥肌が一気にぶわりぶわりと波のように押し寄せてくるという初めての経験をした。あんなの高熱を出したときですらならない。
言葉にできないほど素晴らしく、生で聴けたことが一生の財産になるであろう演奏だった。
16.恋のかけら
この曲を斉藤和義さんと一緒にやった映像が大好きでずっと見ていたので、自然と和義さんが歌っていた上ハモを歌いたくなった。
バンド演奏で大爆音なのをいいことに、隣の席の方にもわからない、自分にしか聞こえないほどの小さな音量でハモを歌ってみた。めちゃくちゃ楽しい。
「奥田民生と同じところにいて、奥田民生の生歌で一緒にハモってる」というプチ贅沢を1人で存分に楽しんだ。民生さんの生歌にリアルタイムでハモれる機会なんてそうない。
「愛してる 愛してる」の部分も同じく超小さい声でハモってみたりして「奥田民生と一緒に愛してるって歌ったぞ!!!生で一緒にだぞ!!!」と1人で盛り上がっていた(バカ)
弾き語りだと音が少なく、ハモを歌おうものなら小さな声だったとしても周囲の方の迷惑になってしまう。大爆音バンドのときだからこそできるちょっとしたお楽しみタイムだ。
DAY1のレポにも書いたが、贅沢は贅沢できる余裕のあるうちにしておいた方がいいと思う。人様に迷惑を掛けず、自分1人でこっそりニヤニヤするぶんには、そういう楽しみ方もいいんじゃないだろうか。
17.MILLEN BOX
イントロの時点で大熱狂。民ソロを予習する中で大好きになった1曲で、今回やってくれないかなぁと思っていたのでめちゃくちゃ嬉しかった。
それまで座って曲を聴いていらした隣のお姉様が凄まじい勢いで立ち上がってノリ始めたのに驚いた←
第一声から当時の歌声と全然変わっていなくてびっくり。むしろ昔のライブ音源より声が出ている気すらする。歌い方も当時のままだ。
民生さんに促され、観客は手を上げて「MILLEN BOX!」と大合唱。あぁ、なんて最高なんだろう。このライブに来られてよかった。
18.御免ライダー
シータカさんがドラムを叩き始め、「両国ーー!!!」と叫ぶ。そのまま「1、2、」のカウントのあとベースが入った瞬間、会場は大熱狂。私も文字通り飛び上がった。
MILLEN BOXからの御免ライダーって。ちょっと。盛り上がっちゃうってこれは。
ここまで名曲、レア曲だらけのセトリだったが、会場が1番盛り上がったのは間違いなくこの曲だった。さすがはライブ定番曲、人気が不動すぎる。
老若男女、みんな席から立ち上がって思い思いに身体を揺らし、リズムにノリ、踊っている。漏れなく全員笑顔だ。
この曲で特に印象に残ったのがシータカさんの叩くドラム。もはやドラムが主役の曲なんじゃないかと感じるほど素晴らしい演奏だった。
シータカさんの音を生で聴くのはこの日が初めてだったのだが、一音目を聴いた瞬間「ヤックの叩くドラムに似ている」と思った。
音圧と勢いがありながらも、拍に対してジャストタイミングでリズムを刻んでくる、気持ちのいいドラミング。
ヤックとシータカさんの違いは「音の厚みとまとまり」だ。
さすがはシータカさん、一音一音すべての音に厚みがあり、そしてその音がバラつかずコンパクトにひとつにまとまっている。洗練度が桁違い。長年第一線に立ち続けているプロのドラマーはやっぱり一味違う。
というかドラマーでもないのにシータカさんの音と似ているヤックすごくない?
かなり似ている印象を受けたので、もしヤックがベースではなくドラムを選んでいたら、シータカさんのようになっていたのかもしれないな、とよくわからない想像をするなど。
曲の話に戻るが、そんなシータカさんの頼れるドラムを支柱に弦楽器隊が肉付けをしていき、それをさらにキーボードの音色が彩る。まさに理想のバンド形態。
ノリノリなのは観客だけでなく、民生さんも有太さんも曲に合わせてぴょんぴょん跳ね回っている。可愛い。50代後半のおじさんたち可愛い。
19.トロフィー
私は曲を聴くときに、どうやら歌だけでなくバックの演奏の音やベースラインやらを無意識下で細かく聴いているらしい。
そのせいなのか、いい演奏やノッてる演奏を聴くと、誰も歌っていないはずなのに下ハモの音が勝手に頭の中に流れてきたりすることがある。この曲もそうだった。
民生さんの主旋律の側に寄り添うような下ハモが聴こえてきて、「根岸さんかと思ったけど根岸さん歌ってないな、誰が歌ってるんだろう」と1人1人見たら、あらびっくり、なんと誰も歌っていない。勝手に私の中で聴こえているだけなのだ。
私は絶対音感ではないしハモに対して造詣が深いわけでもないが、昔からこういう現象がたまに起こるため、よくある普通のことだと思っていた。ある時何気なく母にその話をすると「なにそれ特殊だね」と言われてびっくりしたのを覚えている。
最初は「私がおかしいのかな」と思ったが、母に「お得でいいじゃん」と言われ、あまりの適当っぷりに呆れると同時に「まあいいか、確かにお得だし」と思えるようになった。そのおかげで今も楽しく曲を聴くことができているわけだから母の適当さ加減に感謝だ。
曲の話に戻るが、その私の特殊なハモ幻聴(言い方)が聞こえてくるほどには素晴らしい演奏だった。ドライブ感溢れるこなれたグルーヴと、あたたかく優しげな雰囲気。
2番の最後あたり「僕は先に行くよ 一番先に行ける 僕らならば」のメロディも改めて聴くととてもお洒落。
「僕は先に行くよ 一番先に行ける」は同じメロディを繰り返していて、そうなってくると、締め部分だしもう一度最後も同じメロディを繰り返したくなるところを、「僕らならば」であっさりと終わらせるところが非常に民生さんらしい。
絶妙な抜き加減とセンスのいい外し方。民生さんの大きな魅力のひとつだ。
20.CUSTOM
本編最後の曲は「CUSTOM」。令和のこの時代にSTANDARDとCUSTOMをどちらも聴くことのできるライブがあるだなんて。
風邪気味の状態で、これほどまでにハイカロリーなセトリをほぼ休みなく1人で20曲歌い続けてきた民生さん。さすがに少し疲労が見え始めたその声で、目一杯力を振り絞り、魂を込めて歌い上げる。
観客は皆動きを止め、曲に聴き入る。手を胸元で固く握り合わせる人、息をするのも忘れてステージを見つめる人、静かに涙を流す人。ここにいる全員が、奥田民生の歌声に耳を傾け、彼の息遣いを、吐き出される言葉のひとつひとつを、少しでも逃してたまるものかと、聴いている。
「届いてる?」
いつもの伸びやかな歌声に、強い鋭さが加わった最後の叫び。
届いていますよ、全員に。
21.マシマロ(ック)
アンコールを求める手拍子に応えて再び登場したGOZの皆様方。
アンコール1曲目はその名の通り、マシマロののロックバージョン、「マシマロ(ック)」だ。
驚いたのは民生さんのその歌声。先ほど見えかけていた疲労の色はどこへやら、たかだか数分の休憩でプラマイゼロですってかい。そうかい。とんでもない男のファンになったもんだよまったく。
演奏に関しては、もともと一本調子なメロディのため、アレンジの幅が無限大。あっちへ行ったりこっちへ行ったり、各々好き勝手遊び回る。
これぞロックンロール、演者も観客も皆ノリノリで最高に楽しい。
「君とともにいれるよう 日々努力し続けよう」の雄叫びでは、観客全員拳を突き上げ、会場は大盛り上がり。
22.愛のために
ラスト曲はもちろん「愛のために」だ。ソロとしての原点であり、GOZというバンドの原点でもある。
曲自体はMTR&Yで聴いたことがあったが、やはり「愛のために」はGOZの曲なんだなと思い知らされた。
カウントのあと、一気に全ての楽器が入った瞬間の「これだよこれこれ!」感、一音目の音のまとまり、バンドの一体感、どれを取っても一級品。さすがは初期メンバーだ、演奏が身体に染み付いている。まさに「原点にして頂点」。
2番のサビで観客に歌を振る民生さん。
観客はここぞばかりに声を張り上げ、爆音のステージまでどうか届くようにと全力で歌う。
民生さんはギターを弾きながらマイクから口を離して観客の歌声を聴く。
そうなると、マイクを通して主旋律を歌う人がいなくなり、ハモの音だけが響いてしまうため、普通はここでコーラス隊から誰かが民生さんに代わって主旋律を歌い、全体のバランスを取るところなのだが、GOZのコーラス隊はそうしない。
皆自分のハモりパートだけを歌い、主旋律のメロディを観客にすべて任せてくれる。
それが、「あんたらなら俺らが歌ってあげなくてもハモにつられず歌えるでしょ」と信頼されているみたいで嬉しかったし、奥田民生のファンだと認めてもらえた気持ちになった。嬉しい。楽しい。
根岸さんの特大足上げで曲が終了。会場は大歓声と拍手に包まれる。
全ての曲が終了し、昨日同様、ステージの端から端まで時間をかけて丁寧に挨拶回りをするGOZの皆様方。
私は2階席上手側、ステージ真上の1列目だったのだが、長田さん、シータカさん、民生さんが律儀にこちら側へ目線&お手振りをしてくださり「なーにが注釈付指定席だ最高じゃねぇか!!」と叫びそうになった。
特に民生さんは、なるべく観客全員、一人一人の顔を見ようとしているように感じた。
いつどのライブに行ってもそうだが、毎回本当によく客席を見ている人だ。そういうところも大好き。
全員が捌け、会場アナウンスが鳴り響いても尚なかなか手拍子が止まないほどに素晴らしいライブだった。セトリが神。供給過多。とりあえず奥田民生に最大級の感謝とお疲れ様を送りたい。
あまりのハイカロリーメインディッシュ連発セトリに半ば放心状態だったが、何とか帰宅。
2日間どちらも、現地へ行くことができて本当によかったし、この日のために頑張ってよかったと心から思った。
さらには新しく同世代の友人も増え、旅先での人の運にも恵まれ、なんかもう色んなものに感謝だ。ありがたい。
さてさて軽くまとめるつもりが、気が付いたら12000字だって。書きすぎ書きすぎ。
ここまで読んでくださりありがとうございました!!また次の激長レポで!!(激長は確定)