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奥田民生(MTR&Y、織田哲郎×うじきつよし×佐藤タイジステージへのゲスト出演)「中津川THE SOLAR BUDOKAN 2022」ライブレポ(22.9.25)
去年から、初ユニコーンライブ、初ABEDONソロライブときて今度は初フェス。そしてユニコーン以外での民生さんの姿を生で見るのもこれが初。
中津川ソーラーに民生さんがご出演なさるということは知っていたが、当然ソロでの出演だと思っていたので、タイムテーブルと共にMTR&Yでの出演が発表されたときはびっくり。参戦する予定はなかったのに、その情報にまんまとそそられ、気がつけばチケットを買っている私がいた。
母と2人での参戦だったのだが、これまでフェスにあまり関心を持ってこなかった母も、私と同じく今回が初めてのフェス。
ライブハウスやホールではなく、野外で音楽を聴くということに強く興味を持っていたので、今回行くことができて本当に良かった。
早速、人生初フェスの感想を交えながら、中津川ソーラー、MTR&Yの現地ライブレポをしていこうと思う。
私達親子が会場に着いたのは正午くらい。日差しが強く照りつけ、2日前の悪天候が嘘のよう。民生さんの立つREVOLUTIONステージに到着すると、MTR&Yのひとつ前の出番のandropが演奏をしていた。
野外ということもあり、正直音のクオリティには期待していなかったのだが、andropの演奏を聴いてあまりの音響の良さに驚いた。andropのMCでも「中津川は音がいいよと先輩たちに言われてきました」とあったように、とにかく音響のクオリティが凄まじい。
心臓にまで響き渡るバスドラと鼓膜を重く震わせるベースを筆頭に、野外フェスとは思えないライブハウスクオリティの音。
andropが終わり、MTR&Yまではまだ1時間近くあったものの、良席で見たかったため早めに場所を取っておくことに。前から6列目のドセンター、しかも前にいる皆様は皆さん小柄な女性ばかりという低身長の私にはラッキーすぎる席を勝ち取り、MTR&Yまで待機。ギリギリ日陰にならない場所で、あまりの暑さに焼け死ぬかと思った。
サウンドチェックでは、民生さんがよく演奏している赤のエレキと白のフェンダーが登場し、「あ、いつも見るやつだ」と1人ニヤニヤ。そうしているうちにサウンドチェックも終了し、日が傾いたことにより我々がいる場所も無事日陰になり、ようやくMTR&Yの出番。
早めに前列の席を取っていたこともありあまり後ろの方を気にしていなかったのだが、開演10分前になってふと後ろを見ると、先ほどまで十分に余裕があったはずのスペースが、沢山の観客で埋め尽くされていた。奥田民生ファンの人、ファンでなくても奥田民生に興味を持っている人、よく知らないけど「奥田民生」という名前は聞いたことがありせっかくならと見に来た人…様々な人が沢山集まっている。
当たり前のことだが、奥田民生はそれだけ沢山の人を集められるレジェンドだ、ということに改めて気付かされた。
ようやくMTR&Yの出番。
「イージュー☆ライダー」をSEに、メンバーが登場。客席では割れんばかりの拍手が沸き起こる。
初めて生で見た民生さん以外のMTR&Yのメンバー、特に礼さんを見て「うぉ…画面の中の姿と全く一緒だ…」と謎の感動をした(?)
1.KYAISUIYOKUMASTER
民生さんがギターをかき鳴らし、いきなりレア曲からのスタート。周りの観客が色めきだつのがわかった。
さすがはMTR&Y、バチバチに演奏が上手い。それぞれ出す音は別なのに、誰もはみ出さず綺麗にまとまってひとつの厚い層になり、骨太で力強いバンドサウンドを作り上げる。
民生さんの声の調子も、絶好調とまではいかなかったがなかなかの好調。とにかく声がデカイ、太い。無骨なバンドサウンドにしっかりハマりつつも、決してかき消されることなく存在感を放つ爆発的な声量。
2.快楽ギター
KYAISUIYOKUMASTERが終わると、すぐさま次の曲、快楽ギター。観客は歌が入る前に何の曲かわかり、皆ノリノリで踊りだす。
個人的に生で聴いてみたいと思っていた曲でもあったので、イントロの時点で私も嬉しさ大爆発。リズムに乗りながら民生さんの歌声に身を任せる。
「次のコード進行はAADA♪」の客席の一体感。そして民生さんの「中津川ーー!!!」が大音量で響き渡り、いっそう盛り上がる会場。
~MC~
(´ё ` ) えー、ありがとうございます、こんにちは、奥田民生です。(ここに来るのは)初めてなんでね。初めてのはずが、昨日FLYING KIDSでタンバリン叩いてしまいました、フライングでね
いかにも奥田民生らしいMCで客席からは笑い声が。
(´ё ` )(去年までは)サンプラザでしかやらせてもらえなかったんですけど、ようやく、ね、ここに来れたんで、はい。来年からは毎年来たいと思います
(拍手と歓声が沸き起こる客席)
3.トリッパー
時間の関係もあったのか、MCを早々に切り上げ次の曲へ。ギターをかき鳴らし、始まったのは「トリッパー」。民生さんの高音の伸びがとにかくすごかった。
演奏する民生さんの動きに、若い頃の名残がちらちらと見えたこの1曲。仰け反り方や頭の角度、今まで画面の中でしか見たことがなかった若かりし民生さんの面影がほんの少し垣間見えて、「本当に若い頃の民生さんと今の民生さんは同じ人なんだなぁ」とよくわからない感動をしたり。
4.荒野を行く
ライブの中でも、特に感動した1曲。以前、2000年代始めくらいの何かのイベントで民生さんが歌っている映像を見てから、是非生で聴きたいと思っていた曲だったので、イントロの時点で「もしや…?」となり、民生さんが歌い出した瞬間、あまりの嬉しさと興奮で軽くその場で飛び跳ねた(不審者)。
「あの映像から20年くらい経ってるし、多少の変化はあるだろうな」と思っていた。しかし、念願のその1曲は、驚くことに私が以前見た映像そのままだった。民生さんの声量、歌い方、なんなら声質まで何一つ変わっておらず、「変わってるなら変わってるで当時と違う良さがあるし、どうなってるか楽しみだな」などと考えていた私をいい意味で裏切った。
「めらめら燃える空は赤く 遙かな荒野を」
その瞬間、あまりの変わらなさに、タイムスリップをしたかのような不思議な感覚に陥った。
「光を灯せ 此処に居るのだ
印を探せ 迷わぬ様」
サビが来る、無意識に息を止めた。
「今 見えそうで消えそうな 道を行く」
たったそれだけ。たった数秒。それなのにそのたった数秒間で私の心はしっかりと掴まれてしまった。
きっとよく耳を澄まして聞けば多少の変化はあるのだと思う。民生さんも「自分的には3年前の声すらもう若く感じる」と言うほどだから、約20年前の声と全く変わらないだなんてそんなことあるはずないのだが、それでも、その時の私の耳には当時の音と変わっていないように聴こえたし、そう思わせるほど高いクオリティの素晴らしい演奏。
ラスサビまで歌い終わり、曲の最後、斎藤有太さんのキーボードソロパートへ。滑らかに指を動かし、自由自在に鍵盤たちを操る有太さんがすごいのは勿論だが、ここに来て小原礼さんの上手さにやられてしまった。
自由に跳ね回るキーボード、ギターと、演奏の舵を握るドラムとの間で、曲の骨組みを作り全体の土台をしっかりと固めている。「MTRY」の歌詞に「ベースはカナメだ」とあるが、まさにその通り、しっかりと要の役割を担っていらした。
民生さんはというと、最後の有太さんキーボードソロで、「斎藤有太ー!!!!」と叫んだっきり完全に有太さんお任せモードで、ギターを弾きながらもにこにこ、途中では弦を押さえず右手で適当にギターを爪弾きながら無理やり開けた左手でジンジャーエール(仮)を飲んでいらした。なんにも気付かずソロを頑張る有太さんと、気付いて笑う礼さん湊さん、楽しそうで何よりです笑笑
~小談笑タイム~
「荒野を行く」が終わると、メンバーと少し談笑。ギターチェンジをしながら有太さんに話しかける民生さん。
(´ё ` ) 時間!!時間大丈夫?まだ大丈夫??
(礼) まだ大丈夫でしょ
(有太) 大丈夫
(´ё ` ) 本当に大丈夫?これで大丈夫じゃなかったら、さっきのキーボードが長すぎたってことだからね?
「荒野を行く」の最後、有太さんのキーボードソロについて触れる民生さんに苦笑する有太さん。客席からも笑い声が漏れる。
5.愛のボート
談笑が終わり、始まった「愛のボート」。この曲では、あまりの礼さんの上手さに、最初は民生さんを見ていたはずがいつの間にか礼さんに持っていかれている瞬間が何度もあった。
冷静に、淡々とベースラインを刻む礼さん。生で見るまで、なんとなく勝手に「EBIさんと似たタイプの、柔らかくしなるベースを弾きそう」とか思っていたが、全くそんなことはなかった。
堅実で、太く厚みがあり、暖かくもしっかりと重いベース。さすがのリズムキープ力で安定感も凄まじく、それを「なんにもしてませんよ」とでも言わんばかりに表情ひとつ変えず淡々と演奏するものだから、レジェンドの風格と高い実力を感じずにはいられない。
前から6列目というラッキーな席を勝ち取り、「こんなに近くで民生さんの歌を聴けることも姿を見れることもなかなかない、しかもこの曲割とレアだし、目と耳に焼き付けておこう」と、民生さんのボーカルに集中していたはずが、時々耳を礼さんに持っていかれ、気付いた時には目線まで礼さんに持っていかれていた。とんでもない人だ。民生さんがバンドメンバーとして絶大な信頼を置いているのも頷ける。
6.イナビカリ
民生さん、有太さん、礼さんの3声ハモが炸裂。ここでも礼さんのコーラスの上手さに驚いた。
そして民生さん、シンプルに歌が上手い。今更ながら心からそう思った。
通常、高音の時に声がデカくなるのはわかる。高い声を出すには声を張り上げなければいけないし、尚且つピッチもスパッと当てるためには思い切り息を吸い、一気に空気を肺に取り込まなくてはならない。よって高音を出す際に大きな声になるのは納得なのだが、民生さんは高音のみならず低音を歌うときでも声がデカイ。特に思い切り息を吸っているわけでもないのに、だ。
無音で見たら、ひょっとして普通に喋ってるだけなんじゃないかと思ってしまいそうなほど、特に表情を変えず、口もさほど大きく開けてはいない。声も張り上げていないし、力強く歌ってるわけでもない。それなのにどういうわけか、低音にもかかわらず、バンドサウンドに負けないくらいには歌声がデカイのだ。
もう訳がわからない。それだけもともとの声がデカイのだろう。しかしながら、決して大柄とは言えない、あの細く華奢な身体の一体どこからあんな声量が出ているのかと不思議でならない。
この曲も民生さんにしては割と低めのキーで、ピッチの変化もあまりない歌だったので、いっそう民生さんの声のデカさと歌の上手さが際立っていた。
7.御免ライダー
観客の一体感が凄まじかった1曲。
なかなか聴けないレア曲に、一気に盛り上がる会場。民生さんもノリノリで、お尻を左右にフリフリしながらリズムに乗り、楽しそうに歌う。
「さあ ローリンローリン 通りを」
「ただ ローリンローリン 通りを」
「今 ローリンローリン 脳裏に」
民生さんはピックを持ったままの右手を高く上げ毎回、「ローリンローリン」のリズムに合わせて人差し指をくるくる。それを見た観客も民生さんの真似をし、くるくる。
民生さんが観客を煽る際、「リズムに乗ってギターを左右に振りながら演奏する(WAO!のサビでよく見る)」というような決まった煽りしか見たことがなかったため、毎度律儀に振り付けを自ら踊り、それを真似する観客をじっと見つめては目線をふっと外しまた歌い出す民生さんの可愛さにきゅんとした。
間奏ではリズムに乗って演奏しながらぴょんぴょんと小さく跳ね回り、とにかくノリノリな民生さん。
民生さんの可愛さと観客の一体感が素敵な1曲だった。
~小談笑 ②~
2回目の小談笑。いまいちどの曲間でやったか覚えていないのだが、大体この辺だった気がする。間違ってるかもしれないが。(おい)
またもや時間が気になる民生さん、有太さんに確認を取る。
(´ё ` ) これじかん…時間だいじょぶ?これ何時までやっていいんだっけ?
(有太) 大丈夫大丈夫。まだ全然。
(´ё ` ) あ、大丈夫?大丈夫ってのはギターソロ7分くらいやってもいいってこt…
(有太) それは短めで
食い気味に否定される民生さんに客席からは笑い声が。ツッコんだ有太さん含めバンドメンバー全員、小さく笑っていらした。
8.明日はどうだ
爽やか且つ疾走感溢れるバンドサウンドでの「明日はどうだ」。バンドメンバー間のコミュニケーションが目立つ1曲だった。
民生さんが歌う後ろで、演奏しながらアイコンタクトを取り笑い合うバンドメンバー。その中心にいるのは有太さんだった。
ドラム側を向いて演奏する有太さん、演奏しつつ時々湊さんに視線を送り、それに気付いた湊さんは、有太さんと目を合わせ笑い合う。
次に、演奏しながらわざわざ振り返り礼さんを見る。気付いた礼さんは口許を綻ばせ、小さく頷きながら口角を上げる。先程まで淡々と表情ひとつ変えず演奏してたとは思えないほど柔らかな表情で有太さんと目を合わせ笑い合う。
最後に、間奏でマイクから離れ振り返った民生さんが、礼さんを見る。その表情の変化に気付いた民生さんは湊さん、有太さんと順に視線を合わせ、それまでそれぞれ淡々と自分の役割をこなしていたのが、音だけでなく空気もひとつにまとまった。
これぞバンドの醍醐味だ、そしてここで完全にひとつになった4人は、次の曲で最大の大爆発を起こすことになる。
9.最強のこれから
「明日はどうだ」が終わり、チラリと腕時計を確認した民生さん。
(´ё ` ) あと…あと10分!!笑……10分で2曲!!!
そう叫んだ民生さんに、客席からは歓声と拍手が沸き起こる。そうしてそのまま突入した「最強のこれから」。
そのギターリフだけで、観客は皆、何の曲が始まろうとしているのかわかった。客のボルテージも最高潮まで高まり、民生さんのギターに、他3人のベース、ドラム、キーボードが乗っかった瞬間、全ての空気が一変した。
出だしだけでわかる。とんでもない。暴力的なまでに凄まじい音の塊が全身をビリビリと震わせた。
AメロからBメロへと曲が進むにつれ、民生さんの声も明らかに熱量が増し、より伸びやかに、より力強くなっていく。
「ヒビや シミや ズレや 穴も
君と見るとわりとたのしいや
紙と 墨と 筆で太い字で
書きしるすのが カギ」
大きく身体を揺らしながら、その声に、演奏に、身を任せる。
「倍転の半生 廻転の骨のバネ
最高の人生 最高のアカのツメ」
ギターの音が、キーボードの音が、ベースがドラムが、1つにまとまり渦巻く。
「まばたきしちゃ 見えないよベイビー
さっさっ
あっというまに とおざかるよハニー」
そう叫ぶように歌い、雄叫びを上げる民生さん。あまりの迫力とかっこよさに、訳もわからず涙が滲んだ。
突然、渦巻き共鳴していた色んな音が止み、有太さんのキーボードだけが静かに鳴り響く。
「ひとつ変えたら ふたつ変えたら
ひとつふたつぬけたら
ひとつこえたら ふたつこえたら
ひとつひとつこえたら」
キーボードに寄り添うように、低く落ち着いた声で呟くように歌う民生さん。泡立っていた水面が揺れを収め、嵐が来る前かのような静けさが辺りに広がる。
「森をぬけたら 山をこえたら
遠く海が見えたら」
ボルテージを下げつつも、炎の灯は未だ消えていないドラム、ベース、ギターが合流し、再び小さく波を立てる。
「君と変えたら 君とこえたら
君と海を見れたら」
小さな波は断続的に水面に揺れを起こし、新たな波を作り始める。
「最高はこれから 最強はこれから
最高の最強のこれから」
その波は徐々に勢いを増し、少しずつ少しずつ、けれども確かに感じ取れる速さで変化をする。
「最強はこれから 最高はこれから
最高の最強のこれから」
波はどんどん連なり、やがて激しい大波となってこちらに迫ってくる。
「最高もこれから 最強もこれから
最高の最強のこれから」
渦巻き泡立ち、そこまで来ている、逃げることはできない。そのドラムが、そのベースが、そのキーボードが、そのギターが、その声が、見たことのない大波を作り出す。
「最高もこれから 最強もこれから」
来る。
「最高の 最強の これから」
涙が溢れる。
わかっていたはずなのに、身構えていたはずなのに、抗う術もなくその大波に呑み込まれた。全身をビリビリと震わせる音の塊に、他のことはもうどうでもよくなるほど魅せられてしまった。間奏ではセンターに躍り出て、渾身の長尺ギターソロを決めた民生さん。その動きや表情も、曲に陶酔することがあまりない民生さんのレアな姿を見ることができた気がして嬉しかった。
とんでもないものを見た。「さすが」としか言いようがない。この時点で、初のフェスがこれでよかった、来年も絶対に来ようと心から思った。
10.さすらい
嵐のような凄まじい1曲が終わり、民生さんの「FLYING KIDSを見に行きましょう!!」というなんとも緩い勧誘の後、突入したラストの曲「さすらい」。
先程までの空気とは一変、聴き馴染みのある名曲に、観客もステージも明るくリラックスした雰囲気になっていた。
あれだけ話題になったfirst takeで演奏された曲を、そのままのメンバーで聴くことができて本当に良かった。民生さんの伸びやかな声が空に響き渡り、観客は皆手を上げ、サビを一緒に盛り上げた。
大きな拍手で終わりを迎えたMTR&Yのステージ。本当に素晴らしく、全員の高い実力とチームワーク、そして音楽を楽しむ姿勢が存分に詰め込まれたパフォーマンスだった。
(´ё ` ) ありがとうございましたー!また来年会いましょうー!!!
拍手の中でそう高らかに言い残し捌けた民生さんを見て、私的初フェスは終わりを告げた。
はずだった。
~番外編・織田哲郎×うじきつよし×佐藤タイジのステージ~
MTR&Yが終わり、「さあどうするか、FLYING KIDSも見に行きたいけど、うじきさんたちのステージも見たい。でも昼飯食べてないしとりあえずなんか胃に入れるか」と休憩。
というのも、MTR&Y、FLYING KIDS、うじきさんたちのステージは時間的には3連続、しかしそれぞれ違う場所にあるステージで、FLYING KIDSを見ているとうじきさんたちに間に合うか怪しかったのだ。
うじきさんのことは、民生さんのファンになるまで名前すら存じ上げなかったのだが、民生さんがギターを始めたきっかけである人と知り、単純に奥田民生の憧れの人だから見てみたいし歌も聴いてみたいという気持ちがあった。
そして、密かに「なんか民生さん出てきそうな気がする」とも思っていた。うじきさんだけならまだしも、お友達である佐藤タイジさんもいるのに、お友達大好きの民生さんが黙って見ているだけなわけがないと思い、見に行くことに。
少し遅れてステージを見に行き、着いたときには2曲目が始まっていた。そしてその曲が終わり、3曲目の前、私の勘は見事に的中した。
(???) イェイイェイイェイ
袖から謎の声が聞こえてきて、そちらを見ると、
(うじき) なんかお人形みたいな2人がいるぞ?
すると登場したのは、FLYING KIDS終わりで派手な衣装のままやって来た浜崎さんと、完全に私服に着替えグラサンも外して普通のメガネを掛けたオフモード全開の民生さん。
(うじき) たみー!!!
うじきさんに紹介され、握手をする民生さん。
(´ё ` ) いやいやそうなのよ、昨日、あの…すいません織田さん笑
1人だけ状況がよくわからずポカンとしている織田さんに、眉を下げながら軽く謝る民生さん。
(´ё ` ) 昨日、あのー、飲んでるときに、次の曲に来るだ来ないだっていう話…
(タイジ) 話してたね
(´ё ` ) してたんすよ
(タイジ) してたね
(´ё ` ) してたんよ
(うじき) まじかよ
(タイジ) 明らかにしてた
(´ё ` ) (タイジ)うじきんぐ
(うじき) 俺言ったっけ、そんなこと?
(タイジ) 言ってた
お酒の勢いで言ったことを覚えていない先輩と、覚えてたしちゃんと来た後輩(´ё ` )。
(うじき) よし、じゃお前ギター弾くか。
(´ё ` ) ……ギターを!?(歌うと思ってたのか高めの裏返り気味ボイスで言い放ちキョトン)
(うじき) いや、酔った時「俺はギター弾けるよ」って(言ってただろ)…
(´ё ` ) 弾ける弾ける!!!
(うじき) 弾けるだろ?
(´ё ` ) じゃー歌ってくださいよ
後輩モード全開の民生さん。それまでうじきさんが弾いていたギターを肩に掛け、うじきさんが座っていた椅子に腰掛ける。
巻き込む形になってしまった織田さんへ、申し訳なさそうにここでもペコリと一礼。
(織田) 奥田くんもこれ(次にやる子供ばんどの「のら猫」)弾けちゃうの?
(´ё ` ) 俺は、子供ばんど全部知ってます
きっぱりと言い切る民生さんに客席からは歓声が上がる。
(うじき) 泣くぞお前!!……ハンドマイクでこの歌歌うと思わなかったよ笑
そう言ううじきさんをパッと振り返り、ワンコのように笑う民生さん。
(´ё ` ) うじきんぐピックの1つもないの?
(うじき) あ、そっかピック…(ポケットをごそごそ漁り、ピックを民生さんに手渡す)
先輩後輩というよりは、少し生意気な息子とそれに慣れてる父のような会話。あまりの微笑ましさに会場も笑いに包まれる。
(´ё ` ) もっのっすっごっい西日っ!
あまりの眩しさに誰にも拾われないほどの小さな音量でそう呟く民生さんの可愛さたるや。
歌う直前も、額の汗を手で拭い、
(´ё ` ) あつぃ……
と語尾が消え入るほど本当に小さな声でほわほわと呟いた後、隣の織田さんにまたもや一礼。巻き込んでしまったことに相当の申し訳なさを感じていたようで本日三度目の礼。そこも可愛い。
その後もカウントを誰が取るだ、キーは何だと全員50オーバーのおじさんたち5人で散々ワチャワチャした後、うじきさんのカウントで子供ばんどの「のら猫」がスタート。
なにも言われずとも完璧にギターを弾きこなす民生さん、うじきさんの歌声に合わせて自分も少し口パクをしてみたり、うじきさんがなぜかギターのリズムを口ずさみ、それに合わせて民生さんも演奏、顔を見合わせて爆笑するなど楽しげな雰囲気。
そして2番後の間奏、今までのコードのパターンが変わるとき、
(うじき) (コードが)変わるよっ!変わるよ!!
(´ё ` ) (真横のうじきさんをじーっと見つめて言われた通り演奏。そしてギターソロを弾き始める)
(うじき) おっ!いいよいいよ!民生行けっ!
(´ё ` ) (ギターソロを弾き終わりバッキングに戻る)
(うじき) いいなぁ…!
初めて自転車に乗れた息子とそれを褒める父の図(違う)。普段先輩と共演したときでも後輩モードが発動しがちな民生さんだが、憧れの人が相手ともなると、後輩を通り越して息子になるらしい。
そして最後のサビは全員で歌唱。ユニゾンで歌ったかと思えば、打ち合わせなしでも相変わらず「なんにもしてませんけど」みたいな顔で完璧に下ハモを歌いこなす民生さん。さすがすぎる。
息子から一流ミュージシャンに戻ったかと思えば、曲が終わり会場が拍手で包まれると、ひょこっと両肩をすくめ、顔の真ん前に持ってきた両手で小さくぱちぱちと拍手しながら満面のスマイル。息子に逆戻り。可愛い。
(タイジ) 民生ちゃん完璧やん!
(うじき) 奥田民生ーーー!!!!!
(タイジ) 奥田民生やっぱすごいなぁ…
(うじき) 民生、お前いつの間にかギターの腕上げたな!
(´ё ` ) いやいや…
(タイジ) 練習した?ひょっとして。してないよね?
(´ё ` ) してないよぉ(と言いながら今自身が弾き終わったうじきさんのギターを眺め、)なんか何いつの間にこんなの(ギター)持ってんですか
(うじき) なに?
(´ё ` ) しましまのやつじゃないの?
(うじき) バカ俺だって40年も経ちゃ進化すんだよ笑 軽いだろ?
(´ё ` ) かるい…
完全に息子。最後はうじきさんの「はまちゃーーん!たみーー!!ありがとー!!!」で
(´ё ` ) ありがとうございました、お邪魔しました!!
と捌けていった。捌ける際もうじきさんの肩を両手でぽんぽん、タイジさんの肩を両手でぽんぽんと順に先輩と友達を満面の笑顔で触り、捌けていった。
その後のトークでうじきさんが「たみーは高校生に戻っちゃうんだな、あの曲やると」と言っていたように、キラキラとした笑顔で演奏する民生さんを堪能できたステージだった。
これにて民生さんの現地レポは終了。
この後、完全にうじきさんの魅力に骨抜きにされ結局最後まで見たお三方のステージ、最後の曲のラスサビで織田さんにピンポイント指差しを頂き、織田さんのことを存じ上げなかったため後々Wikiを覗いたら、とんでもなくすごい方で震えたり、The BONESを遠巻きに見てたらボーカルの方が民生さんのステージを覗きに来てうちの母の目の前にいたらしいことが発覚したり、特にファンというわけでもなかったサンボマスターのステージをフルで見てしっかり泣かされたりなどした。(怒涛過ぎる)
人生初のフェスが中津川ソーラーで本当に良かったと思うし、最高の思い出、人生の輝く大切な1ページになった。
サンボが終わり、会場を後にする際、背中越しに聞こえたMCの方の「帰りながらで結構なので、アーティストの皆さんに大きな拍手を!スタッフに大きな拍手を!そして見に来てくださった皆さん自身に大きな拍手を!!!」の言葉に力一杯拍手した。素晴らしいフェスだった。
来年もきっと行く。絶対行く。今度はもっと効率的に回って帰りのホテルも取っておく。(ホテル取っておらず暗闇の道で高速にも乗り損ね深夜1時に家に着いたおバカな親子)
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