最近読んだ本 2023/10/30
講座 臨床心理学 臨床心理学とは何か (2001) 下山晴彦・丹野義彦 編
特に、第1部「臨床心理学の専門性」第2部「日本の臨床心理学の発展に向けて」を刺激的に読めた。
臨床心理学は、歴史的にいろんな技法や理論が混ざり合ってできたこと、日本においては深層心理的心理療法が主流だったことによる負の側面として、実証性が軽視されていること。
イギリスでは臨床心理学、カウンセリング、心理臨床が、明確に分化されているのに対し、日本では心理療法を理想としながらも実際はカウンセリングをしていて、臨床心理学は実質的に機能をしていないこと。
20年以上前の著作なので、どれだけ今も残っている課題かは見ていきたいが、私の中でも臨床心理学の捉えどころのなさというか、まず何を勉強して、何をベースの理論とした上で、何をトッピングしていけるのか、という全体のマッピングができていないことにモヤモヤを感じていたので、学びとしての臨床心理学を統合的に捉えようとする試みはとても刺激的だった。
きっと公認心理師の出現に伴って、さらに議論がされているはず?
心理療法統合ハンドブック (2021) 杉原保史・福島哲夫 編
まだ第1章しか読んでいないが、面白い。
効果的な心理療法を行うためには、単一の学派に基づく実践では不十分で、心理療法を統合的に捉える必要がある。
1970年代から発展した心理療法統合の背景や歴史、またその統合の仕方にもいくつかのアプローチがあり、それぞれのアプローチにおける研究について書かれている。
日本では、70%以上の心理職が折衷的に技法を取り入れているとのことだが、統合的な視点を持って理論を持ってあえてそうしているというより、実践の中で仕方なくという消極的選択によるものというイメージ。
しかし、それこそがきっとクライエントに求められている??
「ふつうの相談」を思い出した。
心理療法の統合について、「講座 臨床心理学」のところでも似たようなことを書いたが、私自身も各技法の関係性とか、いろんな技法がある中で、心理療法家はどのように拠り所になるものを発見し、習熟していくのか、ブラックボックスの領域が大きかったので、臨床心理学の学びにおける心理療法の統合という視点でも興味深い。
本書もそうだが、関連する書籍などももう少し読み進めてみたい。
先輩に聞いてみよう! 臨床倫理師の仕事図鑑 (2017) 植田健太・山蔦圭輔
放送大学で勉強をしていると、周りの人がどういうふうに学び、どういう進路を目指しているのかが見えにくい。
この本では写真付きで、臨床心理士関係の人たちがどんな仕事をしているのか、ある一日のスケジュールとかも併せて載っていて、なんとなくイメージが思い浮かぶ。
(私自身、会社員だった時は日ごとにスケジュール違いすぎて、会社説明会とかで「一日のスケジュールを聞かせてください」と言われると結構悩んだので、あくまでも一例に過ぎないのだとは思う。)
気軽に読めてよかった。
公認心理師・臨床心理士大学院対策鉄則10&サンプル18 研究計画書編 (2018) 河合塾KALS監修 渋谷 寛子・宮川純
いくつか研究計画書のサンプルがあって、それに対するコメントがとてもわかりやすかった。
ただ、私の研究したいテーマと研究計画書、相性悪いのかもということでちょっと考え中。
時間を確保して計画的に取り組むのがとても大切ということ。
テーマは考え中だが、とりあえずさわりだけでも書いてみる。
以上。