太平記 現代語訳 40-6 流れが変わってきた(最終章)

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この現代語訳は、原文に忠実なものではありません。様々な脚色等が施されています。

太平記に記述されている事は、史実であるのかどうか、よく分かりません。太平記に書かれていることを、綿密な検証を経ることなく、史実であると考えるのは、危険な行為であろうと思われます。
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足利幕府・リーダーA とにもかくにも、今やらなきゃいかん最優先の課題は、管領(かんれい)職の選定と任命、これだよ、これ!

足利幕府・リーダーB 同感だな。第3代将軍たる若君(注1)は、まだ幼くていらっしゃるもんなぁ。

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(訳者注1)足利義満。
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足利幕府・リーダーC 「この人に任せときゃ、ぜったい、だいじょうぶ」ってな人を、管領に選出してさぁ、若君の補佐、バッチシやってもらわにゃぁ。

足利幕府・リーダーD でぇ・・・いったい、誰? 誰を管領に?

足利幕府・リーダー一同 ・・・。

足利幕府・リーダーE ・・・そうねぇ・・・ここはやっぱ、あの人でしょぉ。

足利幕府・リーダー一同 ・・・(Eを注視)。

足利幕府・リーダーA 「あの人」って、誰?

足利幕府・リーダーE 「敵を滅ぼし、人をなつけ、諸事(しょじ)の沙汰(さた)のそのさばき方、あの貞永(じょうえい)年間、貞応(じょうおう)年間の鎌倉幕府・黄金時代を、ほうふつとさせるような所がある」と、世間が評してる人さ。

足利幕府・リーダーー一同 ・・・(Eを注視)。

足利幕府・リーダーE 中国地方の統治を、委任されてる人。

足利幕府・リーダーD 細川頼之(ほそかわよりゆき)か!

足利幕府・リーダーE そぉ!

足利幕府・リーダーC なぁるほど。

足利幕府・リーダー一同 なるほどねぇ・・・うーん、彼だったら、立派に管領つとまるだろうよ。

というわけで、右馬頭(うまのかみ)・細川頼之(ほそかわよりゆき)を武蔵守(むさしのかみ)に補任し、幕府管領(かんれい)職に就任させる事に、衆議一決した。

頼之が管領に就任するや、外向きの姿と内に秘めた徳の両面において、世評に全く違わないその姿に、足利一族の面々も彼を重んじるようになり、外様(とざま)の人々も彼の命に服するようになっていった。

かくして、万人待望久しかった中夏無為(ちゅうかぶい:注2)の治世がようやく到来した。

長く続いたこの戦乱の世にも、平和の方向に向かって歴史のベクトルが収束していく様相が、ようやく見えてきた。あぁ、なんとすばらしい事であろうか!

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(注2)国家が、自然にうまく治まっている様。
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