三つの大河と濃尾傾動運動
地学, インデックス へ
-----
2024.7.26 presented in [note] ( //note.com/runningWater/]
2024.8.9 rewritten
-----
東京から、東海道新幹線に乗って、新大阪へ向かう時、時には、いわゆる海側の席に座ることもある。
名古屋を出て、しばらくすると、その海側の車窓の向こうに、私が好きな風景が見えてくる。
列車進行方向に、長い山々が現れる。それがたまたま、夕暮れどきで、山々のバックがオレンジ色に染まってたりしたら、超ラッキーだ。
その、山と平野の風景に見とれているうち、気が付いてみると、すでに、列車は、関ケ原にさしかかりつつ、ある。
私が、いったい、どのあたりのこと、どの山々のことを言っているのか、それを確かめたい、という方は、
[地理院地図]のサイトにアクセスし、[岐阜羽島駅]をキーワードにして、検索していただくと、そのあたりの地図が、表示されるのでは、と思う。
縮尺を調整しながら、岐阜羽島駅から西の方に進んでいくと、山地に行きつくと思う。その付近には、[養老公園]、[養老ノ滝]というような表示が、見つかると思う。
先ほど、私が言っていた、[長い山々]とは、この山地のことなのだ。[養老山地]と、呼ばれているようだ。
インターネットで調べてみて分かったのだが、この山地の成り立ちには、断層が、深く関わっているようだ。
-----
さて、話の列車進行を、[養老ノ滝]のあたりから、[岐阜羽島駅]へ、戻そう。
[地理院地図]で見ると分かると思うのだが、(他のネット上の地図でも、わかると思う)
岐阜羽島駅のあたりで、列車は、3つの大河を、次々と渡っていく。
まず、木曽川、次に、長良川、そして、揖斐川、という順で。
このエリアは、日本史や治水関連の事に関心を持つ方々にとっては、様々な情報を得ることができる場所である。例えば、
[秀吉の一夜城(墨俣)]
[奥の細道むずびの地]
[千本松原・薩摩義士顕彰碑]
[輪中堤]
[長島一向一揆]
[元号・養老の由来](古代日本史に[養老律令]という語があるようだが、これも、この元号に関係しているのだろうか?)
[養老天命反転地] という施設もあるようで、これに関心を持ち続けている(残念ながら、まだ、行けていない)。
-----
次に、話の列車進行を、川に関する話題の方向へ、変えるとしよう。
[地理院地図]で縮尺を調整すると、先に述べた三大河の全貌(水源から河口まで)を見ることができるだろう。そして、気づかれると思う、これら三大河の流路の、ある不自然さに。
異なる方向から流れてきた、三大河の水が、なぜか、岐阜羽島駅のあたりに、一点集中に、なっていくのだ。
集中の後は、三大河・並列のまま、伊勢湾へと行く。
この不自然な流路の背後には、いったい、何があるのか?
ここで登場するのが、ある、スケール巨大でダイナミックな、大地の動き、それを人々は、
濃尾傾動運動
と、呼ぶ。
ようは、
濃尾平野の西側が沈降し,
東側の三河高原側が上昇する、
その結果、
平野部全体が、西へ傾いていく
という事に、なっているようなのだ。
には、
「東が高まり西が低下する東高西低の濃尾傾動地塊運動の進行の結果」
と、ある。
濃尾地震における震裂波動線生成の解明, 研究代表者 福和 伸夫,(名古屋大学 環境学研究科 都市環境学専攻)
によれば、この運動は、現在進行形であり、
「・・・これまでの平均傾動速度は、概ね 1.0×10-4rad/千年程度と考えられている。」
なのだそうだ。
傾く動き、ということなので、このように、その運動の速度が、角速度で表現されているのだろう。
この角速度から、濃尾各地の今後の標高変化を予測することが可能、ということなのかもしれない。
-----
さて、この[濃尾傾動地塊運動]と、[三大河の流路 岐阜羽島・集中]とが、いったいどのように、関わっているのだろうか?
下記を読んで、私は、その疑問を解決することができた。
濃尾平野 ~花こう岩がもたらした平野~, 岐阜大学教育学部理科教育講座(地学)
特に、このコンテンツ中の
=====
平野の“入れ物”づくり
河川の下流部においては,供給された土砂を蓄える“入れ物”が用意されていないと,土砂はそのまま海へ流されていってしまいます。その容器は,自然界が一定の範囲の大地を沈降させていくことで造っていきますので,堆積盆といいます。
=====
の箇所を読んで、納得がいった、という気がしている。
[濃尾平野 濃尾傾動運動]、[濃尾地震 地盤 濃尾傾動運動]
等でネット検索すれば、これに関して、他の情報を、得ることができるかもしれない。
[輪之内町 輪中]、[輪之内町 十連坊輪中堤]、[輪中 宝暦治水]、[宝暦治水 薩摩藩]
等でネット検索して、この地域の治水に関連する情報を得ることが、できるかもしれない。
[地理院地図]を使うと、様々な場所の標高を、知ることができる。
それを使って、調べた結果、以下のような事も、知った。
伊勢湾の沿岸部には、標高がマイナス値(海面よりも低い)を示す地点がある。
これよりも北方の海津市においても、揖斐川と長良川の間の地域(例えば、海津町高須地内)で、標高がマイナス値を示す地点がある。
[地理院地図]でネット検索すれば、[地理院地図]のサイトに到達できるのではないかと、思う。
養老山地に関係がある断層については、下記の情報があった。
-----
地学, インデックス へ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?