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【連載小説】「続・妄想人間」
第2章 加奈さん
妄想人間。それはすぐに妄想をする人間。他人に迷惑をかけない程度なら妄想はいくらしても構いません。妄想によって幸せな気持ちになれることもあるでしょう。しかし、他人に迷惑をかけるような妄想は困ります。サエちゃんの職場にいる妄想人間は後者のタイプなので厄介です…。
前回の話はこちらから↓
「やっぱりミノリ先輩は偉大だったなぁ…」
ある日のサエちゃん。仕事が立て込んでいる中、ふと呟きます。
きちんとミノリから仕事を引き継いだはずですが、ミノリのようにうまくこなせません。
今のサエちゃんは仕事で頭がいっぱい。
彼氏を作ったり、友達と遊んだりすることは後回しになっています。
それでも仕事が好きなので、愚痴をこぼしながらも何とか毎日コツコツやっているところです。
そんな中、加奈さんがフラッとサエちゃんの職場にやって来ました。
誰かに書類を渡しに来たようです。
そのついでにサエちゃんのところに寄っていきます。
「ねぇ、今度ウチの弟に会わせてあげようか?」
仕事中に話しかけてくる加奈さんにイラッとくるサエちゃんです。
しかもまた妄想話をしています。
ハンダタツノリ君が加奈さんの弟のはず、ありません。
でも、サエちゃんは考えました。
ここで「はい!」と答えたらどうなるのだろう、と。
妄想だったら、加奈さんはうろたえるはずです。
だって、弟だというのは嘘なのですから。
仕事でイライラしていたのと、いたずら心が湧いて、サエちゃんは
「ぜひ会わせてください!」
と言ってみました。
加奈さんの反応は…。
「うん!じゃあ今度、スケジュール聞いておくね!」
と言って去っていったのです。
拍子抜けしたサエちゃん。
しばらく仕事が手につかず、部長に怒られてしまいました。
後日、加奈さんから「◯日が弟の休みなんだけど空いてる?」と
休憩時間に聞かれたサエちゃん。
サエちゃんもその日は用事がありません。
加奈さんとハンダタツノリ君と三人でイタリアンレストランに食事に行くことになりました。
はたして、本当にハンダタツノリ君は来るのでしょうか?
加奈さんは妄想話の収集をどうやってつける気なのか、サエちゃんは気になってたまりません。
そしてついにその日がやって来ました。
指定されたレストランに直接行くと、既に加奈さんの姿があります。
「もうすぐ来るから」と、にこやかに言う加奈さん。
直前にハンダタツノリ君は仕事の打ち合わせが入ってしまったそうです。
そして…。
遅れてやって来たのは本当にハンダタツノリ君でした!
驚いたのは言うまでもありません。
大ファンの人が目の前に居ることで、サエちゃんはその日、どういう話をしたのか、何を食べたのか、全く思い出せないまま家に帰りました。
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