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【連載小説】「続・妄想人間」
第3章 ミノリ
妄想人間。それはすぐに妄想をする人間。他人に迷惑をかけない程度なら妄想はいくらしても構いません。妄想によって幸せな気持ちになれることもあるでしょう。しかし、他人に迷惑をかけるような妄想は困ります。サエちゃんの職場にいる妄想人間は後者のタイプなので厄介です…。
↓前回の話はこちらから。
https://note.com/runmage_rumi1820/n/nf616655f09ec
ミノリから一時帰国するとの連絡が入りました。サエちゃんは退職し海外に行ってしまったミノリと定期的に連絡を取り合っているのです。帰国中に食事をしようと誘われ、すぐに返事をしたサエちゃん。ミノリに聞いてほしい話がたくさんあります。
そして、いよいよミノリと会う日がやって来ました。
以前と全然変わらない雰囲気のミノリ。久々の再会ですが、今まで通り気さくに話すことができてホッとしたサエちゃんです。
ミノリの海外生活や産まれた子どもの話など、いろいろ聞きながら、サエちゃんは幸せな気持ちになってきました。
ミノリはサエちゃんにとって憧れの先輩です。
ミノリのようになりたい、と思っています。
話が一段落ついてから、今度はサエちゃんの会社の話やプライベートの話を聞いてもらうことになりました。
仕事の話は愚痴ばかりになってしまいますが、ミノリは穏やかに聞いてくれます。
すっかりストレスがなくなったサエちゃん。
ついでに加奈さんの話も聞いてもらうことになりました。
以前から加奈さんが苦手だということはミノリに話していたサエちゃんです。
ミノリは加奈さんと上手に付き合っていました。
だからこそ、真剣に話を聞いてくれるし、真剣にアドバイスをしてくれる優しい先輩です。
「加奈さんの弟さんのこと知ってますか?」
思い切ってサエちゃんは聞いてみました。
「…うん、言っちゃっていいのかな?あの人だよね?」
「俳優のハンダタツノリ君だったんです!先輩は知ってたんですか?」
「うん、ちょっとした事情で…でも、あまり大々的に話してないみたいだよね、加奈さん」
ミノリの話によると、加奈さんは会社の人にハンダタツノリ君のことを伏せているようです。
ミノリの結婚式に出席した人たちだけが知っているとのことでした。
「じゃあ何で私には話してくれたんだろう?しかも、会わせてくれたんですよ!」
サエちゃんは不思議に思います。
「…加奈さん、サエちゃんに心を許してくれたんじゃないかしら?」
ミノリの爆弾発言に驚くサエちゃんです。
「ええっ!?何で私に!?」
どちらかというと加奈さんのことを嫌っているサエちゃんに心を許してくれるということがあるのでしょうか?
しかしミノリは
「きっとそうだと思うよ!だからサエちゃんももうちょっと心を開いて加奈さんと話してみるといいかも!」
とのアドバイス。
尊敬するミノリからの助言に従わないわけにはいきません。
それにハンダタツノリ君には興味があります。
もっと仲良くなりたいと思っているサエちゃんは、ミノリのアドバイスどおりにしてみようかと思うようになりました。
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