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書くことの魔力

半世紀もの間抱えてきた生きづらさを克服すべく、ひたすらもがいていた時期がある。

自己啓発本やブログを読み漁り、心理学やカウンセリング、スピリチュアルを学んだり、セッションやセミナーを受けたり、ひたすら自分と向き合ってみたり…。

メンターに「やったら良い」と言われたことも片っ端から実践した。

その中で、面白かったのが「書くこと」だった。

まず手始めにやったのが「ありがとう日記」。
3行でいいから、その日の「ありがとう」を書く。

超ネガティブだった私にとって、最初「ありがとう」を見つけるのは至難の業だったけど、思いつかないときは『今日も生きてる、ありがとう』でいいんだよ」と教わって、かなりハードルを下げてコツコツやってみた。

そうすると、日々目の前には「ありがとう」が溢れていることに気がついた。

そして、一番不思議で驚いたことは「出さない手紙を書く」ことだった。

対人関係でモヤモヤしている時、その相手に向かって本気で心の中のモヤモヤを手紙形式で全て曝け出す。「出さない」が前提なので、溢れてくるものを全てぶちまけていい。

便箋に、頭語、時効の挨拶から丁寧にしたためていく。

書き始めると、最初は相手に対する怒りだったり、恨みつらみだったり、罵詈雑言の数々が、ものすごい勢いで溢れてくる。

無意識に抑えていた感情がどんどん露わになっていく。
字が乱れることもお構いなしに、ただひたすら書き殴っていくと…。

あら不思議、だんだん心が落ち着いていく。
心が凪いでいく。

そしたら、あのモヤモヤしていた感情がすっかり洗われて、なぜか感謝の気持ちに変わるのだ。

手紙の最後は、いつも相手への感謝の言葉で締め括っていた。
これには自分で書いていて本当に驚いた。

相手を変えて何度もやってみたが、結果はいつも同じ。
あれだけの恨みつらみが感謝に変わるなんて!

これこそが、書くことの魔力。

ちなみに、手紙は書いた後、破って塩を振って感謝して捨てる。


以上

「ふみサロ」提出分のエッセイ。
今月のお題は「メモの魔力」でした。

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