ランナーにとって長期間の低糖質・高脂食は持久力を高めるか?
ランナーの食事について調べていたところ、1つ参考になる文献があったので。
「スポーツ栄養における脂質の活用」
という論文。オレオサイエンス 第18巻第8号(2018)に掲載されたもので、東京大学大学院総合研究科生命環境化学系 寺田新さんの書いたものを参考にして書いております。
論文を読んだ内容をまとめると
★糖質のみを摂取したときに比べて糖質+タンパク質または糖質+脂質を摂取した場合では、消化管ホルモンの分泌が促進することによりインスリン分泌を促進する。
→運動後のグリコーゲン回復には糖質飲みではなく脂質・タンパク質を取る事が良さそう。
★中鎖脂肪酸を摂取することで、筋肉の減少を抑制される可能性があることがラットや大学レスリング選手や高齢者を対象にした研究で示されている。
→最近では中鎖脂肪酸を用いた機能性食品やサプリメントが出ています。僕の記憶では大豆のタンパク質には筋肉の減少を抑える物質が入っていたと記憶してます。(リソースは不明は忘れました。すいません。)
★高脂質食はマウスにおいては持久力向上が認められているが、人では十分なエビデンスはない。
★高脂質食のメリット
①脂質の代謝が亢進されることによって持久力向上を狙える
②持久力トレーニングとは別のメカニズムでミトコンドリアが増えることにより、持久力向上に繋がる
★高脂質食のデメリット
①体重増加しやすい
②交感神経増強によりアドレナリン濃度および心拍数の増加しやすく運動中の易疲労性を引き起こすことが考えられており、高脂質食の摂取によって疲労感を感じやすくなった、というか報告もある。
→研究に参加するものの中で高脂質食を続けた者の中には少なからず体調不良を訴えるものがいたとのこと。マラソンのために脂質でのエネルギー代謝の割合を増やしたいが、実用性はどうなのか。。
また高強度のインターバルトレーニングなどの実施が難しくなるかもしれない。そうなると自分のMAXの能力をあげる妨げになったり、走る時の倦怠感などにつながってモチベーションが低下しそう。。僕はあんまりやりたくないな。
★アスリートにおけるケトン食の効果について
1.食欲や体重コントロールする上で効果的である可能性が高い。
2.ケトン体は効率のいいエネルギーで、体がケトン体に順応していけば、運動時の脂質酸化量の著しい増大が期待できそう。ただし、順応にはかなりの期間が必要とされる。
3.糖質の分解が抑制されるため、高強度運動時のパフォーマンスは低下する可能性か高い。
4.長期間ケトン食を摂取した時の安全性は不明。
マラソンにおいて高脂質食のメリットはありそうですが、実際にできるかと言うと難しそうですね。油の多いものを食べ続けたら胃もたれしそうですし。
色々勉強にはなりましたが、僕だったら高脂質食はしんどそうなのでやりたくないかな、、、
【豆知識的なこと】
・無脂肪牛乳では消化管ホルモンのさよつが促進されないことから、筋グリコーゲンの回復促進効果はない。(普通の牛乳の方が筋グリコーゲンの回復には効果的)
・Wikipediaによると、ケトン食は糖質を避けて、ナッツや生クリーム、バターなどの摂取によって血中のケトン体を増加させる食事とのこと。