中国不動産業界低迷の先に見える同国の経済が停滞する中で、中国企業と取引を行うリスクを考える!
以前、以下のテーマ「中国という国の本当のカントリーリスク<中国との取引で注意すべき点とは何か>」で投稿した実績がありますので、そちらも併せてご参考になさって下さい。
昨今発生している中国の大手不動産会社に纏わる一連の出来事(恒大集団による米破産法適用申請、同業大手の碧桂園が陥るデフォルト危機)は、中国経済の先行きに暗雲をもたらす警鐘と言えます。
かつての我が国で起きたバブル景気崩壊のきっかけは、まさに株価同様、不動産価格の暴落があったことを忘れてはなりません。
元々、中国企業との取引を行っている日本企業の皆様は、日々神経を擦り減らしながら、リスク管理を行なっていることと思います。
ましてや債権回収を伴う取引(仕入先への前渡・販売先へのユーザンス付き販売<後払い>)に関しては、債権者として、最大の注意が必要な国であることに変わりありません。
同時に、成約管理が極めて重要な国でもあり、有事の際に備えて、過大与信や偏重与信は絶対に避けなければなりません。成約段階でリスク管理を徹底することで、過度な取引量にならないようにエクスポージャーを常にコントロールする必要があるわけです。
今後、間違いなく、中国国内での倒産件数が増加していくことが予想されます。
中国企業の決算書の信憑性には疑義があるという指摘は以前にもしましたが、正直、非上場企業であれば、直接入手した決算情報が真のものであるという確率は10%〜20%以下に留まります。
それ程までに実態の数値とは異なるものであるということを、我々は最初から認識しておく必要があります。
総括しますと、中国企業向けの与信管理のポイントは、以下に集約されるものと考えます。
1)少なくとも、取引先の経営陣トップ層の面々とは必ず面談する場を持ち、自分なりにその相手方に納得感(信頼感までは求められない)が持てるかどうかを見極めることが必要です。
2)相手先の株主構成、資本背景については、しつこく事実確認するように努めて下さい。大手企業の傘下であるとの説明が為されている場合は、必ず資本関係のチャート図を入手し、実質の親会社がどこなのかをきちんと確認するようにして下さい。
3)信憑性が乏しいとは言え、決算書については、連続した過去3期分の同じ形式(フォーマット)のものを必ず入手するように努めて下さい。違う形式の場合は、そもそも決算不連続になっているケースが多々見受けられます(通常、中国企業は使用使途に応じた複数の種類の決算書を予め作成し保持しています)。
4)トライアル取引や少額取引を何度か積み重ね、相手先の取引パフォーマンスをよく見極めてから、問題がないと判断した上で、本格的な取引に移行することを強くお勧めします。
5)原則、債権回収を伴う与信は供与しない取引スキームの構築に努めて下さい。
因みに、私が現在コンサルとしてサポートさせて頂いておりますどの会社様も、やはり中国向けの取引で過去ないしは現在、損失を蒙ったり、回収懸念債権を抱えそうになったりしており、やはりビジネス上の安定した取引遂行が非常に難しい国であることが理解できます。
それなりの利益率が最初から見込める取引であれば、ある意味必要コストと最初から割り切り、貿易保険や信用保険、ファクタリング等の有料での再建保全手段を駆使することも現実的には選択肢としてありではないかと考えております。
益々これから中国企業向けの難しい与信判断を求められるケースが増えてくると思われます。どうか常に基本動作に忠実に、慌てず、冷静に与信判断を下していかれますことを切に望みます。
最後に、弊社では、皆様が現在お手元に抱えておられる中国企業向けの与信案件に関する相談にも随時対応しておりますので、お気軽にいつでもご相談頂けますと幸いです。
ご用命の方は、以下の弊社メールアドレス宛に、簡単にご用件を記して頂き、最後に当方よりコンタクトできる電話番号を付記して下さい。当方より速やかに連絡を取らせて頂きます。
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与信管理コンサル 髙見 広行