セミ鳴く夏

おばあちゃんは私と沢山遊んでくれた。
お家に遊びに行くと、
「るなちゃん、るなちゃんおいで。」呼ばれて行くとムシカゴに入った死んだセミを見せてくれた。
「おかしいねぇ、一週間前は生きてたんだけど」
おばあちゃんは、私がセミが大好きってことを覚えててくれて一週間前からムシカゴに入れといてくれてた。セミは一週間しか命がないのに。
そんなちょびっとおとぼけなおばあちゃん。
いつもニコニコ。山菜採り言ったり、山で遊んだり、トラックの後ろに乗せてもらってドライブしたり。

そんなおばあちゃんが死んだ。
死んだ時はまだ私は幼くて、顔を見たけど実感出来なくて皆泣いてる時にマネして涙を出した。
本当は今から起きてくるんじゃないか。

火葬された時に骨になったおばあちゃんをみて、私より大きかったのにこんなに小さくなっちゃった。
もう会えないんだ。

夏になると、おじいちゃん家に帰る。
おじいちゃんは戦争で桶で育てられて腰が曲がって成長したから背が小さいの。
135センチくらい。
毎年私は会って背比べをした。
ある時に身長を追い抜いた時。
嬉しかったけど小さくなったおじいちゃんを見て悲しくなった。

セミを見ると、おばあちゃんが居るような気がして毎年私は嬉しくなる。だからセミは好き。

今年も夏が始まる。



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