オタクの妊娠 エピソードフィフティーン
父の入院があり、山の上での妊婦一人暮らし(ねこにひき)がスタートして少し経った。最初の方は細切れ睡眠かつ早朝眠れないし、考えれば考えるほど悪循環…父の息苦しさや辛さを考えて憂鬱…。の思考でいっぱいだったが、少しずつ少しずつ慣れてきて、どうにもならないのだから頑張るしかないぞ!猫はわたししか頼れなくていつも以上に甘えん坊だしかわいいし!あと少ししか一緒にこうして暮らせないんだから楽しむしかない!という気分になってきた。プラス、なにわ男子の勇気100%が良すぎるし、なにわAぇ(応援しているなにわ男子・Aぇ! groupの両グループがデビュー前にやっていた関西ローカルのテレビ番組)の特番の放送まであと少しだから希望も一応は存在する。
✨情報解禁✨
— 【公式】『なにわからAぇ!風吹かせます!』 (@naniwa_ae) November 13, 2024
11/29(金)よる7時
一夜限りの特番復活🎉
番組卒業後CDデビューを果たした#なにわ男子💎と #Aぇǃgroup✌️
活躍華々しいですが、、、
“関西愛”忘れてないですよね?🐙
両グループがタッグを組んで、
ロケで!スタジオで!
“関西愛”を伝えます📢#なにわからAぇ風吹かせます#カンテレ pic.twitter.com/M0uvyuTqJX
いつでもそばにいてくれてありがとう。
兄が2年前くらいから父の仕事の手伝いをしているのだけれど、この度の父の入院で、父が行く予定だった出張は全て兄が請け負うことになった。とっても助かる。兄がいてくれてよかったなと心底思う。その出張の準備のためにちょこちょこ家を訪れてくれるようになって、話し相手がいて何となく心の支えにもなった気がする。今後のうちの話も少しずつできた。ただ兄は年末に入籍予定で、今はほぼ新婚みたいなものだし、そんな状態で色んな仕事や父の話が降りかかるのは申し訳ないなと思った。わたしが何をできるわけでもないので、無理しないでねと声をかけることと彼女さんに謝るくらいしかしていないが。
ちなみに赤はかなり下りてきてるとのことだったけれど、すぐに陣痛とはならなかった。体力作りのためにひさびさに朝から散歩をしたら、以前歩いたときより断然きつくなっていてびっくりした。体力はやっぱり大事。ちなみに陣痛はお腹は勿論尻のあたりの痛みがあらわれると聞いたが、わたしは近ごろ便秘気味で肛門まわりにぼんやりと違和感があることが多いので、これじゃまじでわかりづらいなと思った。万が一の夜間の破水に備えてベッドにはバスタオルを敷いて、すぐ替えられるように枕元にナプキンを置いておいた。
父親の二回目のお見舞いの日、母がわたしを美術館に誘ってくれたので展示をみてまわることで存分に歩くことができた。室内で、更に対応してくれるひとが側にいる状態で歩くのはとても安心するなと思ったから、もしこれを読んでいる皆さんが妊娠して臨月になったら、ひとりきりの散歩よりはこのタイプのお散歩をおすすめする。休憩できる場所があるとなおいい。ひととおり展示を楽しんで、ランチを食べてデザート、というところで父から電話があった。出ると、父ではなくて父の携帯を使って電話をしてくれた看護師さんからだった。結論からいうと、父の病気はもう打つ手がないということだった。そのまま病院に向かって、会って話してみたけれど、父はもう頑張れなさそうだった。一緒に先生のお話を聞いた。緩和ケアをはじめると、意識が落ちる。痛みは消えて、眠っている状態になる。話すことはできなくなるから、父の余力によるけれど、家族に会えて話をすることができたらそれが緩和ケアに移行するひとつのタイミングですとのことだった。先生はわたしの膨らみきったお腹をみて話し辛そうにしていた。緩和ケアをはじめれば、元々通っていた透析には行けない。そうしたらもう2.3日…早ければその日に亡くなる可能性もあるからだ。娘臨月。初孫にもうすぐ会えるタイミング。看護師さんも気まずそうにしていた。父は申し訳なさそうだった。そう思わせることが辛かった。わたしも父にもちろんひとめ赤を抱いてほしいと思っていた。父のだいすきな猫と、産まれたわたしの赤が一緒にいる姿を、一緒におうちで過ごしながら眺めて、かわいいねって笑いたかった。けど、もうそれはかなわないのかもしれない。わたしが今この瞬間赤を産み落としても、入院中の父はそのこを抱けないだろう。強制的に酸素を入れないと苦しくて仕方ない状態。そんな中、あと少し頑張れとは言えなかった。いちばん受け入れられないのは父だと思う。これも安楽死の選択のようで残酷な話なのだが、父のタイミングで「もう無理だ」と思ったときに、緩和ケアに移行してもらうように先生には伝えた。父はそうしたいと言った。翌日兄が来て話をする予定。それが終わったらもう父は覚悟を決めるんじゃないかなと思った。長い時間先生を待ったから、お腹を心配して「お前もう帰っていいぞ。」と父がわたしに言ったが、なおもわたしは少しだけ滞在した。離れがたかった。
里帰りしてふたりで暮らしはじめてからちょうど1ヶ月程度。父の食べたいというものを作ってあげられた。父と一緒にドラマを見た。昔から一緒に見ていたバラエティも久しぶりにふたりで見た。思い出話をした。わたしの赤の将来の話をした。猫と遊ぶわたしをかわいいと言って見ていた。父の入院の支度をしてあげられた。背中をさすってあげられた。大好きだと伝えた。どうすることもできないのなら、まあ、それでいいかと思った。考えたって仕方ない。現実を受け入れるしかない。勿論、嫌ではあるけれど。
その日は「全て」が起こる日だったようで、不運にも夜に大きい地震が起きた。ちょうど家でひとりでは落ち着かないわたしを慮って母親が車で向かってきてくれているところだった。最悪のことばかり起きていたから、この揺れで母親も事故ったんじゃないかと真剣に考えたけれど、無事についてくれた。本当に良かった。色んなことがありすぎて産気付くんじゃないか、もうこのまま今産気付いて産んじゃえば父への無事出産の報告も産まれた赤の写真を見せることも間に合うのに、と思ったけど、そういうわけにはいかず、わたしは産気付かなかった。もういつ来るのかわからなすぎる。赤、ストレスかけまくってごめん。でも胎動はすごいから元気ならそれで良いか。おまえタフすぎない?ちなみに「全て」が起こる日だったので、行けるかどうかはわからないなにわ男子のアジアツアーのライビュが無事に当選していた。希望はいつも同時に存在する。
という具合に色々覚悟した翌日。地震がずっと細切れにあったからちょっとしか眠れず。のそのそと準備をして駅に弟と配偶者を迎えに行って、そのまま父の病院へ。ノックして病室に入ると、昨日とはうってかわってすこぶる調子の良さそうな父が動画を見ながらにこやかに迎え入れてくれた。レベルアップさせた酸素療法が苦痛を緩和して、昨夜はすっきり眠れたらしい。あと少し頑張れるかもと言う調子が良さそうとはいえ病状がよくなったわけではない父に、無理だけはしないでいいと伝えた。明日からまたどうなるかはわからないけれど、嬉しそうに気まずそうに笑う父をもう一度みることができてよかった。
さて、配偶者もこちらに来ており父はもう少し頑張りたいと意欲を見せてくれたから、もう産みたい。てか今しかなくね?産もう。と、配偶者と一緒に近所を散歩した。天気が悪くなりそうだったので、早めに切り上げて家ではスクワットやトイレ掃除などとりあえず普段しない動きに励んだ。一応前駆陣痛には繋がったようで、せっかくその日はすぐ眠りに落ちたのに深夜に息苦しくなるくらい継続するお腹の張りで目覚めて眠れずマタニティヨガをしたりホットミルクを飲んだりして気を紛らわした。便が詰まりまくってるような感じもするのでそれもあると思う。そのうち眠れたので何とか朝は起きて配偶者と弟と穏やかに過ごし、お見舞いにいって父とのチェキを撮ってもらい、仕事が忙しいから帰らなければいけない配偶者を駅まで送った。とんぼ返りで申し訳ないけど、父が元気な状態で会話できるのはいつまでなのか全く予想できないから、本当によかった。いる間に産まれてほしかったけどもうこればっかりは仕方がない。あと今日産まれれば正門の誕生日と同じだったからそれもちょっと悔しい。ちなみに正門の名前である「良規」はわたしの名字との愛称がめちゃくちゃいい。配偶者に名前がバレてなければこれをこっそり使ってもいいくらいに。
そして38週の検診。助産師外来ではじめて足の浮腫を指摘された。やっぱりストレスで色々からだのなかがまわっていない様子。便秘があって苦しかったので下剤を出してもらうことになった。その後NSTで赤が元気なのを確認してから先生によるエコーと内診・診察があった。エコーも問題なく、体重は2900gを越えた。顔は隠してなかったけど、鼻だけなら見えるかな…くらいの状態。隠してないだけましか、とかわいい鼻を見ておいた。内診では思ったより赤の位置は下がってなくて、子宮口もやや開きくらい。破水がなければもう少し時間かかるかもとのこと。一応父の状態について話し、出来れば早く産まれてきてほしいと思っていることを伝えると、今はまだ赤の頭がちょっと遠いから難しいけれど、来週少し診察を早めて様子を見て、もし可能なら誘発分娩でもいいかもねという結論になった。ちなみに内診終わって陰部を拭いてもらっている時、ポタポタと何かあたたかいものが流れ出てきていて「うわーおしっこでました?すいません…」と言うと、助産師さんに「いや…これは…先生、血が…」と驚く言葉が。先生が慌てて戻ってきて膣の中を器具で広げて?ガーゼをぐいぐい押し込んで圧迫止血してくれた。むちゃくちゃ気持ち悪かった。中って押せるんだ。と思った。この時期はこの辺りが充血しているからちょっとの刺激での出血があり得るらしい。これはその日の夜までガーゼを入れておいて、自分でタンポンみたいに抜いた。グロかった。血は無事に止まっていたので安心してほしい。
誘発分娩について調べると、誘発即出産とはならないらしく、はじめてから1.2日くらいかかるらしい。病院によって差異はあるが、バルーンなどを使って子宮口を開いたり促進剤を使って陣痛を人工的に起こしたりなど
普通ならしなくていい処置もあってそれがかなり痛くて苦しいらしい。きかないひとは何度もチャレンジして、結局帝王切開になるパターンもあるようだ。出産レポとか読んでも激痛とか書いてあるし出来れば避けたい。頑張ってくれ赤。今はこんなこと言うとあれだが、赤が産まれるが先か、父が力尽きるが先か…という感じで家族全員がソワソワしている。もちろんわたしが多分いちばんソワソワというかモヤモヤしている。配偶者には「この子のタイミングもあるんだし、気持ちはわかるけどあなたが張りつめてたら出てこれないよ。」と優しく諭され、まあそのとおりでございやす。になった。愛情ホルモンでお産はすすむらしいと以前書いた気がする。少しでもリラックスしたい。できるかな。頑張ります。
次回39週検診。どうなる❗❓