オタクの妊娠 エピソードツー




前回の検診後すぐ、とんでもない頭痛が2日程続いて、それが落ち着いた頃につわりが急速に軽くなった。その後も天気の悪い日や気圧が低めの日はたまに気持ち悪いことはあったが、ほとんど落ち着いた。


わたしの場合夕方~夜が吐き気のピークだったので、生活を仕事から帰って即簡単な食事→就寝(21時くらいに完全に就寝することもあればベッドでゴロゴロして過ごしながら寝落ちする日もあった。)→翌朝シャワーして食事、というサイクルにし、休日はとにかく食事以外は横になるを徹底していた。とにかく周りからも再三言われるが、無理をしないことは大事だと思った。配偶者が協力的で家事をそこそこやってくれる且つ、適度にほっといてくれる人だったので助かった。一般的にはだいたい8.9週くらいからつわりが始まり11.12週くらいから軽くなるひとが多いけど、稀に出産まで続いてしまうひともいるとのこと。


里帰り先の病院は遠方の配偶者や義両親も来やすい、地元のいちばん大きな駅からも実家からも車で10分くらいの距離にあるところに決めた。電話するとパンフレットと問診票を送ってくれたので、すぐに送り返した。この病院は里帰りなら遅くとも32週から診察に来るようにとの指示。加えて新型コロナ対策のため、県外からの受診の場合2週間は待機が必要とのことで、その為に実家と今の住所を行ったり来たり待機したりというのは効率が悪い。ということで産休は法律で34週からと決まっているが、わたしの産休は有給休暇も使用して30週からのスタートになった。ひとつ思うのは、友達が最近35週で出産していたし、どう考えても産休はもっと早めに始まった方がいい。これもシステムが変だ。


妊娠初期特有らしい微妙に付着する程度の出血が1回、あとはちまちまお腹の違和感や軽度の痛みはあったけれど、多量の出血や冷や汗が出るようなひどい腹痛もなく(これが緊急受診の目安らしい)。無理そうなことは無理ですと伝え、電車は必ず優先席のある車両でそれとなく妊婦アピールをし、友達の誘いは泣く泣く断り、気持ち膨らんできたのか?程度のお腹に向かって「アンタ生きてるの?何とか言いなさいよ」とたまに話しかけたりしていたら案外早く検診の日はやってきた。



初めて行く病院なのでちょっと緊張したが、産院を併設しているだけあって、婦人科のみの前の病院とは違って夫婦での通院が多く、勝手ながら全員仲間!という感じがして心強かった。先生も看護師さんも優しい。そして今回からついに経膣ではなく経腹エコー!これは多分どこの病院もそうなのだけど、いちばん嬉しかった。股からは本当にしんどい。



お腹に脱毛の時に塗るみたいなジェルを塗って、専用の機械で押してもらうと画面にかなり人間らしくなった赤が映し出される。手足がしっかりあって、頭よりも体が大きくなっていて、心臓は変わらずドクドクと動いている。後これは今まで特に記していなかったがこのひとはとても動く。エコーの時いつも先生が赤の大きさを画面上で計測するのだけれど、めちゃくちゃ動くのでいつも何回もやり直していた。この日も例に漏れずめちゃくちゃ動き、先生も元気ですねと笑っていた。すでに多動の可能性が高い。そして驚くことにこの時期の胎児は皮膚が透明らしい。変すぎ。



エコーが終わって看護師さんから今後の流れについて簡単に説明があった。この病院での最後の受診は30週ごろに決定。その頃には妊婦健診は基本的に2週間に一度になっているらしい。まだその段階ではないので次の受診はまた4週間後。雨の日の頭痛が激しいのでお守りとして頭痛薬を処方して貰った。妊婦はお医者さんに相談しないと気軽に薬を飲めないので、何が処方されるのかなと興味があったが、シンプルにカロナールだった。そうですか。



この病院はエコーの動画をダウンロードできるので、両親と義両親にLINEで送るととても嬉しそうで良かった。文明の力に感謝。配偶者も初めて動く赤を見て、でかくなってる…背骨がめっちゃ映ってるの怖いね…てかすごいね…と興味深そうにしていた。後むちゃくちゃ動き回るので皆笑っていた。



検診の次の週、16週を迎え、俗に言う「安定期」に入った。でも調べてみるとこれは医学用語では無いらしい。じゃあ何やねんと思いつつ、一応友達や職場にも安定期に入りました~などと謎の定義の言葉をさも当たり前のように言ったが、皆そうなんだ~良かったね。と医学用語でないことも多分知らずに安心していた。恐らく12週前後でもつわりが終わらなかった大体のひとがここらへんで少し落ち着くからかな、と調べているうちに思った。体力仕事の無いデスクワーク系のひとなんかは安定期に入って初めて職場に妊娠を伝える場合もあるらしい。いや無理するな。



わたしもつわりが落ち着いて1ヶ月程経過し、少しずつ休日のおでかけも可能になった。友達と遊ぶのも解禁。短時間でお茶とか、家に来て貰うことが多くなったが、家族以外と会うのはやっぱり楽しかった。気を遣わせてしまうのは申し訳ないけど、これから赤がいるとできないことや気軽に行けない場所も増えるので、可能な限りは今のうちに楽しんでおきたい。義実家の方の親戚の集まりにも参加したが、普通に刺身が出てきて発狂しそうになった。コース料理だったのでそれ以外をモリモリ食べ、以後2日間みぞおちの激痛に悩まされた。妊娠中は子宮がふくらみ胃を圧迫するので、食べ過ぎは本当によくない。



妊婦の食事は微妙に制約が多く、生物は基本的に避けることが無難とされている。生ハムやスモークサーモン、ナチュラルチーズはまずNG。生魚や生卵については食べるなと言う人と食べていいと言う人がいる。ちなみにわたしは念のため食べていない。妊婦はお腹の中の異物(赤)を攻撃しないために免疫力が極端に落ちているので、少しの毒にも耐えられない可能性があるから避けた方が無難ということらしい。後はうなぎやひじきは食べすぎない方がいいとか、カフェインの多量摂取は避けろとか。コーヒーが飲めないのは痛いなと思って調べたが1日1~2杯はOKらしく、大体の人はそれくらいしか飲まんわと思った。ちなみに酒・煙草はもちろんNG。妊娠してから歩き煙草にはイライラさせられまくっている。



ちなみにこの時期にフォロワーと1回アフタヌーンティーへ行った。ホテルはホスピタリティーに溢れまくっており、ドリンクメニューにノンカフェインのものについてしっかりと表記されているのでとっても助かる。1杯だけ紅茶を頂いて後はルイボスティーとかハーブティーとかを楽しんだ。ちなみにルイボスティーも飲み過ぎは胎児に悪影響で、ジャスミンティーも緑茶なのでカフェインが入っている。妊婦がなんの心配もなく飲めるお茶は麦茶一択である。麦茶ダァ~イ好き。


その日訪れたテニプリコラボのアフタヌーンティー(?!)は真田の謎の黒いビーフシチューが美味しかった。ジャッカルのプリンがまさかの本格派たまごしっかりプリン。フォロワーは幸村コラボの、グラスの縁に苔みたいなのがびっしりついたルミネみたいな味(?)のドリンクを飲んでいた。何なんだそれは。場違いすぎるのに連れてったヒプマイの三郎ぬいと執事服の正門アクスタもとても嬉しそうで、正門に至っては場を回そうとしていた。(わたしたちはアクスタやぬいに人格を与え喋らせています。)
後まほステ(魔法使いの約束の2.5次元舞台)に行った直後のフォロワーがシャイロック役で出演中の山田ジェームス武(通称たけぞー)のブロマイドと彼女の推し俳優のブロマイドをくれた。中学生時代立ち読みのMen's eggで親しんだたけぞーとの久しぶりの再会がテニプリコラボのアフタヌーンティーだとは夢にも思っていなかったので面白かった。


脱線しまくったが、わたしは実際に妊娠するまで、妊娠の詳しい仕組みはおろか、妊婦の状態異常具合について全く知らなかった。ただぼんやりと「妊婦はつわりってやつが大変らしい。」くらいの認識しかなかった。皆普通は知っているのだろうか。いや多分知らない。学校で義務教育として絶対男女どちらにも教えた方がいい。だって普通に15分くらいの電車で立ち続けるのですらしんどい。走れない。自転車も無理。避けるべきとされる食べ物が多い。体力も全然無くなる。眠い。のに変に覚醒して眠れない。めちゃくちゃである。多分何かの大きな力が意図的に隠してる。わたしのこのnoteも狙われるかもしれない。大きな力に(?)。本当に何なんだこの変な仕組みは。



つづく。

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