重ねて、生きて、重ねたい
先日、コートールド美術館展を訪れた。
「魅惑の印象派」とサブタイトルにある通り、マネやルノワールなど、印象派を代表する画家たちの作品が軒並んでいた。
大学生になって背伸びをしたかのように美術館に行くようになったけど、去年フィンランドでも美術館をめぐってからはとことん好きになった。
ちょっと古典的なものも、現代アートも。ぼーっと眺めて、キャプションを読んで、ぐるぐるとその世界観に浸るのが好き。
コートールド美術館展でもまずはぼーっと作品を眺めてみて、キャプションを読んで、また眺めて、世界観に浸って。
美術のことは全然詳しくないけれど、コートールドが集めた作品たちに私は魅了されていた。
そんな中、目に飛び込んできた、ひとつの絵画。
クロード・モネ 「花瓶」 1881年着手
1878年から82年にかけてモネは20点ほどの花の静物画を描いていますが、本作はこの時期に着手されたものの完成されず放棄されます。その後40年以上もモネの手元に残され、完成したのはモネが80歳となる1920年頃のことでした。(引用元)
絵を見て、キャプションを読んで、鳥肌が立った。とても美しくて強かった。
この絵のような人になりたいと直感的に思った。
40年分の重厚感をずっしり感じた。だから、ただ美しいのではなく「強い」と感じたんだと思う。
「あまり向き合いたくない過去はできるなら消してしまいたい、やり直したい」って、そんなことできないのに私は思ってしまうけれど、モネだったらそうはしないんだろうな。
向き合って、その上に重ねて重ねて、生きるんだろうな。だから、美しくて強いんだろうな。
私の勝手な思い込みかもしれないけれど。まあ思い込みでもいいかなって思ったり。
偶然にも、個人的な今年のテーマ漢字は『重』だったので、そんなテーマにぴったりな絵画に巡り会えてとてもよかった。
「花瓶」と、もう一枚モネの作品のポストカードを購入して、美術館を後にした。
2020年春。世間は非常事態だし、自分の将来もまだはっきり見えないけれど。
ひとつひとつ、重ねて、生きて、重ねたい。