
【ハンターカブ】 便利と不便のトレードオフ
数年ぶり、もしくは十数年ぶりに新しい車やバイクはたまた家電などを買うとその装備の進化に驚かされます。こんな機能やあんな機能が標準でついているなんて! 時には自分のライフスタイルを変えてしまうくらいのインパクトを受ける場合もあります。それら変化が受け入れられれば幸せですが、受け入れられなかった場合はストレス以外の何ものでもありません。そんな場合、僕らは二者択一を迫られます。黙して受け入れるか、それともその変化を排除するか……。今回はそんなお話(大袈裟笑)です。
誰かの便利は誰かの不便
数年前からネットでも議論が交わされ続けていますが、近年のホンダのバイクはウインカースイッチの配置が長年慣れ親しんできた「ウインカー:上、ホーン:下」から「ホーン:上、ウインカー:下」に変更されています。これまでずっとヤマハ党だった僕は「そんな些細な事」特に気にもしていなかったのですが、この度晴れてホンダ車オーナーとなり、新しい愛車に跨ったその瞬間から「些細な事」の違和感に苛まれてしまったのです。
確かに使い難いです、これ。聞けばこの新・配置こそ世界標準だとか、ホンダがマーケットを席巻しているインドや東南アジアではウインカーよりホーンの使用頻度が高いので現地のユーザーニーズを取り込んだ結果だとか、納得する様なしない様なそれらしい説が散見されます。確かにホーンを日常的に使う立場になってみれば「なるほど便利だ」とも思いますが、だからと言ってそれを「はいそうですか」と受け入れる事はできないのです。だって実際に使い難いんですから!

「要は慣れの問題」を遥かに通り越している
僕は今まで大抵の「変化」には柔軟に対応してこれた人生を送ってきました。多少違和感があっても「要は慣れの問題」と、しばらく我慢して使い続けている内に自分の方がその環境に合わせて馴染んで行くというスタイルで順応してきました。が、今回だけはどうしてもダメでした。どんなに慣れようとしても、あのホーンがそれを許してくれません。そう、ホーンスイッチが敏感すぎるのです。ちょっと触れただけでピッと鳴るのです。鳴らした本人が一番ビックリです。昔っからホーンスイッチなんて「意を決して強目に押す」そんな覚悟を持って押していた自分からすると、こんなに気軽に「カジュアルに」ホーンを鳴らすなんて当に「想定外」です。
おまけに冬場はハンドルカバーを取り付けているので、このカバーがことある毎にホーンスイッチに「やさしく」触れ、ピッピピッピ鳴り散らかします。これはもう乗ってる方もストレスだし、周りも迷惑極まりない。おまけに昨今のご時勢からこの意図しないホーンがいざこざの元にでもなったら堪りません。そんな訳で辛抱堪らずホーンの配線外してしまいました。これで一時的なストレスとリスクからは解放されましたが、全く解決にはなっていません。

機は熟した
という事で、買って数日で(笑)意を決して第二の選択肢を取ることにしました。「変化の排除」です。スイッチボックごと交換するという強行策です。ネットで探せば同じ解決方法を求めている人が多数いる様で簡単に部品が見つかりました。しかも自前での配線も不要でカプラ差し替えで済む様です。なんて便利な世の中なんだ!

世の中そんなに甘くない
早速スイッチボックスを買って交換♪と思ったら、世の中そんなに甘くはない様でポン付けでは済まない様です。スイッチボックスの回り止めのピンを差し込む穴の位置が純正品とは違います。ムムム。ここでもまた二者択一です。ピンの方を削って無理やり取り付けるか、ハンドルに穴を開けるか……。明らかに後者の方がハードルが高そうです。しかしここで怯んでは男が廃る。僕だってやる時はやるのだ!

俺がやらねば誰がやる?
という事で、家にあったDIY用の電動ドリルに付属のドリルキットを見てみたら木材だけでなく金属も可と書いてあったので早速ハンドルに当てがってみます。が、ドリルの刃先が逃げてしまい上手く穴が開きません。しばし考え一番細いドリルを使い下穴を開けてみると意外と上手く行きそうです。順番に太いドリルに刃を交換し無事穴あけ完了。案外やれば出来るもんですね。

自分でやるから愛着が湧く
穴を開けたらあとは取り付けるだけです。配線もカプラ差し替えだけで済むので楽チン。エンジンかけてウインカーが無事点灯することを確認すると自然と笑顔が溢れます。「やった、やってやったぞ!」まあ、誰でも出来る作業なんですけどね。やっぱり自分で問題を解決すると嬉しいですし、その対象物に愛着が湧きますよね。ハンドルカバーつけて操作しても間違ってホーンを鳴らすこともなく、意のままにウインカーを繰り出す事が出来てもうストレスフリー。やっぱりバイクはこうでなくっちゃ。
あ、ちなみにスイッチボックス取り付けてみたらウインカーの位置が指を伸ばした場所と合わなくてハンドルに穴を開け直したのはナイショです。ドリルの刃先ダンスをしている間に予め付けておいた印の場所から刃がズレてしまっていた様です。

想定外のおまけがあると満足度が高まる
今回はウインカーとホーンの配置を慣れ親しんだ従来配置に交換することが目的だった訳ですが、購入したスイッチボックスにはそれ以外にも純正スイッチボックスにはついていないパッシングスイッチとハザードスイッチが付いていました。しかも予め全て配線済みなので、作業はカプラを差し替えだけ。こんな「本来の目的」に対してついでに「あったらいいな」機能がついてくると満足度は格段に上がります。自分の取った選択肢が正しかったことをこのハザードカチカチを見る度に確認することになるので、益々ハンターカブに愛着が湧き乗るのが楽しくなりますね。

バイクのハザードってなんかいいよね、って思うのは自分だけだろうか……
おまけのおまけ
そんな訳でウインカースイッチのお話はこれで終わりですが、合わせてやった便利モディファイもご紹介。これまたハンターカブ乗りの皆さんはご存知かもしれませんが、超・超便利なモディファイです。
ハンターカブは給油の際シート下にある給油口を開ける為にシートを跳ね上げる必要があるのですが、シートが吸盤で固定されているスーパーカブシリーズと違ってハンターカブはキーロック式になっています。しかしこのキーロック、シートを上げる際にロック解除状態をキーを捻ったまま維持しておかねばならず、右手でキーを回し左手でシートを持ち上げる(またはその逆、やりにくいですが)両手同時作業が必要でこれが地味に不便なのです。シートロックがヘルメットホルダーロックを兼ねているのでこんな形になってしまっているのですが、何かのメリットをとれば何かのデメリットになってしまう典型ですね。そんな不便から全てのハンターカブ乗りを解放する画期的なモディファイがこちら!

シート下にゴムボール挟んで置いておくだけなのですが、これが便利極まりない!一度この感動を味わったらもうボールがなかった世界には戻れません(笑)
という訳で便利と不便のトレードオフも工夫次第で回避することができる、と言うお話でした。では、また次の記事で。