そもそもデザイン思考ってなに?
どうもデザイナーのらんらんです。
今回から子供たちのためのデザイン思考教室
RUNRUN SCHOOLについてお話ししたいと思います。
きっかけは以前お話しさせていただきましたが
「これまでに僕が実践してきたデザイン思考は、これからの子供たちに必要な課題解決型学習に役立つのではないか」という想いからスタートしました。
デザイン思考については様々な記事で紹介されてますので、ここでは簡単に説明させてもらいます。
「デザイン思考」という言葉が初めて登場したのは、1987年にピーター・ロウの著書『デザインの思考過程』だとされています。日本では2005年にスタンフォード大学d.schoolの授業で注目され、その後、企業や教育分野を中心に徐々に浸透しました。特に、2018年に特許庁と経済産業省が共同で発表した「デザイン経営」宣言は、デザイン思考の認知をさらに広げる契機となりました。(僕がデザイン思考という言葉を知ったのもこの頃でした)
デザイン思考とは?
デザイン思考とはデザイナーやクリエイターがユーザーの抱える様々な課題の解決手段を考えるときのプロセスを体系化した課題解決型の思考法です。
ユーザーの抱える課題を中心に捉えるという特徴が、ビジネスの現場での商品・サービスの開発や、教育、地域課題の解決など、幅広い分野で効果を発揮します。(と、言われてますが・・・)
デザイン思考が注目されている背景
1. 顧客ニーズの多様化と市場の変化
近年、顧客のニーズがますます多様化し、企業は単に商品を提供するだけでは成功しにくくなっています。顧客は質の高い体験や、個別化されたサービスを求めるようになり、企業はそのニーズに対応するための新しいアプローチを求めています。デザイン思考は、ユーザー中心に問題を解決する手法であり、顧客の本質的なニーズを捉えるのに有効であると考えられています。
2. イノベーションの必要性
競争が激化する中で、企業はイノベーションを起こすことが必要不可欠になっています。デザイン思考は、創造的な解決策を生み出すプロセスを提供し、単なる商品開発にとどまらず、新しいサービスやビジネスモデルを生み出す手助けをすると言われてます。
3. デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速
デジタル技術の進化により、企業がテクノロジーを活用して新たな価値を創造するために、デザイン思考が重要な役割を果たすと言われてます。
4. 企業文化の変革
企業の意思決定プロセスがより柔軟で、創造的なアプローチを求められるようになっています。従来のトップダウン型の意思決定から、チームや現場の声を重視したボトムアップ型のアプローチへと変化しています。デザイン思考は、チーム全員がアイデアを出し合い、協力して課題を解決することを促進するため、企業文化をよりオープンで協調的なものに変える手段として評価されています。
5. 学問的および業界内での普及
スタンフォード大学d.schoolなど、教育機関でのデザイン思考の導入が進み、企業だけでなく学問の分野でも広く使われるようになりました。また、IDEOなどの企業が実際に成果を上げたことで、デザイン思考が実践的で効果的な手法として認識されるようになりました。
これらの背景が重なり、デザイン思考は現在、さまざまな業界で注目され、導入が進んでいるようです。
デザイン思考の5つのステップ
デザイン思考のプロセスは以下の5つのステップで構成されています。
理解と共感
ユーザーの立場に立ち、何に困っているのか、どんなニーズがあるのかを深く理解することから始めます。共感を得ることで、ユーザーの視点から問題を見つめ直し、より適切な解決策を導くための基盤を作ります。問題定義
共感によって得られた情報を基に、解決すべき課題を明確にします。この段階では、問題の本質を捉えるために「どの課題を解決すべきか」を絞り込みます。収集したデータを整理し、明確な問題定義を行うことで、次のステップに進むための方向性を決定します。発想
できるだけ多くのアイデアを出し合います。制限を設けず、自由な発想を行い、多様な解決策を探ります。アイデアの数を重視し、量から質を生み出すことを目指します。この段階では、批判や評価を避け、思いついたことをすべて記録し、後で絞り込むことが重要です。チームメンバーの意見を積極的に取り入れ、創造性を最大限に引き出します。試作
アイデアを形にし、試作品を作ります。実際に手に取れる形にすることで、具体的な検証を行うためのツールです。この段階で作るプロトタイプは完璧である必要はなく、あくまでアイデアを試し、改善点を見つけます。テスト
試作品をユーザーに試してもらい、フィードバックを得て改善します。テストは反復的なプロセスであり、最終的な解決策に向けて、何度も改良を加えていくことが一般的です。
各ステップは必要に応じて戻ったり、繰り返したりすることも重要です。柔軟に改善を加えながら、最適な解決策に導いていきます。
と、ざっくりデザイン思考についてまとめてみました。
でも実際デザイン思考ってどうなの?
様々な人がざまざまな場所でデザイン思考を学んでるようですね。セミナーやワークショップ、研修プログラムなどで数十万円から数百万円、場合によっては数千万円かけてデザイン思考を取り入れている企業も多いようです。
みなさん一時的には結果が出たように感じ、デザイン思考を活用できたと思います。みんなであーでもない、こーでもないとワイワイやってポストイット貼ってこれで行こう!みたいな感じで。
(すいません実際にはもっと複雑であり、デザイン思考の学習自体を否定しているわけではありませんよ。)
しかし会社内で実際にデザイン思考のフレームを使い上手く機能したのでしょうか。これ、なかなか難しいと思うんです。
なぜデザイン思考が身につかないか
デザイン思考を学んだ方々は、そのフレームワークに基づいた思考法を身につけることができますが、実際にそれを活用して斬新な解決策を導くことは容易ではありません。
なぜなら、デザイン思考は一人が理解するだけではなく、チーム全体で共有されて初めて効果的に機能するからです。
デザイン思考を実践するためには、チーム全員がデザイン思考による共通の目標とアプローチを理解し協力しながら進めることが不可欠です。しかし実際は、いつものようにいつものミューティングでいつものような結果になってしまうことも多いのではないでしょうか。
チーム内での意見の違いや、異なる視点を統一することは簡単ではありませんし、ユーザーのニーズを深く理解し、反復的に試行錯誤を繰り返す過程も時間とリソースを要します。そのため、単にフレームワークを学んだだけでは、実際の問題解決に活かすことが難しく、チームでの協力と継続的な努力が必要です。
そして何よりも、デザイン思考のベースとなるデザイナーやクリエイターの思考は、圧倒的な量のアウトプットをこなす経験を通じて初めて身につくものです。
ですので、デザイン思考が思ったように機能していないと感じる方は、諦めずに繰り返しチャレンジし続けてください。クリエイティブな発想は、短期間のセミナーやワークショップだけでは決して身につくものではなく繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、しつこいですが繰り返し実践することで身につけることができるのです。
次回は、僕たちクリエイティブサイドが実際に活用しているデザイン思考(実際にはデザイン思考という言葉を意識していないのですが)を、プロセスに当てはめて紹介したいと思います。
次回からは
・デザイナーが実践しているデザイン思考
・子供たちが学ぶべきデザイン思考とは
・荒川区公立小学校の総合授業でのデザイン思考教室 講師体験
・RUNRUN SCHOOLにできること
・暮らしの中のデザイン
などの発信をしていきたいと思います。
興味を持っていただけたり、応援していただけるようでしたら
自分も勇気を与えてもられえるので、是非よろしくお願いします。