片手に抱いた命。
週末旅行先にて、
とある小動物園に家族で遊びに行った。
しばらく歩くと、奥に猿山がある。
一皿100円のエサを買い、
息子の手から、乾いたさつまいもが落ち、猿達が群がる。
急に飼育員が、網を持って猿を追いはじめた。
何事かと見てると、子猿を抱いた母猿を一組追いかけていた。
その子猿は、母猿に掴まる様子は見せず、
母猿の片手に抱かれ、ただ小さく揺れていた。
母猿は、
子猿が死んでいる事がわからないのか?
まだ生きていると信じているのか?
わかっていても手放したくないのか?
そのせっかく生まれた命を
片時も放したくない様子だった。
しばらくして、子猿だけが網の中に回収されていた。
母猿は、怒り狂っていた。
狂うはずだ。
死んでいたとしても、ずっと抱いていたかった我が子。
動物園の事情もわかる。
しかし、母猿の気持ちを思うと
同じ親として、胸が締めつけられる。
子を想う親の気持ちは、動物も人も変わらないのだから。