じっくり海をみた
先日の話。
小中学生の頃の友人と12年ぶりに会うことになった。
中学卒業と同時に転勤で、私の住んでいた地元を離れた彼女。
ほどよい距離感で仲良くしてくれた、大好きな友人だった。
たまたま今住んでいる場所が、近いということで会うことになった。
……
久しぶりだというのに、遠くからでも姿がすぐわかる。声かけたくて走って近寄る。
「久しぶり!!」
少し感動。
小さかった私たちが、大人になってから再会できるなんて。そして、地元じゃないところで会うのって不思議なご縁があるなと思う。
美術館に行ったり、カフェに行ったりと予定をつめこんで遊んだ。
美術は面白いし、コーヒーも美味しくて楽しいけど、それよりもおしゃべりが楽しすぎた。
「高校の時は楽しかった?」
「同級生の〇〇、結婚したよね?!」
「仕事は忙しいの?」
お互い質問攻め。
会っていなかった期間の思い出を埋めたくて、ひたすら話す。
……
夕方になってやっと質問が落ち着いた。
晩ご飯予定のカレー屋さんのオープンまでまだ時間がある。
「海みながら、ぷらぷらしない?」
と言われて、うんと答えた。
じーっと海を眺めてみる。いい景色。
たくさん落ち葉のようなものが、海面を漂っている。
その中で、落ち葉のようで落ち葉じゃない海の中でひらひらと動くものがあった。
「あれなんだろう?動いてるように見える!」「ほんとだ…あれは動いてる!なんだろ……」
(携帯で調べてくれた)
「ヒラムシっていうのがあんな感じに動くみたいだよ!」
「へ〜!不思議な動きをする生き物だね…」
アラサーの女2人で一生懸命にヒラムシを探していた。
それから、クラゲとかカニとかボラ?のような魚も見つけた。
……
あっという間に1時間半が過ぎていた。
海を見ているだけなのに、こんなにワクワクして夢中になったのはいつぶりだろう。
年齢を重ねると、海全体的に景色が綺麗と思い、記念にとオシャレな写真を撮ろうとしていた。
これはこれでいい楽しみ方だと思う。
でもそうではなくて写真を撮らずよく知らない生き物をじっくり観察して、お互いに感想を言い合うというのも面白いのかもしれないと思った。
大人になって、小学生のように夢中に生き物を探すことになるとは。
きっと幼いころの同級生に会ったから、できたことなのかもしれない。
ときどき、そんなふうにのんびり過ごすのもいいなと思えた出来事だった。