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大学受験は百人一首かるたのようなもの
大学受験は、百人一首かるたのようなもの。
私は、このイメージを持っていると、すごい解像度が上がると思います。
結論から言うと、一見関係のなさそうな両者は、「2段階構造」を持っているという点で共通性を持っています。
第1段階
皆さんは、百人一首かるたをやったことはありますか?
百人一首は、日本の文化なので、小学校や中学校の国語の授業でやったという方は多いのではないでしょうか。
百人一首大会とかあったかもしれません。
百人一首かるたで強くなりたいと思ったら、まず何をしますか?
そう、まずは百首を覚えることですね。
五・七・五・七・七の全部を覚えなくてもいいですが、少なくとも上の句と下の句の初めの方の対応関係は覚えます。
てかしかありません。
受験も同じです。
まず、覚えるべきことを覚えなくては始まりません。
覚えるべきことは決まってます。
みんながやってる有名な参考書をやっていれば身につくので、定番の参考書をやりましょう。
標準問題を解けるようにする、これだけです。
「このタイプの問題は、こう解く」
これをひたすら覚えていけばいいです。
するとどうなるか。
ある程度無双できるようになります。
学校でやる百人一首かるたのレベルだったら、百首覚える、これだけでも全然上位に立てました。
中1か中2のときに、学年4位を取った記憶があります。
百首を覚える、それ以外に、そんな特別なことはしてなかったはずです。
受験もそうで、標準問題を解けるようにすれば、いわゆるMARCHとか、旧帝大とか、ある程度名の通った大学に合格できるようになります。
百人一首かるたにおいて、百首覚えるのが大事なのは誰でも分かるでしょう。
それが受験だと標準問題を覚えることがとても大事で、これは私に固有の持論ではありません。
一部の天才を除けば、難関大と呼ばれる大学に受かってる人は、口を揃えてそう答えます。
知らなかったという方は、ネットに落ちている合格体験記や勉強法をあさってみてください。
誇張でもなんでもなく、合格者の間の常識となっています。
少し話がそれますが、勉強が苦手な人や、一定の学力水準に到達した経験のない人によくありがちな勘違いが、
「学校の授業を真面目にきくことが大事」
「本気で大学に合格したいなら、塾・予備校に行くべき」
というもので、こういった要素は、何ひとつ本質をついていません。
完全に誤った考え方なので捨てた方が良いです。
「学校の授業を真面目にきくことが大事」は、田舎の高校にありがちらしく、そのような主張をする教師は受験に対する解像度が低いということなので、そのような方の考え方に支配されて悪影響を受ける高校生がかわいそうだと思います。
あと、私が出会った京大生の中に、
「浪人期に、駿台通ってたけど、余裕で授業切ってた」って人が2人いました。大学入ってからも受験の話することは多くないので、実際はもっといると思います。
「学校ならともかくなんでお金払って受けてる授業切る?」
ってきいたら、
「親が無理やり通わせたから」
って答えてました。
子供を無理やり塾に通わせる場合は、子供のためにならず、誰も幸せにならずにお金をドブに捨てることを覚悟しましょう。
第2段階
少し脱線しましたが、本題に戻ります。
百人一首において大事なのは百首覚えることですが、それで終わりではないです。
当然、ある程度レベルが上がってくると他の人も百首覚えているので、それだけでは勝てません。
すると、今度はスピードであったり、札の位置を覚えること、焦ってお手つきをしないことが重要になってきます。
先ほど学年4位を取ったと書きましたが、それは百首覚えてない人が多くて、覚えているだけで優位に立てたからにすぎません。
実際、図書委員会が主催する、百人一首が好きな人だけの大会に参加したら、めちゃくちゃ速い人いて、ぼこぼこにされました。
受験も同じです。ある程度の偏差値帯になってくると、みんな標準問題を解けるようになってます。
じゃあどこで差がつくかというと、計算速度や英文を読む速度といったスピード・処理能力や、ミスをしない正確性、そして志望校の傾向・形式にどれだけ順応しているかといった要因になってきます。
例えば、東大の英語は、大問1で英文の要約問題が出ます。
https://toudainyuushi.com/core_sys/images/main/2016/q2016eigo.pdf
目安は10分です。
東大受験生は、当然、ほとんどが標準問題を解けるようにしてるので、こういったスピード・処理能力の勝負になってきます。
そして、要約なんて他大学だとあまり出題されないし、それに特化した訓練が必要になってきます。
スピードを意識して対策しないと、10分で解くのは帰国子女でもない限り難しいでしょう。
東大・京大・一橋・東工大・医学部医学科・・・
明確にどこからというのはないですが、レベルが上がれば上がるほど、この傾向は顕著になってきます。
僕は頭の回転の速さや、処理能力が遅い方で、周りの人から(京大生以外からも!)トロいとか言われることありますが、受験ではそれを少しでもカバーできるように努めてました。
計算をミスなく、正確にできるようにすることはめちゃくちゃ意識していたし、公式や計算テクニックといった裏技はほとんど取り入れてました。
よく、「公式は覚えなくても導出すれば十分」という方がいて、実際そうなのかもしれませんが、私は基本覚えていました。悪名高い積和・和積の公式もです。瞬間部分積分ができないとか、ありえない。
自分は人よりもスピードが遅いのだから、導出する時間すらもったいない。
それに、導出した結果が本当に合ってるか不安だと、集中して問題に取り組めない。
そう思って、短縮できる時間は少しでも短縮しました。短縮した分、他の受験生に差をつけられます。
結局ハイレベルの戦いになると、こういう戦いになってきます。
定石を覚えれば覚えるほど成績が上がる初期と比べ、だんだんと学力も上がりにくくなってくるので、できるところはするように心がけていました。
総括・その他のゲームと比較して
百人一首以外のゲームを考えてみましょう。
例えば、ネット麻雀。
麻雀は、受験や百人一首のように2段階に例えられません。
「役」「点数計算」「牌効率」「スジ」「壁」「愚形への当たりやすさ」「場況」「副露読み」と色々と覚えるべきことはありますが、かなり初期の段階からスピードも大事で、時間をかけて100点の打牌を1回するより、コンスタントに素早く60点以上の打牌をできる方が大事です。
ネット麻雀だと制限時間があるので、致命的な見落としをなくすための時間的余裕を常に確保しないといけないのです。
他にもポーカーの場合。
「ハンドレンジ」「エクイティ」「3bet」「GTOを覚える」色々ありますが、スピードはそこまで意識しない気がします。普段は機械的にプレイして、悩むべき局面が来たら時間をふんだんに使って、100点のプレイを目指すイメージです。
百人一首はかなり特殊でスピードや正確性、処理能力があっても百首覚えてないとそれらの優位性が殺されるんですよね。
取るべき札がわかった瞬間光の速さで取ることができる人がいても、上の句と下の句の対応がわからなかったら、上の句が読まれている間に札を取られて負けます。
大学受験も、定石を抑えておかないと、いくら計算がミスなく速かろうと問題を解けないのが普通です。
まずは覚えるべきことを覚え(第一段階)
↓
スピード・正確性・処理能力で勝負する(第二段階)
これが、大学受験と百人一首かるたに共通する構造であり、
これを元に自分が今どの段階にいるかを把握することは、とても大事だと思います。
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