さか井にて
朝、穏やかな波の上で行き交う船たち
彼らは何を思うだろう
おかえり、いってらっしゃい
そんな安易な言葉だろうか
ある日、この穏やかな波は表情を変えた
彼らは知っていたはずだ
この大量の水が姿形を変えうることを
しかし、それが街を飲み込む姿を航海ごとに意識していただろうか
彼らは今何を思うだろう
今日の波は穏やかだ
いつ全てを奪われるともわからない
今を生きろよ
明日が突然来なくなるとしても
彼らは海に出る
彼らが捕った美しい魚介類を私は食す
さて、私は今日、どのように生きよう
昨晩の白い雲の世界は
今、朝日に切り裂かれた
私は書を取り、大地の収穫物を配ることにしよう