僕と君が変わった記念日~≒JOY 1stコンサート「初めまして、≒JOYです。」に行った話~
2023年9月3日
神奈川県横浜市西区みなとみらい
パシフィコ横浜国立大ホール
≒JOY 1stコンサート「初めまして、≒JOYです。」
まるで雷に打たれたかのように、
1本の強烈な衝撃が、大きな音を立てて僕の全身を貫いた。
この感情の一部始終をどうしても言語化しておきたい。
言語化しなければならない。
そういった衝動から、急遽筆を執ることにした。
はじめに
About me
感想や評価というものは、視点によって変わってくるだろう。
ライブの感想を書くにあたり、
はじめに本公演前の≒JOYに対する僕の立ち位置を明示しておこうと思う。
まず、僕はイコノイジョイが主現場のオタクではない。
そもそも≒JOYのライブを生で見るのは、対バンやフェス等も含めて今回が初めてだった。
かといってアイドルとは無縁の一般人でもない。
普通にアイドルオタクである。
アイドルオタク歴は
ももクロ→エビ中→スタダ妹分グループ(いぎなり東北産・はちみつロケット)
という割と「スタダオタ」のテンプレートであるが、
別にスタダばかりというわけではなく、
ハロプロやアイストなどにもたまに行ったりしてきた。
(たとえばこういう記事も書いていたりする→https://note.com/ruku_your_pearl/n/n08bdc2011a30)
それ以外にも、全盛期のAKBは完全に世代だし、
アイドルソングが曲のジャンルとして大好きなので、
48系や坂道なども有名どころは日常的によく聴いている。
半地下~地上グループを中心に割とアイドル文化に浸かってきた。
ただ近年、具体的にはコロナ禍以降、
・僕自身忙しくなってきた
・主現場の一つであったはちみつロケットが解散した
・コロナ禍で暇なこともあり趣味の音楽に力を入れ始めたらそっちが楽しくなってきた
・コロナ禍を挟んだことで「アイドル現場は無理をせずたまに行くぐらいがちょうどいいや」という価値観に変わった
といった理由で、コロナ禍以前の「『アイドルを推す』という行為それ自体が目的となって多少無理をしながら現場に行く」という振舞い方から、
「好きな音楽を摂取するため、あるいはオタクの知り合いと会って一緒に楽しむために現場に行く」というものにシフトしていた。
したがって、最近の僕は
「アイドルオタクと呼ぶにはライトな推し方をしているが、
一般人を自称するにはオタク過ぎる」
という何とも言えないポジションであった。
そんな「ゆるゆるスタダオタ」が今回突然脈絡もなく≒JOYのライブに行ったのかというと、別にそういうわけでもない。
例えば≒JOY『≒JOY』のMVが公開された当日にしっかり反応したり等、
基本的に新曲が公開されるたびその当日に聴いては
毎度毎度「またもや僕好みの楽曲を作ってしまったようですね…」みたいな投稿をしている。
僕がイコノイジョイを聴くようになったきっかけは、
コロナ禍に入る直前くらいに知り合いに=LOVEと≠MEを「楽曲が良いんだよ」と紹介されたことであった。
その後自らも『青春"サブリミナル"』ぐらいから積極的に楽曲をチェックするようになっていた。
イコノイジョイの楽曲のチェックはここしばらく欠かさずやってきていたし、
現場も最近でいうと≠MEの武道館に行くなど、
今回の≒JOY参戦に関して結構脈絡はあったのである。
そんなこんなで、≒JOY 1stコンサートのチケットを取ることになるのである。
もっとも、モチベーションとしては「楽曲全部僕好みだから絶対楽しいし、1stコンだからメモリアルだし行くか~」ぐらいであった。
事前に推しは天野香乃愛ちゃんになるのかな~と思っていた。僕は「しおみる」とか「このありす」みたいな小動物的な可愛さに最近ハマっている。なおかつ少し変わった子が好きなので、適任といった感じだ。
とは言いつつも、定期的に山田杏佳ちゃんの顔の女子高生になりたがったり、
小澤愛実ちゃんの輪郭と髪型が好み(もちろん他も好きだが)だったりと、
結構ブレブレである。
元来、僕はライブを見てから推しを確定させたいタイプなので、
その本命は天野香乃愛ちゃんとして、
今回で誰かしらに推しが決まればいいなと思ってチケットを取ったのだった。
注意
さて、ここからようやく本題に入ろうと思う。
前振りで既に2000字近く書いてしまっているが、
9月3日の感情を文章に閉じ込めて保存するために
これ以降もエッセイ的に割とダラダラ書いていこうと思うので、
結論だけ見たい方は適宜飛ばして読みつつ、
そうでない方は時間がある時に読んでほしい。
それから、ここから書くものは1度しか見ていない公演の感想であること、
そうしないとこの記事の字数がドン引きするぐらい長くなってしまうことから(編集後追記:そうしてもドン引きするぐらい長くなりました)、
これ以降の文章中でどうしても言及するメンバーに偏りが出てしまう。
しかし言及があまりされていないからといって
パフォーマンスが悪かったとかそういう訳では一切ないので
(むしろ全員が全員良すぎたのでこうして記事にしている)、
その点に関してはご了承願いたい。
開演前
9月2日23時30分。
居住地である仙台から夜行バスに乗る。
仙台→横浜直通の夜行バスはあまりない。
少なくとも安いものはない。
しかし東京経由で良い。僕にとってはその方が良い。
9月3日5時30分。
東京に着くと、そのまま電車に乗り移動する。
移動した先は銭湯。
はちみつロケットに行っていた時から変わらないルーティンである。
1000円程度でサウナも付いて9時ぐらいまで時間を潰せる上に、
退店時には清潔なオタクができあがるというおまけ付きである。
かくして清潔なオタクになった僕は、
軽く食事をとった後
京浜東北線に乗り関内駅まで向かった。
パシフィコ横浜を少し過ぎたのは、
やらなけらばならない作業を進めるため、
ライブの前に一旦快活クラブに行くからだ。
開演まで2時間を切ったので、作業を切り上げて会場へ向かう。
物販で少なくともペンライトは買おうと思っていたので
(ペンライトを持ってきていないため、
ここで買わなければ素手での参加になってしまう。
まあそれでもいいのだが…)
物販列に並んだ。
このぐらいの時刻から並んでもすぐ買えるだろうと思っていたが、
これは大きな間違いだった。
かなり長い列ができていたし、列が全然進まない。
誤算すぎた。
それでも開演ギリギリぐらいには買えるかもしれなかったので並び続けた。
しかし無理だったので撤収。入場口に向かった。
座席
スタッフがスタンプのようなものを画面に押し付けることで
まるで本物のスタンプのように画面に入場印が押されるという、
例の謎技術による入場手続きを済ませ、
座席に向かう。
このスタンプはどういう仕組みなのか未だ分からない。
一般で取っていることもあり、
「3階16列」という明らかに最後方っぽい座席を引いていた。
しかし僕は大きい箱ではむしろ遠くで見たい派なので、
後ろの席であることに関してはかなりどうでもよかった。
(小さい箱では「遠くから見る」ことはできないから、
「遠くから見る」というのは大きい箱の特権だと思っている)
そういう訳で座席がどの位置か事前に調べてはいなかったのだが、
実際3階16列に行ってみたら後ろから2列目で流石に笑ってしまった。
こうして僕は、パシフィコ横浜の座席の中で最もステージから遠い座席のうちの1つで、このライブを見ることになった。
本編
M1『≒JOY』
初披露のovertureが終わり、1曲目の『≒JOY』が始まる。
古川貴浩さんによるギターとブラスの分厚いアレンジが華やかな曲である。
これはグループとして最初に制作された曲だ。
1stコンサートの1曲目にふさわしい。
各々のソロパートで、それぞれの様子がモニターに抜かれる。
え…みんな可愛すぎる…
アイドルオタク初心者みたいな感想がつい口から漏れ出てしまった。
グループの象徴でもあるティアラを付け、
イコノイジョイ2023でお披露目された衣装(画像参照)を着て登場したメンバー。
みんな可愛い。
可愛さに見惚れているうちに1番のBメロになっていた。
ここで僕は衝撃を受けることとなった。
この曲はグループの1stソングとして作られたにしては難度が高い。
というのも、hi E♭の高さで歌わなければならない所が、
BメロとサビとCメロに1か所ずつ、フルコーラスだと計6か所ある。
このhi E♭という音は、一般的な女性ボーカルが地声で出せる平均的な最高音に近い。
この曲を歌おうとして高くて歌えない女性も少なくないのではないかという程度の高さである。
この高さを4人(メンバーの実に3分の1!)に担わせるという
1stソングとしては割と無茶な要求をしている曲なのである。
しかも生歌、この日の1番最初の歌唱。
何年もやっているベテランアーティストだって難しい。
(ライブの前半にはあまり高音がない曲をやったりするアーティストもいたりするほど)
しかし、彼女たちの歌唱力は圧巻だった。
1Bメロ
「響いて」(大西葵)
1サビ
「もっと本気で見届けてよ」(村山結香)
2Bメロ
「笑ってる」(村山結香)
2サビ
「君はもう孤独じゃない」(藤沢莉子)
Cメロ
「何度でも」(小澤愛実)
ラスサビ
「ずっと視線逸らさないで」(大西葵)
全員が全員、
一切音を外すことなく、
それも堂々と、
ドンピシャでこのhi E♭の音を出していたのだ。
あまりにも凄すぎる。
このhi E♭の箇所はメロディで最も盛り上がる部分で、
歌詞としてもどれも力強い内容の部分である。
グループの決意の曲としてのこの曲、このパートに、
4人のこの繊細かつ伸びやかで重厚な歌唱が
完璧にマッチしていた。
それ以外のメンバーも、全員輝いていて、
迫力・説得力のある『≒JOY』だった。
この日の1曲目にして、強烈に心を打たれた
鳥肌も止まらない。
気づけば僕は、彼女たちのパフォーマンスに恍惚として見入っていた。
M2『届いて LOVE YOU』
=LOVEカバー。
いつ聴いてもどこか初期曲感のある曲調の可愛い系の曲。
グループ初期にカバーしがちというこの方針は曲の雰囲気によく合っていると思う。
M1の『≒JOY』の強力さとうってかわって可愛らしさ満点で、
その振れ幅も素晴らしかった。
M3『愛月、助けに来たぞ』
元ネタは=LOVE『樹愛羅、助けに来たぞ』。
一言でいえば「天才」これに尽きる。
グループの末っ子というポジションや愛月ちゃんのキャラに合いすぎている。
≒JOYメンバーの身長は160cm前後に集中しているため、
並ぶと愛月ちゃんだけ小さく見えることがある。
その小ささが末っ子感満載で可愛すぎたし、
この曲の主役として適任すぎた。
名采配。
そんな愛月ちゃんは曲途中で馬跳びしてたが、
それを皆温かい目で「頑張れ~!」的な感じで見ているのが微笑ましすぎた。
M1ではパワフル、M2では可愛い曲だったが、
M3ではヒャダイン特有のコミカルな曲。
コミカル曲もいけるんだ…
冒頭3曲の時点で既にバラエティ豊かで、≒JOYのポテンシャルが惜しみなく発揮されている感じがある。
M4『「君の音だったんだ」』
名采配は止まらない。
M4は≠ME『「君の音だったんだ」』。
M1~M3ともまた違って、青春時代の恋を歌う曲。
センターは大信田美月ちゃん。
この采配があまりにも良すぎた。
特筆すべきはこの曲の一番最後、
の部分。
本家ではセンターの冨田菜々風ちゃんが歌っていて、
≒JOY ver.では同じくセンターの大信田美月ちゃんが歌っている。
この、センターに置かれる人の違いによって、
この曲の表情が大きく変わっていたのが非常に面白かった。
≠ME ver.では、この曲の主人公(歌詞中の「僕」)は、
僕の解釈では(※解釈は曲を聴く人数分ある。あくまで僕の解釈)、
目立つタイプじゃないけど器用で好青年な男子高校生だと思う。
多分これから学年が上がれば部活ではレギュラーになるし
(MVの設定通りサッカー部なら、ポジションはRSBとかだと思う)、
背も高いし、優しいし、情熱的だし、
この主人公が恋している相手(歌詞中の「君」)は
実はひっそりとこの主人公のことを気になっていると思う。
冨田菜々風ちゃんの真っ直ぐで力強い、青春感のある歌唱がそんな気にさせる。
一方≒JOY ver.の主人公、すなわち大信田美月ちゃんの歌声が描く主人公は、
≠ME ver.と同じく思春期の少年ではあるものの、
その「少年感」は冨田菜々風ちゃんによる「少年感」とは異なり、
多分中学生ぐらいの男の子だと思う。
そして≠ME ver.の主人公よりどこか心細いというか、
何でもそつなくできる青年という感じはなくて、
例えるなら『僕のヒーローアカデミア』(の最初の方)の緑谷出久みたいな、
内には熱さを秘めていて、明確に主人公ではあるんだけれど、
どこか自信が無くて、何事も器用にはできない、
そういうタイプの主人公な気がする。
リバーブがかかったときに屋外の草原に広がっていくような冨田菜々風ちゃんの歌声に対して、
大信田美月ちゃんの歌声は屋内の何もない空間に少し不安げに伸びていく、
そして冨田菜々風ちゃんより甘く可愛い系のイメージ。
この2人の声質の違いが、
この曲の作る物語やそれに付随する情緒に異なる色をつけているように感じた。
その極めつけが一番最後の
の部分である。
もう少し前から引用しよう;
この曲、主人公が最後には吹奏楽部で練習をしている「君」に
「君の音だったんだ」
と、あたかも初めて知ったかのように伝える。
しかしその前の歌詞の通り、
それを知っていたけど、でも知らないふりをして言っているのである。
というか「知っている」とかいうレベルじゃない。だって
とか
とか言っていて、めちゃくちゃ「君」の練習の音を聞いてる。
それなのに知らないふりをして「君の音だったんだ」と言う訳だが、
前述の歌声の違いによる曲の表情の差異によって、
その「知らないふり」の裏にある経緯や考えが、
冨田ver.の「君の音だったんだ」と
大信田ver.の「君の音だったんだ」とでは
違うように聞こえてこないだろうか。
冨田ver.はなんというか、大信田ver.と比較して
「君」と話す意図的なきっかけ作りのニュアンスがより強くて、
大信田ver.の方は、より咄嗟に出たセリフというニュアンスが強いように感じる。
(少なくとも僕はそう感じる)
大信田ver.の方は
男「あ…あのさ!」
女「?」
男「あ…いや……君の音だったんだね…その、トランペット…」
みたいな様子が想像できる。冨田ver.はもう少し堂々としてる気がする。
そのせいで、今回の大信田ver.の
のパートが、本家より断然胸が苦しくなる感覚になった。
本家とは少し表情の違う≒JOY ver.の『「君の音だったんだ」』。
これはこれで味わい深く、また音楽の奥深さ、面白さも感じられた。
大信田美月ちゃんの歌声の、他には出せないこの独特の表情が、
今後の≒JOY楽曲でどのように活かされていくか楽しみになった。
それからこの『「君の音だったんだ」』はラスサビが強烈に盛り上がる構造になっている。
そのクライマックスが、本家では冨田菜々風ちゃんと櫻井ももちゃんが担当している
のハモりパートである。
今回の≒JOY ver.では、このパートは逢田珠里依ちゃんと大西葵ちゃんが担当した。
音程が完璧なのはもちろんのこと、
ハモの声の張りや表現力も完璧だった。
爽やかに伸びのある、よく通る歌声があまりにも気持ち良すぎた。
このグループには何人歌が上手いメンバーがいるんだ…
M5『スイートシックスティーン』
この日2曲目のオリジナル曲。
幸福感と可愛さに溢れたこの曲だが、なぜか時々切なく感じる。
そんなところがこの曲の好きなところだ。
僕はMVについているこのコメントが好きなのだが、
まさにこういう表情を見せてくれる曲である。
そしてこの曲の歌詞の
この部分を、メンバー皆がライブで楽しそうに歌っているのを見て、
この子達のために、今のこの時間が一生続いてあげてくれ…
という気分になった。
歌詞中では友達とのパーティーの話だが、
これが披露されているライブとリンクした時に、
この曲は泣き曲になると思った。
M6『野蛮な求愛』~M7『それでも好きだよ』
自己紹介のMCを挟んだM6はAKB48『野蛮な求愛』。ダンスナンバー。
ここからはユニット&ソロのブロック。
この曲は村山結香ちゃん、江角怜音ちゃん、藤沢莉子ちゃんの3人で披露された。
この3人のダンスがそれぞれ系統が違っていて、
それぞれが別々の「ダンスの上手さ」を表現していて良かった。
≒JOYは歌だけじゃなくてダンスも上手いの…?
M7は指原莉乃『それでも好きだよ』。
天野香乃愛ちゃんのソロ。
この曲は音程が全体的に高い。
このずっと高めな音程と天野香乃愛ちゃんの高音の歌声の可愛さが上手くマッチしていた。
そしてこの曲は、個人的には
松田聖子の時代から松浦亜弥の時代を経て今に繋がる、
日本の女性ソロアイドルの流れを汲んだ曲調になっていると思っていて、
その「日本の女性アイドルのイデア」みたいなものが期待されたカバーなんだと思う。
例えば=LOVEでは齊藤なぎさちゃんがカバーしていたりするところからも、
采配としてそういう意図を感じるし、
実際その期待に天野香乃愛ちゃんは応えられていたのではないかと感じた。
M8『ロマンティックいか焼き』
M8は乃木坂46『ロマンティックいか焼き』。
こちらは大信田美月ちゃん、髙橋舞ちゃん、山田杏佳ちゃん、山野愛月ちゃんの4人で披露された。
夏らしくて良い。
今回の会場が海のすぐそばだったのもこの曲に合っていて良かった。
そしてこの4人に歌わせるという名采配。
本日何度目の名采配だろうか。
この歌詞の主人公は、子供ではないけどウブな感じの子だと思う。
この4人の声や雰囲気がそれをうまく表現できていて良かった。
「水着が恥ずかしい」のパートを山田杏佳ちゃんが担当していたのがあまりにも適任だった。
という流れだが、
この4人の中で一番
「恋人との初めての砂浜でちょっと冒険した水着を着て、
『恥ずかしい』と言ってそう」
なのが山田杏佳ちゃんだと思う。
かなり偏見だが。
山田杏佳ちゃんの言う
「水着が恥ずかしい」
は、照れの中に少しあざとさが入っている感じがして、
非常に可愛かった。
このパートを割り振った人を褒めたい。
僕も山田杏佳ちゃんの見た目になって、
恋人との初めての砂浜でちょっと冒険した水着を着て、
「恥ずかしい」とか言いたい。
そしてやっぱり皆表現力が高かった。
M9『きっかけ』
M9は乃木坂46『きっかけ』。
大西葵ちゃんのソロ。
これが今日のMVPだった。
いや、もちろん全員によるオリジナル曲も良かったのだが、
この大西葵ちゃんの『きっかけ』の歌唱が
あまりにも衝撃的すぎた。
これが衝撃的すぎて、
会場を出てまず初めに口にしたのが大西葵ちゃんのことだった。
なんならこの公演の後しばらくは脳内の7割ぐらいは大西葵ちゃんだったまである。
これは≒JOYメンバーが結成して間もない頃に行われた合宿で指導されていた内容である。
僕は趣味の音楽活動で曲を作ったりするのだが、
ただの素人ではあるものの
作詞・作曲・編曲の各ステップで意識してることがある。
それは「多様な解釈の余地を残すこと」だ。
このような余地を持たせることで、
演者や聞き手が誰であるか、
その人たちが今どのような状況に置かれていて
どのように考えているのかなど、
その時々、人々によって無数の色に変化していく。
これこそが音楽の面白さであると少なくとも僕は考えているし、
実際そう考えている音楽プロデューサーも多いと思う。
例えば歌詞の意味について聞かれたつんくが、
なんだか分かるようでよく分からないようなことをよく言うのは、
解釈をただ一つに限定させたくないという理由もあるのではないかと思っている。
(これはあくまで僕の予想でしかないが)
だからこそ、演者は自分なりの解釈を持ち、
その解釈を表現する必要がある。
そうして本家とは(必然的に)また違った色が出て、
そこで初めて「カラオケ」ではなく「カバー曲」になるのだと思う。
この日の『きっかけ』のカバーは、
その意味においてレベルが違った。
大西葵ちゃんの中にこの曲の解釈が明確にあって、
その解釈を、
大西葵ちゃんの目の前まで僕の腕を掴んで引っ張られ、
僕の目を見て心から訴えられたような、
そういう感覚に陥った。
この曲から何を感じ取ったのか。
それぞれのフレーズはどのような意味なのか。
それが今の自分にとってどのような意味を持つのか。
魂でこれを叫ぶ歌唱が、そこにはあった。
大西葵ちゃんの歌声は、特に≒JOYというグループにおいては特徴的である。
≒JOYメンバーは、村山結香ちゃんや小澤愛実ちゃんを筆頭として
フレッシュで晴れやかに伸びていくような歌声の人が多い。
その中で大西葵ちゃんの歌声だけ飛び抜けて異質で、
他のメンバーと比べて一人だけ哀愁があるというか、
陰の部分がにじみ出ているというか、
どこか苦しさや悲しさのある声質をしている。
その歌声がこの『きっかけ』という曲に乗り、
大西葵ちゃんなりのこの曲の解釈が加わったその結果には
驚異的な迫力、説得力があった。
孤独感のあるイントロのピアノの音色と共に、
ステージ上に広がるスモークの中、大西葵ちゃんが登場する。
Aメロの歌詞の、周りに置いて行かれている感じとか不安感が、
大西葵ちゃんの歌声、歌い方とマッチしていて、
一瞬でパフォーマンスに引き込まれた。
とか、
『≒JOY』のレコーディングで泣いちゃったりとか、
(『≒JOY(ニアリーイコールジョイ)/ Documentary of ≒JOY -Episode3- 『夢を歌え』【YouTube ver.】』https://youtu.be/mC8V_5tmksc?si=3Gndr3PaDRTQAu0t&t=998、最終閲覧:2023年9月11日)
端々で謙虚というか、ネガティブというか、
自信なさげな言動を見せる大西葵ちゃんがカバーする『きっかけ』。
臨場感がもの凄い。
Bメロに続く。
この最後の
の部分、歌の力強さに鳥肌が立った。
ここでは、コードは
A♭sus4→A♭→B♭
と進んで、
これまでD♭メジャーキーだったところから全音上がり
サビのE♭メジャーキーに転調する。
最後のコードのB♭は、
E♭メジャーキーの「ドミナント」と呼ばれるコードで、
サビ冒頭の「決心の」の部分のコードであるE♭に強く帰結したがる性質がある。
この強烈な帰結感と転調の場面転換感、
そしてその裏の音数の多いドラムの盛り上げ、
駆け上がるストリングスの上に、
「嫌いだ」という強いフレーズ、
大西葵ちゃんの歌唱のエネルギーが重なって、
心から、並々ならぬ「決心」をしたんだという、
そんな世界観が伝わってきた。
そしてサビに続く。
この感覚を表すためにはどんな形容詞も陳腐に感じてしまうほど
圧倒的なパフォーマンスだった。
渇望するものがあって、でも同時に不安で泣いてしまいそうになる。
そんな表情を持つ大西葵ちゃんの歌声は、
この曲を歌うためにあるんじゃないかと思うほど、
この曲の世界観をうまく表現していた。
心からの叫びとしてこう歌っている子のいるグループが、
1stソングで
とか、
とか歌っているの、
この物語に感動しない人がいるのだろうか。
何度でも大西葵ちゃんの『きっかけ』を聴いていたい。
全人類にこれを聴いてほしい。
逸材ぞろいの≒JOYの中でも
特に大西葵ちゃんが逸材過ぎる。
アイドル界は大西葵ちゃんを失ってはいけない、そう思わされるパフォーマンスだった。
M10『暗闇』
M10はSTU48『暗闇』。
市原愛弓ちゃん、逢田珠里依ちゃん、小澤愛実ちゃんのユニット。
STUは市原愛弓ちゃんの「前世」である。
これまでも小澤愛実ちゃんの「前世」であるラストアイドルの『愛を知る』はよく歌われているイメージだったが、
STUの方は全くやらないので、
なんとなくSTUはやらない方針なんだと思っていたから意外な選曲だった。
僕は主現場で「前世」持ちのメンバーを推しているので、
「前世」の時の曲をやったときのオタクの気持ちはよくわかる(つもり)。
過去を肯定してくれている中で今の充実感も見せてくれることに対する、
嬉しさというか、誇らしさというか、なんというか、
それにしかない独特な感情を覚える。
市原愛弓ちゃん、逢田珠里依ちゃん、小澤愛実ちゃんの3人とも、
安定してレベルの高いパフォーマンスを見せてくれていて良かった。
M11『あの子コンプレックス』
ここからはまた全員でのパフォーマンス。
M11は=LOVE『あの子コンプレックス』。
この曲のセンターは大西葵ちゃんで、
前述のように当然ハイクオリティなのだが、
この曲で見入った・聴き入ったのは天野香乃愛ちゃんのパフォーマンスだった。
この曲は歌割りがかなり偏っていて、
メインは大西葵ちゃん、
次いで逢田珠里依ちゃんと、
この辺はかなり納得感のある歌割りなのだが、
そこに天野香乃愛ちゃんが食い込んできているのが意外だった。
天野香乃愛ちゃんのイメージは、
山野愛月ちゃんと共に最年少のハーフツインの可愛い子で、
この日であれば『スイートシックスティーン』とか
『それでも好きだよ』みたいな
アイドルらしい、元気で可愛い曲が似合うような、
だけど話し方や考え方に賢さがにじみ出ていて
しっかりした一面もある子、
といった感じだったから、
このどれをとっても『あの子コンプレックス』での大抜擢は予想外だった。
末っ子の可愛い系の天野香乃愛ちゃんが
意外にも一番低音を響かせていて、
この曲の未練とか悔しさとか恨みとか、
そういう世界観を表現する重要なピースになっていた。
意外には思ったが、
そういえば普段のshowroomの配信とかで話しているときの地声は
結構低めで落ち着いた感じだったなと。
ただ、それを加味しても抜群の表現力だったと思う。
今後≒JOYのオリジナル曲でも
天野香乃愛ちゃんがこういう曲の軸として歌うのを
既に待ちきれなくなっている自分がいる。
天野香乃愛ちゃん、
あなたも歌唱メンなのか…
逢田珠里依ちゃんもかなり良かった。
『「君の音だったんだ」』に続いて大西葵ちゃんとのハモ。
全部の曲にこの2人のハモりを入れようよってぐらい
安定感と気持ち良さのあるハモだった。
そして曲に表情をつけるのが上手い。
声質や歌い方のおかげで
「たぶんこの曲の主人公は、
今雨に打たれて全身ずぶ濡れなんだろうな」
というイメージが湧くような、
そういう歌い方だった気がする。
そしてラスサビ冒頭の大西葵ちゃん。
大西葵ちゃんの凄さを説明するには
もはや日本語という言語は無力なのかもしれない。
この部分の大西葵ちゃんの歌唱を聴くと
こっちまで胸が苦しくてたまらなくなってくる。
極めて強い引力で楽曲の世界に僕らを引きずり込まれるような感覚に陥る。
2曲前の『きっかけ』のソロからの流れもあり、
ラスサビのこの時にはもう大西葵ちゃんの独擅場みたいにすらなっていた。
この『あの子コンプレックス』という曲、
それこそ本家の表現力がずば抜け過ぎていて
これをカバーするのはかなりチャレンジングだと思うのだが、
上述の3人を主軸として
全員がそれぞれの解釈を持ってそれを表現し、
本家とはまた違った顔をした『あの子コンプレックス』が出来上がっていたように思えた。
1年と数か月前にはほとんどのメンバーが一般人だったとは思えない。
実は3年ぐらいこっそり下積みをしていましたと言われても
僕は全く驚かないほどのパフォーマンスレベルだったと思う。
M12『いらない ツインテール』
M12は=LOVE『いらない ツインテール』。
天野香乃愛ちゃんと山野愛月ちゃんのダブルセンター。
このありすダブルセンター、良い。
グループの末っ子枠、可愛い。
『あの子コンプレックス』→『いらない ツインテール』という流れも良い。
『あの子コンプレックス』のダークな曲調を引き継ぎつつ、
サビのメロディはキャッチーで、
テーマも「ツインテール」とアイドルって感じだから、
次の『僕らの制服クリスマス』という
アイドルソングど真ん中みたいな曲に
スムーズにバトンを渡せる。
M13『僕らの制服クリスマス』
M13は=LOVE『僕らの制服クリスマス』。
センターは市原愛弓ちゃん。
個人的にイコラブの中でトップレベルに好きな曲。
歌詞もメロもオケも振付けも可愛いから好き。
あとコード進行が好き。
本公演としては5曲ぶりの可愛い系の曲。
ここまでしばらく≒JOYというグループのパフォーマンス力に着目してきたが、
これを見てやっぱり皆アイドルなんだなと感じた。
可愛い系の曲ではしっかりと可愛い。
この曲の
の部分の江角怜音ちゃんが、
別にソロパートを歌っているわけではないがかなり好き。
この部分、振付けがかなり可愛いのだが、
それを普段クール・イケメン・ボーイッシュみたいな感じの江角怜音ちゃんがやるのが、所謂ギャップ萌えってやつで良い。
可愛い。
M14『ポニーテール キュルン』~M15『探せ ダイヤモンドリリー』
M14は≠ME『ポニーテール キュルン』。
センターは村山結香ちゃん。
そしてM15は=LOVE『探せ ダイヤモンドリリー』。
センターは山田杏佳ちゃん。
ガチ恋口上曲ゾーンに突入した。
僕は結構ガチ恋口上好きなのだが、
この2曲の2サビ後の間奏(ガチ恋口上入れる部分)のギターがめちゃくちゃ良くて好きなので、
「せっかくだからガチ恋口上を入れておくか」という気持ちと
「至高のギターに身体を任せてその良さを全身で感じたい」という気持ちとが葛藤し、
結局どっちつかずの中途半端な感じになってしまい、
不完全燃焼になってしまったことが心残りだった。
これの良い解決策を早く見つけたい。
さて、僕個人ではなくもっとマクロに見れば、
この2曲でかなり盛り上がっていた感じがある。
多分ここでこの日の公演が終わっても満足度は高かったろう。
かなり濃密な1日を過ごせている実感があった。
やはり曲の良さは正義。
M16『その先はイグザルト』~M17『超孤独ライオン』
幕間のVTRを挟んで
(ちなみにこのVTRは終始山野愛月ちゃんが可愛かった)
初披露のオリジナル曲『その先はイグザルト』。
この曲の良さを語るには
どうしてもコード進行(小室進行)について語らなければならないので
ここでその話に触れるのはやめておくが、
現在ある7曲のオリジナル曲の中で少し系統が違っていて、
でもやっぱり秀逸な曲で良い。
ハロプロ(特にここ10年ぐらいの)を通ったことのある人なら
この曲結構好きなんじゃないかと思う。
Bメロの
の部分(1番は逢田珠里依ちゃん、2番は大西葵ちゃん)の
力強くも悲痛な歌い方が
めちゃくちゃ決まっていて圧倒されるし、
サビの
の部分(それぞれ大西葵ちゃん、小澤愛実ちゃんのパート)の高音が
サビのアクセントになっていて気持ち良い。
そして『超孤独ライオン』に続く。
やっぱりこれはライブ会場で聴くのが良い。
ツーバス(orツインペダル)のドラムを
ライブ会場の音響で全身で聴くのが至高。
そして『その先はイグザルト』→『超孤独ライオン』という流れも良い。
シリアスな、格好いい系の曲でまとめてきて、
そして相変わらず表現力のクオリティが高い。
全員が曲の世界観に没入している。
M18『大空、ビュンと』
≒JOYオリジナル曲ゾーンは続いていく。
怒涛のカバー曲ゾーンが終わり、
オリジナル曲でまとめてきていることから、
本編もいよいよ最終盤になっているのだと感じる。
M18は『大空、ビュンと』。
先ほどまでとうってかわって
ギターとピアノとストリングスでコンパクトにまとめた
爽やかで疾走感のある曲だ。
僕はここの歌詞がたまらなく好きだ。
と夢への執念を高らかに歌って始まった物語の
前日譚がうかがえて想像が膨らむ。
特に若いうちに地元を離れたことのある人なら分かるかもしれないが、
このことに気づけるのは、
「見送」られた時よりずっと後なことが多いと思う。
僕自身そうだった。
僕は地元を(というより実家を)出たくて出たくてたまらなかった。
だから地元の大学には行かなかったし、
家族全員が、
僕は高校を卒業したら地元を離れることを
半ば当然のことだと思っていた(と、僕が思い込んでいた)。
そこから色々な経験をして、
僕は当時よりも精神的にずっとずっと大人になって、
僕は愛情を持って育てられたのだということに初めて気づけたし、
その愛情とは何なのかもやっとわかった。
だからこそこの
のたった1行に、
その背後にある膨大な物語を感じ取れてグッとくるのである。
これに
と続けるのが、
まさに夢を歌う≒JOYというグループという感じがして
何度聴いても心打たれる。
2番サビの歌詞も好きだ。
夢のために本気で努力して挫折して、
それでも前に進んだことのある人じゃないと書けない歌詞。
これこそが「努力」の本質だと思う。
そしてこの曲は『≒JOY』と対比させて聴くのが好き。
『≒JOY』で
と歌っている山田杏佳ちゃんが
この『大空、ビュンと』では
と歌っているし、
と歌っている小澤愛実ちゃんが
と歌っている。
1stソングからひとつづきの物語になっているのを感じる、
そんな歌割りが良すぎる。
楽曲があまりにも良いな。
M19『今日も君の夢を見たんだ』
そしてM19『今日も君の夢を見たんだ』に続く。
この曲は音数の多いドラムが聴いていて気持ち良い。
この曲の編曲を手掛けた脇眞富さんは僕の好きな編曲家の一人で、
=LOVEでは『笑顔のレシピ』『だからとて』『ラブクリエイト』、
≠MEでは『こちらハッピー探検隊』『まほろばアスタリスク』、
イコノイジョイ全体では『トリプルデート』
を編曲しており、
常に僕の好みドンピシャの楽曲を作ってくれている。
ただ、何といってもこの曲の一番の見どころは
の部分の振付けである。
さんざん言及されていることではあるけど、
「原動力」でネジ巻いてるのが可愛すぎるし、
それをクールっぽい見た目の江角怜音ちゃんがやっているのも良すぎる。
ネジ巻かれた村山結香ちゃんの表情も元気で可愛い。
MVの「リプレイ回数が最も多い部分」もここになっている。
この日、この部分を生では初めて見たのだが、
当然ライブver.も非常に可愛かった。
≒JOY、
当然皆可愛いし、
楽曲も良ければメンバーの歌唱も良い。
さらには振りも良いとなると、
アイドルとして満点なんじゃないか。
M20『笑ってフラジール』~M21『きっと、青い』
M20は『笑ってフラジール』。
この曲もシンプルな編曲で、
メイン楽器が両サイドにいるギター、
その背後にコードを弾くピアノがいて、
そこにストリングスのフレーズが入ってくるという構成。
この曲はCメロが好きだ。
そもそも僕は「〇〇な感じのCメロを作りたい!」というモチベーションから曲作りを始めることがあるくらいには、
ポップスの中で「Cメロ」と呼ばれるブロックが好き。
この曲は「Cメロ」の「Cメロ」らしさの真骨頂という感じがする。
2サビまでの勢いから場面転換をした後、
ハッとするような指摘、決意。
そして半音上がるラスサビに繋がる。
夢を見ることは自由なんだと書ける人は無数にいるだろうが、
果たしてその環境は平等じゃないと書ける人はどれほどいるだろうか。
堂々と高らかにこの部分を歌い上げる≒JOY。
ここから未来が始まっていく、
そんな1stコンサートの終盤にふさわしい曲だった。
そしてこの曲の終わりに
と続く。
もしこの歌詞の「君」をメンバーだとするなら、
空の青さは何に当たるんだろう。
そう思ってこの曲の終わり、
モニターから目を離し
会場の最後列から会場全体を見渡してみると
数千のペンライトの光があって、
「ああ、『空は青い』ね…」
と思ったりした。
そして本編ラスト、M21はこの日初披露の新曲『きっと、青い』。
この1stコンサートのために歌詞を書いたとのこと。
と歌っている『笑ってフラジール』に続けて
『きっと、青い』という新曲を披露する抜群のセンス。
ずっと濃密で高い満足感のある楽しいコンサートだったなと、
そんなことを考えて公演全体を振り返りながら、
最後列らしく引きで小さいステージを見つつ、
モニターで歌詞を確認した。
結論から言うと、この曲が本編ラストの曲として最高だった。
この曲はブラスの音が目立つ明るい元気な曲。
なおかつ臨時調号の少ないCメジャーキーの曲で、
そのおかげで無垢で素朴な雰囲気も強く感じられた。
まさに今の、1stコンサートのタイミングの≒JOYを
そのまま写し取ったような、そういう曲調。
世間が「青春」と呼ぶ「青色の空」は、
確かに大人には見えないんだというのは、
大人になった今痛感する。
あの年代だから見えた「空の青さ」ってあったなあと。
未熟だから、ではなくて、
「未熟ながら」悩んだりしたっていう表現、
メンバーの等身大という感じで良い。
悩むことは必要経費だと理解した上で
その時できる限りでもがいたんだよ、という
そういうフレーズだと感じる。
楽しそうで充実感のある表情を浮かべながらこの部分を歌うメンバーを見て、
≒JOYのこれまでの1年強の足跡を全然知らないのに
嬉しくなって、この場所を守りたくて、
止まらない涙が流れるんじゃないかと思った。
それぐらい良い仲間に出会えて、
良い環境で充実した日々を過ごしていて、
今が楽しくて、未来が輝いていて、
まさにこの曲の通りなんだろうなというのが、
12人の雰囲気、表情から伝わってきた。
「僕ら」が先で、「友情」という言葉が後。
「僕ら」の今の空気感を表すために
「友情」という言葉がある。
歌詞が良すぎる。
結成時のドキュメンタリーで「自分を変えたい」的なことを言っていたメンバーが複数いたり、
それ以外でも「自分を変えたかった」あるいは「≒JOYに入ってから変わった」みたいなことを言っているメンバーがいたりと、
そんなグループがこれを歌っているの、良すぎ。
そして「夢を歌う」グループでありながら、
休憩したっていい、
ずっと仲間なんだから、
と歌う優しさ、温かさよ。
「おそろいの夢」というフレーズも可愛すぎて好き。
可愛いだけではなくて、
「おそろいのアクセサリー」と同列に並べているからこそ輝いている。
「おそろいのアクセサリー」、
一見友達どうしの軽いものに思えるが、
「おそろい」ってこの年代ではもっとずっと重い意味を持っていて
強い連帯、帰属の象徴だと思う。
それに「おそろいの夢」というフレーズが同列で語られる。
たまには休もう。
ずっと一緒にいるから。
そして合言葉は皆で共通の「夢」。
なんて素晴らしいグループなのだろうか。
そして
と続いて終わる。
最高のグループだ。
EC1『「部活中に目が合うなって思ってたんだ」』~EC2『スタート!』
アンコール。
EC1は=LOVE『「部活中に目が合うなって思ってたんだ」』。
=LOVE初期のあたりの古川貴浩節のギターが美味しい。
この曲でメンバーが客席に登場。
僕のいた3階席にも半分くらいのメンバーが来た。
近くに来たメンバー、皆可愛かったけど、
江角怜音ちゃんが跳ねるような足取りで
無邪気に楽しそうに「アイドル」をしているのを見て、
『僕らの制服クリスマス』以来本日2度目の
「可愛いモードの時の江角怜音ちゃんが一番可愛いのでは…?」
という気分になった。
全然アイドル志望とかじゃなくて、
そもそもアイドル自体よく知らない状態で入ってきた子が
ライブを楽しそうにやっているのを見ると
なんだか嬉しくなる。
江角怜音ちゃん、
もしかして知れば知るほど面白いんじゃないか…?
そしてEC2は=LOVE『スタート!』。
この曲の醸し出す、どことない「初期曲感」が好き。
アイストを通ったことのある人になら
『あこがれストリート』とか『絶対!Love Magic』とかのあたりのスト生の曲と同じ雰囲気を感じる、
といえば通じるだろう。
あまり間に詰まっていない、空白の多い編曲がそう感じさせるのだろうか。
アンコールは高々3曲ほどしかやらないことを考えると、
おそらくカバー曲はこの曲で最後。
そこにこの『スタート!』を持ってくるのがまた良い。
どれだけパフォーマンスレベルが高くても、
どれだけ会場のキャパが大きくても、
これは1stコンサート、
まぎれもなくここから新たな物語が始まっていくスタート地点だ。
その最後のカバー曲に「初期っぽさ」のあるこの曲を持ってくるのがあまりにも良い。
夢を歌うグループの
は沁みるし、
は本編ラストの『きっと、青い』に通じるものがある。
と歌い上げて、いよいよ本公演もフィナーレに向かっていく。
EC3『≒JOY』
そしてフィナーレは『≒JOY』。
言葉が出ないほどの感激。
これだけの内容の1stコンサートを見せてくれたグループに
とか、
とかを
最後に改めて力強く歌われたら、
それはもう心を奪われない方が難しいだろう。
「私達は全てをなげうって本気で夢に向かって走っているんだから、
ファンももっと本気で私達を見てよ」
というスタンスの曲の説得力がもの凄い。
もっと本気で見届ける、か…
ずっと視線逸らさない、か…
悪くないな…
いや、むしろ見届けさせてほしい。
そんな感情を噛みしめているうちに、
メンバーは退場し、
会場は明転していた。
メンバー
これまでセットリストの流れに沿った記述をしてきたので、
その編集の都合上どうしても言及するメンバーに
大きな偏りが出てしまったので、
本公演を通して感じた全員の印象を一言ずつ書いていきたいと思う。
逢田珠里依ちゃんは、ハモの重要なパートも多く任されていたが、
それ以上にあまり目立っていない部分でも、
参加しているだけで全体のバランスが整うような、
そういう歌唱、パフォーマンスだった。MCでもそう。
このグループの安定感を支えているメンバーだと感じた。
天野香乃愛ちゃんは、第一に可愛い。かなり。
でも「可愛い」に終始するのかと思えば
前述のように幅のある表現をしていて、
それでいて純粋な、極めて澄んだ目で会場を見渡したり、
かなり気合と根性がありそうな雰囲気を見せたりと、
かなり表情が豊かで見ていて飽きない。
市原愛弓ちゃんは、大人っぽいウェットな声質が、
全体的にパワフルな≒JOYメンバーの歌声の中で
良い感じにアクセントになっていて良い。
見た目も他のメンバーとは系統の異なる「綺麗」系の感じだし、
その面でも丁度良く個性的で良い。
江角怜音ちゃんは、
「江角怜音ちゃんがたった一人いるだけで楽曲をその楽曲の色に染めることができる」みたいなタイプだと思った。
センターにかなり向いてる。
でもMCとかでは案外感情をストレートに見せてくれるし、
クール一辺倒じゃないのが良すぎ。
僕は今回「可愛いアイドルモード」の江角怜音ちゃんが好きになった。
大信田美月ちゃんは、可愛い。
声が個性的で、守りたくなるような、そんな声質。
前述したが、大信田美月ちゃんセンターの『「君の音だったんだ」』は
何回も聴いて味わいたい。
今後変に技巧的な歌い方になろうとしないで、
今のどこか素朴な感じの歌い方のままでいてほしい。
あと可愛い。
大西葵ちゃんはさんざん書いてきたから、もう言うまでもない。
歌を、それもアイドルソングを歌う道を選んでくれてありがとう。
小澤愛実ちゃんは、ダントツで安定感がある。
歌もダンスも高い水準をキープしているし、
何よりも「この人のパフォーマンスは崩れることはないだろう」と思わせるような、そう思わせるような感じ。
入場のときに隣に並んでいた女性のファンの方が
「愛実ちゃんはニコニコしてて可愛い系のメンバーかと思えば
普通に歌唱メンなのが良い」
みたいなことを言っていたのが聞こえてきたが、
本当にその通りだと思う。
でもニコニコしてる小澤愛実ちゃんも、当然可愛い。
髙橋舞ちゃんは、
「今私はめちゃくちゃ楽しいんです!」ということを
誰にでも分かるように表情に出すのが上手いと思った。
それはMCの話し方にも表れていた。
ライブの楽しさは演者と観客の相乗効果で生まれると思うから、
分かりやすく楽しいアピールを全身でしてくれるのは重要な役割だと思う。
藤沢莉子ちゃんは、歌もダンスも一番安定していると思う。
流れの都合上どうしても入れられなかったが、
『≒JOY』の「君はもう孤独じゃない」や
『笑ってフラジール』の「君が眩しすぎる」の部分みたいな、
スパーンと鋭く出る藤沢莉子ちゃんの高音がかなり好き。
この2曲、1番より2番の方が好きなのだが、
その理由の大きな部分を占めているのはこのパートの気持ち良さだったりする。
それぐらい歌声が好き。
村山結香ちゃんは、そのめちゃくちゃ透明な歌声が唯一無二だと思う。
『≒JOY』の「もっと本気で見届けてよ」とかは段違いで凄くて、
このパワフルだけど透明で純粋な感じの歌い方のおかげで、
澄んだ目で、目と目を合わせてそう言われているような感じがする。
既存の≒JOY楽曲でも、今後の≒JOY楽曲でも、
その「青春感」の核になる声質だと思った。
山田杏佳ちゃんは、見た目が素晴らしい。
冒頭で書いたけど、生で見る山田杏佳ちゃんはやはり僕のなりたい女子高生像だった。
ツインテール&ティアラ&衣装が超似合っている。
それでいて、端々に自頭の良さを感じるのも良い。
これだけビジュアルが整っていて落ち着いているのに、
歌い方は意外と無垢な感じでそこも良い。
僕は結構山田杏佳ちゃんのソロパートが好き。
山野愛月ちゃんは、とにかく可愛い。
大事に大事に育てていきたい末っ子感、
これからも変わらず持ち続けてほしい。
こういうキャラのメンバーが1人いるだけで
楽曲の幅はぐっと広がると思う。
今回でいえば『愛月、助けに来たぞ』みたいな曲ができるようになる。
あとはイメージより表情が豊かで良かった。
全然一言どころではなかったが、
とにかく文字通り全員に、それぞれにしかない良さがあって、
全員合わさったときに最強になっていた。
あと歌上手いメンバー多すぎる。
=LOVEや≠MEは私立高校って感じがするけど、
≒JOYは「公立高校の運動部」って感じがする。
この感覚が何に由来するかはまだよく分かっていないが、
とにかくそういうイメージを受けた。
そして、公演前は「今日で推しを決めるぞ」と思っていたが、
結局むしろ選択肢が増えただけで全然決められなかった。
この日で1人に決めるには全員が魅力的すぎた。
おわりに
本公演は、事前に確固たる何かしらの意思でチケットを取ったわけではなく、割と軽いノリで取ったのだが、
その決断は大正解だった。
ここまで衝撃的な出逢いがあるとは思っていなかった。
僕がアイドルのステージで見たいものの全てがそこにあった。
この日が、僕にとって「出逢った今日」になったのだと思う。
2023年9月3日が「君と僕が変わった記念日」、
僕視点でいえば、
この日が、「僕と君が変わった記念日」となった。
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