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小説 万テチョライフでレベルアップ~よりそう Season2 ~ 38
アイデアが決まったらそこからは本当に早かった。といっても、赤杉・東郷両先輩が優秀過ぎて、すごい勢いでまとめてくれたから。
部長が以前言っていたように2人の連携はすごかった。赤杉先輩が大枠とそれぞれのポイントを作り、東郷先輩がそれをより詳細にデータを付け加えて実現可能性をアピールできる資料にみるみる変えていく。
今はオンラインで同時に資料を更新できるので、誰がどこを作ったのか、スライド上でも議論ができるので、制作過程がほぼ丸わかり。本当に2人の実務能力の高さに驚いた。本当にすごい。この資料の作り方そのものがコンテンツになるくらい。
さらに、参加間もない坂本さんのチェックもよかった。資料の穴(誤字を含め)を見つけたり、ロジックの曖昧なところを指摘しながら、こんな感じではという提案がものの見事にその通りで、凄さを見せつけてくれた。
3人のおかげで、自分が最初に作った企画書はアイデア以外ほぼ残ってなかったが、だけどこれならうまくいくのではと思わせてくれるほどのすごい企画書に生まれ変わっていた。
「・・・・と、いう感じです。」
まとめた結果をチーム内でレビューする会で、赤杉先輩がみんなに説明してくれる。自分を含め、東郷先輩、坂本先輩も楽しそうに聞いていたが、1人部長だけが、腕組みをして難しそうに考え込んでいる。
「うん。ありがとう。
すごくいい。一つ質問していいか。
なんでこんなにすごいアイデアが、今の時代こんなにマイナーなままなんだ?
誰もが集中する時間は必要だと思っているのにそれができていない。なぜだろうな。」
部長の考えは我々の先をいっていた。メモをとっている赤杉先輩。
「確かにそうですね。やっぱりプロトみたいなことをした方がいいかもしれません。」先ほどまでではないが、しっかり明るい口調で答える先輩。この辺りでへこたれないタフさが赤杉先輩の良さなんだろう。
「そうだな。じゃ、まず赤杉、東郷2人とも手帳買ってこい。先生と一緒にな。」
「え、経費で落ちます?」 すかさず東郷先輩。
「落としてもいいんだが、消費者の気持ちを知ってほしい。まずは自腹で買ってみろ。そして1ヶ月くらい使ってみてくれ。それから申請。申請は最初考えずな。一応。」
確かに。
「坂本さんはいいんですか? 」 と赤杉先輩。
「私はこれがあるので手帳は大丈夫です。」と、文庫サイズくらいの革の手帳を取り出した。ペンクリップが前面と後面についていてストッパーになっているみたいだ。
後「これ、もう10年くらい使っているのですが、イタリア人が作った革のカバーなんですよ.それに文庫サイズの手帳.私は一日1ページのものを使っています。日記みたいな感じで。」
おーー。綴じ手帳派だ。
「じゃ、先生よろしくな。」 と言って笑う部長。
あ、俺、先生?
「これからいくか。」 赤杉先輩。
「ネットで探してもいいんじゃない 」 東郷先輩。
「個人的には、モノを見た方がいいと思います。革だと一つずつ印象変わるんです。」と、すぐに言葉が出た。
なるほどと2人の先輩。
困ったぞ。でも、手帳選びに困ったときは。