
小説 万テチョライフでレベルアップ~よりそう Season2 ~ 18
会社の15階。ここはお客さんが来た時の応接室でほとんど来たことのない場所だった。ここで新プロジェクトの初ミーティング。
出海部長と二人で会議室に入ると中には2人の先輩たちが。
「おつかれさまです。」と声をかけて中に入ると、部長も一緒にいることを確認して、先輩二人も立ち上がり「おつかれさまです」と挨拶を返してくれた。もちろん部長に。
立ち上がった先輩はふたり。一人は朝声をかけてくれた東郷先輩。紺のスラックスにピシッとしたワイシャツ。もう一人は、どこかで見たことがあったような・・・。ちょっとくたびれたスーツに、律儀に青のネクタイをしている。
「あ、あのセミナーにいた」
「あ、なんかエンジニアのカンファレンスにおったねぇ」やさしいゆっくりした調子で答えてくれた。
「お、知り合いか?」部長が興味を持って聞いてくる。
そういえば、会社休んでいったんだったと、反省したのもつかの間、
「なんでエンジニアのカンファレンスにお前が」という部長の質問。
「ちょっといろいろありまして、、、実は人探しに」と、ごまかすように話したところ
「そういえば、きれいな女性の方と一緒だったもんね」と先輩。火に油注ぎ過ぎです。。。
カフェ「キムン」のマスターの今、離れ離れになって、ほぼ音信不通だったお子さんの隆史さんを探しに行ったのだ。何とか見つけることができて、親子の仲も改善することができた(詳しくは、前の小説をお読みください。)
「それはじっくり聞かないといけないな」部長も楽しそうに話を膨らませに来る。
や、やばい。
「せっかくこのいい会議室なんで、早く進めましょう」東郷先輩、ナイっスー。。
この話の流れに興味ないのかなと逆に心配になりつつも、話が戻ったことに感謝の気持ちを心の中で送る。
「さて、各自にははなしたが、なんか新規事業をやることになった.みんなはそのスタートメンバーに俺が選んで、オッケーしてくれた仲間だ。」
立ち上がった部長がいつもとは違う熱い語り口で話し始める。
オッケーしたメンバー?しなかったメンバーもいるのかな。なんて考えていると
「あまり接点がなかったメンバー同士だから、自己紹介から始めよう.
基本は自由だが、名前と得意分野、好きな食べ物と時間を忘れてやってしまうことは必須な。
まずは、雲川。若いやつからいこう。」
お、いきなり。
「雲川です。8年目です。
出海部長チームで、営業していました。
えっと、得意なことは、、、 えー。
好きな食べ物は、ナポリタン。
時間を忘れてやってしまうことは、ゲームです。よろしくおねが」
終わろうとすると、部長に
「得意なこと忘れてるぞ」といわれた。ばれた。得意なことなんかあるっけ。高速回転で頭の中を検索してたが、そういえば、マスターに言われた。
「自分で得意か分かってはいないんですが、尊敬している人から、お前は人の懐に入るのがうまいと言われたことがあります。
足引っ張るかもしれないですが、行動量でカバーしていきたいと思います。よろしくお願いします。」
3人からの拍手。
なんとか乗り切った。