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小説 万テチョライフでレベルアップ~よりそう Season2 ~ 9

やっと決めたm5サイズの手帳はPlotterのブライドルシリーズ。商品を何点か見せてもらい、なんとなくフィーリングのあった気がするものに決め支払いまで完了した。

「いつもありがとうございます。」結城さんから紙袋を渡される。
新しい手帳が入っている袋だ。ちょうど半年くらい前におなじように手帳を買った後、そういえば伽藍堂があいていて、そのままペリカンのM800もゲットしたんだった。手帳と万年筆のセットおかげで、いまいちだった自分が少し上向くきっかけになった。

もちろん手帳と万年筆があれば人生が変わるわけではないのだけ ど、伽藍堂というアンティークショップで購入した万年筆が毎日自分の手帳に質問を投げかけてくれる。

最初は「今日絶対にやりたいことは?」というものだった。そこから始まった手帳と万年筆の生活、言ってみれば万テチョライフのおかげでマイナスの自分を少なくともゼロかイチ以上にできた気がしている。

お礼を言いに伽藍堂に行ってみようかな。

そんなことを思っていると、
「もしかして伽藍堂行こうかと思っています?」小声で話しかけてくる結城さん。


「え、分かりました」おどろいて聞き返す。

こくりと頷いて、
「あそこはいつも今日は空いているかわかりませんけど、もうすぐ仕事終わるので、もしよかったらこの後一緒に行きません?」 結城さんからのお誘いだ。

お店ではホタルノヒカリが流れている。本当に長居をしてしまった。

「いいですね。じゃ、外で待っていますので、ちゃんと仕事終わらせてきてくださいね」 そう言ってお店の入り口の前まで階段を下りていく。
もちろん、ちょっとジャンプ気味に。

結城さんを待つ間、いつもの手帳を取り出す。
今日いろいろ聞いたことを一回書き出しておこう。

メモする手帳
・メモは書くことと同じくらい、見返すことが大切。
・情報の取捨選択
・入れ替えできるのがメモ手帳の肝
・メモ手帳には終わり、切り替えがない


うん。いいな。
今の手帳と合わせてうまく使っていこう。

そんなことを考えると私服に戻った結城さんがやや小走りに入口の外から出てきた。
「おまたせしましたー」 ちょっと息が上がっているところを見ると、本当に急いで階段を下りてきてくれたようだ。


「いえ、早かったですねぇ。ちょっとびっくりしました。」
「伽藍堂しまってしまったら大変なので、急ぎました。」そう、あっさり答える結城さん。
そっちかーーい。 思わず心の中で叫ぶ。

さて、今日、伽藍堂は空いているのかしら。二人でワクワクしながら歩きだした。

※今日のトップ画像はペリカンです。ちなみにペリカンを漢字で書く伽藍鳥と書くんですよね。 伽藍堂はここからとっています

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