手帳ミステリー SOSEIの手帳9
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手帳ミステリ SOSEIの手帳8|Rukawa.Nagamasa (note.com)
Day5 → Day 6: 深海蒼生
レストランに入り、飲み放題のドリンクバーとフレンチポテトを注文する。
「こういう時、自分が原点に戻ることをよくするのですが、」と説明をしながらPCの画面を立ち上げる。
「さっき聞いたようにパソコンのパスワードがあっていて、2つのあめのアイコンが出てきました。」と響さんが答える
「あめ?なんか発音変わってます?関西の人でしたっけ?」と、言いかけて、
雨、天気?
急いで、スマホのテザリングをつなげて、ネット環境を構築する。
パソコンのブラウザを開いて、天気とググる。がとくに何事もなかったようにいつもの検索結果が返ってきた。 やっぱり違ったか。
こんなに簡単に答えにたどり着けるわけがないか。と、持ってきた炭酸飲料を飲みながら思っていると、天気を調べていたことを知った響さんが
「天気ってググるタイプです?自分、大体音声アシスタントに頼むことが多いんですけど」と、ホットのスープを飲みながらぼそっと響さんが答える。
「音声アシスタント?あんまりつかわないですが、それかも。」と言いながら、パソコンを正面の青年にむけて、お願いしますと言ってみる。
「明日の天気を教えて」と、そのままPCに話しかけると
「今は、天気を教えることはできません。」と機械的な女性の声が返ってきた。
今は・・・?
「天気を知るにはパスコードが必要です」機械的な声が続く。そこに現れたのは箱が4つの入力画面。これが次の謎らしい。
*********************
それから手帳を見返してキーになりそうな、コードになりそうなものを探す。
入れてみてわかったのは4桁の数字がそれぞれの箱に入るということだ。そんな数字に該当しそうなものは特に見つからず、あっという間に2時間が過ぎた。日付が変わる。猶予は2日を切ってしまった。最終日にどこかに行くことになれば、実はもっと短い可能性すらある。
最初に頼んだポテトは申し訳なさそうに数本残るだけになっている。
「そういえば、さっき、困ったら原点に戻るって言ってましたよね。」響さんの声を聴いたのは久しぶりな気がする。あれ、寝ていたかな。
「いいましたね。」と続ける。ずっと考えていたせいかあまり頭が回っていない。
「では、この謎の原点は、、手帳ですかね。」と、話を進めてくれる。
「とっかかりですが、、今回の一連の流れは、、、名刺だ」急に目が覚めたような感覚があふてくる。田中一郎の名刺から始まったのだ。
響さんが手帳の表面に入っている名刺を取り出す。9枚の名刺。5枚の田中さんの他に4枚の別の人の名刺が存在する。
「最初の田中さん以外が、ちょうど4人分ですね」これじゃないかという期待の声で言う響さん。
多分そうですよ。4枚の名刺は以下の通り。
・株式会社シックスリング 内海哲人(うつみ てつと):06-2593-3541
・株式会社ビッグマイク 宮城佑(みやぎたすく):03-1357-9843
・有限会社ベジヘルス 前田竜太郎(まえだりゅうたろう):0123-88-4593
・株式会社HAU 中田 豪(なかた ごう):090-5641-2389
「4桁の数字ってことは電話番号ですよね?」と確認が届く。それぞれ、4桁のパートがふたつずつ存在している。
「ですよね。」と上の空で答えつつ、
「多分ですけど、名前でどれかわかるんじゃないかな」と半分くらい独り言のように話す。
「え、もうどれかわかったんですか?」驚いたように効いてくる響さん。
「1枚目の内海さん。内って入っているから、真ん中の2593じゃないかなと。」あまり自信なさげに言うと、
「あっ」と言いながら、尊敬のまなざしを向けつつ、
「確かに。ほかの人も前とか中が入ってますね。あれ、でも宮城さんは?あ、佑っていう字に右が入っている。」
赤いインクのボールペンでそれぞれの部分に〇をつけていく。
・株式会社シックスリング 内海哲人(うつみ てつと):06-2593-3541
・株式会社ビッグマイク 宮城佑(みやぎたすく):03-1357-9843
・有限会社ベジヘルス 前田竜太郎(まえだりゅうたろう):0123-88-4593
・株式会社HAU 中田 豪(なかた ごう):090-5641-2389
「では、この4つの数字の組み合わせ試せば答えがわかるはずですよね。」といって、響さんが目の前から順番にキーを打ち込んでいく。
入力が終わり、エンターを力いっぱい押す。そこで、響さんの表情が曇った。
「どうしました?」と聞くと、これを見てください。といって、パソコンのスクリーンが俺が見えるようにくるりと動かして見せた。
「入力可能なのは、あと一回です。」と出ている。
なるほど。
「つまり、キーはあってたんだと思います。だから、数打てないように注意がでた。」
と声が漏れる。ちょっと自分の口の端があがり、笑みがこぼれている自分を認識している。こういう難問は好きだ。
「気になるのは会社名ですか?」
とりあえず、4つの会社をそれぞれ自分のスマホでググってみる。が、特に何か順番を意味しそうなものは特に現れない。名刺の裏などにも気になる部分はなかった。
得意なはずだったのだが、、全然手がでない。
「この4枚の名刺カラフルですね」ぼそっという青年。この人のぼそっとは意外に重要だ。
「確かに、青、緑、オレンジ、最後は黒か」というと、
急に、「手帳を見せてください」と真面目な顔でいう。
「確か後半のほうに」といってページをめくる。
「あ、あった。うん。やっぱり。あ、そうか。」
納得したページを見つけ、それをこちらに見えるようにしながら
「このページ見てください。」といって漫画の切り抜きページを見せてくる。
有名な「わくわくすっぞ」ドラゴンボール、「 君が助けを求める顔してた」 の僕のヒーローアカデミア、「僕は影だ」の黒子のバスケの名シーンとジャンプでは人気のマンガの切り抜きがある。一番上にはよくわからない音楽の漫画。
「青、オレンジ、緑、黒。この4枚の名刺の会社ロゴと同じ色の種類なんです。これ一番上から、ブルージャイアントで青い星、ドラゴンボールといえば、オレンジ色のボール、ヒロアカの主人公の色は緑、黒子のバスケはそのまま黒がタイトルに入っています。。」と熱く語る。 マンガ好きって言ってたもんな。
「ちょっと強引すぎません?」と聞くと、
「そうなんですけど、いろいろヒントが入っているです。」と返事が返ってきた。
「ブルーは株式会社ビッグマイク宮城佑さん。ブルージャイアントってマンガの主人公は宮本大。宮とビッグは大。音楽でマイクを使いますし。」と熱心に話ている。
強引な気はするが、強引すぎるということはない。
「次が、有限会社ベジヘルスの前田竜太郎さんがドラゴンボールのオレンジ色のロゴです。」
「竜、ドラゴンか。ベジっていうのも」
「そうです。」と、わかりますよねって顔で返答が来た。
「3つ目の株式会社HAU中田豪さん。H(ヒーロー)=AU英雄だし、主人公たちの通っている学校名です。豪ってライバルの少年の名前でこのシーンで主人公が話しかけている名前です。」
「そして、最後が幻のシックスマンで始まるバスケマンガ。バスケのゴールってリングっていいますよね。」と会社名のシックスリングを指さしている。
「なるほど、これだけ全てが偶然には重ならないですね。
その順番で行ってみましょう。ここまで、解明してくれたのは響さんです。響さんが入れてください。」と入力をお願いする。
やや緊張した面持ちで入力を行う。隣の席に座り直して、入力を見守る、俺。
最後、入力完了ボタンを押すところで、響さんが止まる。
「自信満々に言っておいて、間違っていたらすいません。」自信があるのか、ないのかわからない声だ。
「ダイジョブです。ここまで来たら、自分たちを信じましょう」と、肩に手おいて、応援する
「行きます」一度深呼吸をして、マウスカーソルを動かして、入力完了ボタンを押した。
つづきはこちら
手帳ミステリ SOSEIの手帳10|Rukawa.Nagamasa (note.com)
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