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小説 万テチョライフでレベルアップ~よりそう Season2 ~ 37
アイデアは面白いと言ってくれた。だけど、実際ビジネスとしてスケール(十分が売り上げや利益を確保できるのかという)視点ではやや厳しいと。
たしかにそこはあまり考えていなかった。
「単価を上げればいいんですよね。最初にたくさんとるみたいな感じで、慣らせば上がってるみたいなものでも。」 赤杉先輩がどんより気味の場に明るい声で話しかける。
「何がある?」部長が促すと
「昨日、雲川が言っていた手帳はどうですか?今、手帳って結構値段上がってきていて、3000円から5000円くらいのものが結構売れているじゃないですか、部長や雲川が使っているシステム手帳とかなら1万円越えもあるし。1.5万くらいの革の手帳とかをベースにすれば1年償却と考えても月単価1500円くらいに上がりますよ。」
さっき書き込んでいたのはそういうことだったのかもしれない。
「オフラインを大事にするためにオンラインを自動化というアイディアはすごく面白いとおもったし、オフラインを充実させる部分に追加の付加価値を付けるのはすごくいい。ハードを着けるというアイディアもいいな。」
ちょっといけそうな気がしてきた。みんなもそう思っている。
「坂本さんの家族生活の中で集中時間を作るみたいなものもいいですね。特に子供が小さいお母さんは一人の時間をほとんど作れないですし」みんなのフォローも忘れない部長はさすがだ。
「ちょっとこのアイディアをもう少し具体化させてみるか」部長の一言にみんな大きくうなずいてくれた。
ちょっと武者震いを感じながら、わなわなしていると、それに気づいた部長が、
「さ、発起人の雲川。今日の最後に、このプロジェクトのコードネーム決めてくれ。」
は、はい? コードネーム。
「秘密ぽくて、分かりやすい奴。」からかうように言う赤杉先輩。
そ、そんなー。思わず目を自分の手元に落とす。いつもの手帳ときらりと光る万年筆。それを見て
「ペリカンなんてどうですか?」ちょっと
「ペリカン? 」 部長以外がきょとんとしている。
「俺の万年筆のブランドなんですけど」自信なさげに答えたが。
「よし、それでいこう」部長が言ってくれた。
な「プロジェクトペリカンだ。」そこで今日は解散した。
なんかスムーズすぎるくらい順調に進んでしまった。不安とワクワクが同じくらいで心臓がバクバクしてる。みんなが席を立っていく中、少し遅れて席を立つと、
肩に部長の手が置かれた。
「雲川、ありがとな。いいアイデアだった。」
「ありがとうございます。先輩たちのフォローのおかげです。やっぱりみんな頭の回転が早くて。置いていかれないように頑張ります。」
アイデアを膨らませて形にする。簡単なようでかなり難しいことを知った。