小説 万テチョライフでレベルアップ~よりそう Season2 ~ 36
昨日大分遅くまで準備して作った企画書。それを新規プロジェクトのメンバーに見てもらっている。
読んでくれている4人の一挙手一投足がすごく気になる。
ちなみに書いた内容は大きく2種類。共通しているテーマは『フォーカス』
一人一人の個人用のフォーカスを支援するというものと企業の事業フォーカスを支援するもの。前者は集中力を上げる。後者、事業に集中できるようにする。最初は個人をターゲットに、それを企業まで広げていくというモデルを考えた。
このオンラインの時代にあえてアナログでオフラインを作ることを前提にオンラインのことを自動化し、安心してオフライン時間で集中するというもの。オンライン自動化というのは、情報収集、情報返答、情報アウトプット(予約で返答、送信などを行うもの)の組み合わせと、オフライン時間のお知らせ。ポモドーロテクニックができたり、集中の音楽を流したりというサポート的な要素もある。ソーシャルゲームのレベル上げなども入れたかったのだが、アイデア程度にしか入れていない。
自分で作っていて面白いなと思ったのは、「完全なオフラインを作るためにはオンラインを代行させるシステムが必要な今」という時代。
最初に読み終わった東郷先輩は腕組みをしたまま、目をつぶって頭を下げて考え込んでしまった。
次に読み終わった出海部長は同じく腕を組んだまま、顔を上げ、屋根を見ながら考えこんでいる。
赤杉先輩は何か書きこんでいた。
「おもしろいと思います。家事代行とか子育て支援みたいなものを足していく可能性を含めて、最近、人は集中できる時間を失い過ぎていると思います。」
新メンバーの坂本さんが最初に声を上げてくれた。
「そうですよね。目の付け所がいいですよね。」続けてくれる赤杉先輩。
「若手の社会人とか受験生みたいなところを最初のターゲットにするかと考えていましたが、確かにかなり広い世代を狙えるかもしれないですね。」なるほどと付け加える東郷先輩。
「もし現実にこのサービスがあったとして、君たちはどれくらいの金額なら毎月払える?」ここで部長が声を上げた。
「そうなんですよね。」東郷先輩が続ける。
「最初は500円くらいかなと想定していました。」ちょっと声のトーンが落ちている。
「学生+若手社会人みたいな感じだとせいぜいターゲットは500万人いるかどうか、10%取れても50万人に500円じゃ月2億そこそこなんですよ。このシステム作って運用するとペイするかなと考えていました。」
わかりやすく説明してくれる東郷先輩。さすがだ。赤杉先輩が言っていた磨けばって言ってたのはこのあたりなのかもしれない。
ちょっと行けるかもと思っていた雰囲気が怪しくなってきた。