小説 万テチョライフでレベルアップ~よりそう Season2 ~ 12
昨日は急にいろいろなことが起こった。新しいプロジェクトに誘われ、新しい小さな手帳をゲットし、結城さんと一緒にご飯を食べて帰ってきた。
何かが動き出した気がする。新しい一歩だ。
一夜明け、朝はいつも通り始まる。7時頃、カフェ「キムン」の扉を開けて、マスターに挨拶。いつものように、モーニングセットを注文、支払いを済ませていつもの席へ。いつものように、マスターが持ってきてくれるまでの少しの時間、いつものように手帳を開く。
いつものように手帳には、赤みがかった文字で
「今日、一番やりたいことは?」と質問が書いてある。
いつもと違ったのは、、、「ページの一番下に、今日一番のトライは?」と書いてあったことだ。
1番のトライ? なんだろう。今日、なんかトライすることあったかなと思い返してみるが、、、特になく。。
「はい、いつものお待ち。」いつものやさしい声でマスターがトーストとコーヒーのセットを運んできてくれる。本当にこの人は、話しかけるタイミングがうまい。話しかけたいタイミングで話しかけてくれる。
「あ、ありがとうございます。」トーストのセットを受け取ったあと、手帳を見せる。
「なるほど。また一歩進んだみたいじゃないか?」はにかみながら言うマスター。
「えっ?どういうことですか?」よくわからず聞き返す、おれ。
「どんな環境の変化があったのかわからんが、何かトライしろってことだろ。1日1トライ。ラグビーみたいだな。」そう言いながらマスターは戻っていってしまった・・・
1日1トライ。
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「おはようございます。」いつものように会社に入っていくと、隣の席の先輩が周りをちらちらと見回しながら、自分の方に顔を寄せて、聞いてきた。
「昨日、部長とどこ行ってたんだ?」
「えっ、なんで知っているんですか?」思わず大きい声を上げてしまう、おれと。そして、周りを気にする先輩。
「結構、有名だったぞ。」
そうだったのかぁ。俺もびっくりしたけど、周りの人もびっくりしてた見たいだ。
「ちょっと会議室行きません。」そう言って先輩を近くの会議室へといざなう。昨日会ったことをそのまま伝えると、
「おお、そうだったんだ。すげーじゃん」と先輩に声をかけられた。
「お前は知らなかったかもしれないけど、部長って転職の噂とかもあっ他らしくて、それでお前を誘ったりしてたから、会社のメンバーを引き連れてどこかの会社行くんじゃないかって話もあったみたいだぞ」と教えてくれた。
えええええ。そんな噂が。。
驚いた顔をしていると
「お前もわかってると思うけど、やっぱり部長はうちの中でもかなり優秀だろ。ヘッドハンターや競合からもいろんな人から目を着けられているらしい。
そっか、その部長を引き留める方法が新規プロジェクトで社内分社化みたいな形だったのかもな。がんばれよ。」そういって、先輩は会議室を出て行った。
先輩だって部長にあこがれていたはずだから、誘ってもらっていたら間違いなくOKをしていただろう。先輩だって、中堅の社員の中では優秀だからチームに穴をあけられないので声を書けらなかったに違いない。
悔しさとかもあるはずなのに、頑張れと声をかけてくれた。
みんなの気持ちも背負って、頑張っていくぞと心に決めた朝だった。
今日の画像は今回のテーマ 『新しい一歩』にちなんで、今回の画像を選ばせていただきました。