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小説 万テチョライフでレベルアップ~よりそう Season2 ~ 26

新規事業のメンバーで入った新しいカフェ。
そこでおれの手帳の使い方を話した。

「なるほどな。一番大切な一つのことにフォーカスするみたいなもんか。」

まとめるのが上手な赤杉先輩。

「ご褒美的なものとか、目標みたいなものの差はあれどな」 東郷先輩も続く。

「そういえば、部長もよくシステム手帳見たり書いたりしてますよね。」話のフリもさすがだ。

「そうだな。」部長も一呼吸を置いて

「俺は逆に全部書く派なんだよな。仕事もプライベートもこれ一冊に全部入れたくて」

「それ凄いわ借ります.どこに行ったか探すのがいちばつらい」と、俺も相槌を打つ。

「東郷もノートみたいなの会社で持ち歩いてなかった?」と
赤杉先輩。やっぱりこの二人仲いいんだろうな。だんだん口調がため口になってきている

「うん。PC立ち上げるよりすぐ書きたい時あるから。
お前は全部PC派だよな。」東郷先輩も赤杉先輩も周りをよく見ているんだろう。

「そうだなー。さっきの雲川の話じゃないけど。探しやすいからさ」と

「だいたいお前の頭の中に入ってるだろ。」と茶化す東郷先輩。

「数字関係はな。でも問い合わせとかはすぐ抜ける。」と真面目に答える赤杉先輩。 ほんとなのか。。。などなどそんな話を幾つか続けた後、

東郷先輩が、

「とは言っても、うちで手帳事業するわけにはいかないっすよね。」
と言って天井を仰ぐ、

「もう十分レッドオーシャンだよなー。」と赤杉先輩も続く。

「そうだな。少なくとも単発の手帳事業はないな。」と部長も続いた。

そうですよねーと、心で相槌を打っていたのだが、

「単発じゃない事業ならありだと?」と、赤杉先輩から質問が飛ぶ。

「まだ可能性の話だけどな。」

少しの沈黙。

「まだ、フワッとしたイメージだが、何かを達成したい欲は、個人も企業もあるわけだろ。
そこの支援の一つの形として手帳を使うスタイルはありかもなって言う感覚はある。

デジタルって言う流れに逆行すると言うか。デジタルに足りない部分を補完するみたいなものなのかもしれないが。」
 

部長にしては珍しく、自信なさそうと言うか、いつもの安定感とは違う、だけどなんか楽しそうな声だ。

自分の手帳に目を落とし、ペンホルダーについているペリカンの万年筆を見る。

キラリと光るペンクリップと天冠を見ながら、
「物理の良いところって、なんか集中できることな気がするんですよ」ぼそっといった独り言に、

みんながみんなハッと顔を上げてこっちを睨んだ。



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