【選挙観察】佐田は38%ー2020/02/09 前橋市長選挙ー
予想外の出馬
見に行く選挙は基本的に「休日おでかけパスで行ける範囲内」ということにしているので、神保原から先、つまり群馬県内の選挙についてはよっぽど面白そうなものでなければスルーするつもりなのだが、今回の前橋市長選挙はスルーできなかった。
今回の前橋市長選挙は現職の山本龍、元群馬県議の岩上憲司、さらに元衆議院議員で大臣経験者でもある佐田玄一郎と自民系の候補が3名立候補するという保守分裂となったうえに、特定の党派の支持を受けない元前橋市議の中島資浩、共産党系も元前橋市議で何度も国政選挙に出馬の経験もある店橋世津子も立候補し、5名という人数でも市長選挙の立候補者数としては多いほうであったが、告示日になり事前に立候補の意向を明らかにしていなかった元みどり市議の海老根篤が立候補の届出を行い6名の選挙戦となった。
保守分裂でその中の1人が佐田玄一郎という事だけでも注目に値する選挙であったが、海老根篤が立候補ということでさらに見に行かなければいけないという思いに駆られることになった。
「元衆議院議員の佐田玄一郎はともかく海老根篤って誰?」と思っている人は多いのではないだろうか。海老根篤とは2011年の群馬県知事選挙をはじめとして群馬県内の色々な自治体の選挙に出馬しまくって落選しまくっていた群馬を代表するインディーズ候補なのだ。そして他のインディーズ候補と違うのが2015年のみどり市議会議員選挙で当選し、議会では色々と波乱も起こしながらも市議として1期務めた経験があるというところだ。
任期満了後の2019年のみどり市議選に2期目を目指して挑戦したものの落選し、その後は音沙汰がなかったが今回突如として前橋市長選挙に出馬することになり、存在を改めて認識させられると同時にこれは海老根篤を生で見ることができるチャンスなのではないかと思い、選挙戦最終日の2月8日に前橋に向かうことにした。
令和最新版 海老根事務所
前橋に向かうその前に、前出の通り海老根氏は元みどり市議ということで今回の選挙でも事務所はみどり市に構えている。ということでみどり市にある海老根事務所に向かうことにした。
浅草から東武鉄道を乗り継ぎ、終点の赤城駅へ、そこから歩いてほどなくすると、周囲ののどかな雰囲気からしたら異様なオーラを放つ建物が見えてきます。
事前にGoogleストリートビューで予習していたこともあり、驚きというよりは生で見ることができたという感動の方が大きい。むしろストリートビューで見ることができる写真より落ち着いている。
ストリートビューでは確認することができなかった最新の変化としてはれいわ新選組のポスターが貼られていたことだろう。
ここにあまり長居しても仕方ないので赤城駅に戻り上毛電鉄で前橋に向かう。
50%と38%
16時すぎに中央前橋駅に到着。さっそく駅前のポスター掲示場をチェックする。しかし、海老根篤のポスターだけ貼られていない。
前橋市議補選の方は全部貼られていた。N国は白背景の女性候補仕様のものだ。
中央前橋駅から商店街などを通り前橋市役所の方へ向かうも、前橋市役所の前の掲示場にも貼られていない。さらに進み群馬県庁の前の掲示場にてやっと海老根篤のポスターを発見。少なくとも市内で全く活動をしていないというわけではないことを確認して安堵する。しかしポスターの貼っている掲示場はかなり限られているようだ。貼る貼らないの法則性はよく分からない。
前橋駅前のポスター掲示場にも貼られていた。この掲示場は車道に向いていて貼るのが大変だと思うのだが・・・
前橋市街に到着してしばらく歩いたものの候補者の演説にはなかなか出くわさない。最初に遭遇したのは市議補選の吉田候補だった。
カメラを向けたら気づいて手を振ってくれたが実にいい笑顔である。
前橋駅前でも現職の山本候補の陣営らしき人が準備をしているが、場所取りを始めたばかりのようで実際に始まるまでにはもう少し時間がかかりそう。駅前には他の候補者がいる様子がなかったため、駅近くにあるショッピングモールけやきウォークの方に向かって歩いていたところで市議補選のN国の前田候補の車に遭遇する。
けやきウォークの方でも誰もやっていなかったため前橋駅に戻っていく途中で山本候補の車とすれ違う。こちらもカメラに気づいて反応してくれた。
18時から山本陣営が駅前での最後となる打ち上げ演説を行うということで15分ほど待機。しばらくすると先ほどすれ違った車が駅前にやってきた。
打ち上げ演説は、応援の国会議員の演説から始まった。保守分裂ということで自民党としては特定の候補を推していないが尾身朝子先生と上野宏史先生が駆けつけていた。
その後、県議や市議の方々の挨拶が続く
満を持して山本候補の演説。ただ、打ち上げ演説ということで具体的な政策の話というよりは簡単な挨拶程度のもので時間としてもかなり短いものだった。
この写真では分かりにくいが喋っているうちに熱が入るのか喋りはじめは選挙カーの目の前に立っていたのが、かなり前へ前へと歩み寄ってきていた。
その後にはご家族が登場されて改めて支援を訴ええて、最後にはコールを行いおしまい。
山本候補の演説を見終わった後、埼玉県美里町議のあらい英行氏( @araihideyuki88 )と合流。車を運転していただいけるということなので(ありがとうございます)、駅以外のところに向かうことができることにななった。だが他の候補の動きがよく分からない。特に海老根篤はリアルタイムの情報発信をしているはずもなく追いようが無い。偶然の出会いに期待するしかない。仕方ないので佐田事務所のある郊外のほうに向かい佐田玄一郎ワンチャンを狙うことにした。
佐田玄一郎の地盤となる地域でしばらく走っていると選挙カーらしき音が聞こえてきたので、聞こえた方向に進むも逃してしまうということもあったりしたが、他の候補の姿も特に見つけられないまま活動終了の20時まで残り30分を切ったため、あてもなく走るのは諦めて、佐田玄一郎事務所に行ってビラだけでも貰って帰る方針に変える。
事務所に入り受付のところでビラをいただく。スタッフの方に「ビラ、よかったら2,3枚ください」と言ったところ数えるのが面倒くさかったのか、かなりの枚数をくれた。あとで数えたら15枚もあった。
そのまま帰ろうかと思ったが、最終的に20時を過ぎたら選挙カーをまわし終えた佐田陣営が事務所に戻ってくるだろうということで事務所の前で少し待つことにした。そうしていたら事務所から出てきていたスタッフの方と話しているうちに「外じゃ寒いから中へどうぞ」ということになり、申し訳ないため一度は断ったものの「遠慮せずにどうぞ」とこれ以上断るのも悪いので事務所内で待たせていただくことになった。
事務所にはこの後行われるであろう打ち上げ式に備えているだろう10名ほどの方がいた。その方々の年齢層は高めで、聞こえてくる会話の感じと色々な状況から判断するに議長経験もあるような元市議の方もいるようだ。
で、そんな重鎮がたくさん居る部屋に放りこまれてしまったただの野次馬は「この若いのは何者なんだ?」という視線を集め、首から一眼レフを下げていたということもあり、どこかのメディアの人と思われて「情勢はどんな感じ?期日前投票率はどれくらい?」といったことを訊かれ、その度にお茶を濁したり、肩身が狭い感じで過ごしていた。
そんな状況の中、事務所内の壁に貼られた為書きをチェックする。小渕優子、井野俊郎、笹川博義・・・ここら辺は群馬県関係者だな。新藤義孝、渡辺博道、秋葉賢也、石井浩郎、松村祥史・・・?このあたりは国会議員時代のつながりか?(後で調べたら全員所属していた平成研究会のつながりでした。)団体や地方議員の為書きは少ないなぁ。やっぱり厳しい感じなのかな・・・
そんな事を思っていたら、重鎮の中でもトークの中心になっていた人がこんなことを言う「今朝の時点で現職の山本が50%で、佐田は38%まで追い上げてきた。今日と明日の電話作戦で十分逆転もいける。一方、岩上は勢いが落ちてきている。」と
事前に私が見聞きした新聞などの情勢調査では現職と保守分裂のもう一人岩上候補が激しく争っていて、佐田はそこまで支持が広がっておらず3番手か4番手ということだったので、大分状況が異なることになる。一体どういうことだ?
まず思ったのはその場にいる運動員や支持者の士気を下げないためにハッタリをかましているのではないかということだ。しかし、それにしては38%とやけに数字が細かく出ている。ハッタリなら「4割」だとかざっくりとした感じでいいはずだ。もしかして本当に追い上げているのか・・・?そもそもどこの誰が調べた情報なんだ・・・?などと考えているうちに20時数分前になったので事務所の外に出て佐田候補を出迎える。
翌日投開票された結果は現職の山本龍が岩上憲司らとの激しい争いを制して3回目の当選を果たした。38%まで追い上げていたはずの佐田玄一郎は2番手につけるどころか6候補中5番目の得票数で得票率6.4%と供託金返還もされないほどの惨敗に終わった。38%ってどこから出た数字なんだ・・・
ちなみに海老根篤の得票数は277(得票率0.2%)だった。