中学入試と公教育の衰退
中学校と高校を併設する私立学校において、入試は一大イベントである。
特に中学受験は、そのし烈さを年々増しているようにも見える。
私の勤務校でも2月1日を皮切りに中学入試が始まった。
今年は例年以上に受験者が集まり、特に数学科と国語科の教員は馬車馬のように働かされている。
私が小学生のとき(もう20年以上前)は中学受験をする子なんてほんの一握りであった。
地域にもよるが、現在は小学生の4割は中学受験をする時代となっている。(港区や文京区では6~7割が中学受験をするらしい)
今や中学受験はビジネスチャンスと言えよう。
学校側はもちろん、特に塾における需要はとにかく高い。少子化と言われる時代ではあるが、教育にかけるお金は変わっていない。とにかく親は私立中学校に入れたい。
中学受験の塾は、小3の終わりから入れるのが一般的らしい。
そこから2〜3年かけて中学受験勉強を完成させるようだ。
算数にフォーカスすると、中学入試算数はかなり特殊だ。
特殊算や図形問題など、正直かなり難しい。
もうx,y導入してもよくね?
三平方の定理使ってもよくね?
sin,cos,tan使おうぜ。
作問するにも勉強が必要だ。
これらを3年で詰め込む小学生には脱帽だ。
ただ、言ってしまえば私立中学校なんて選ばなければどこでも入れるの事実である。
経営難の学校は生徒集めが早急の課題であり、あの手この手で躍起になって募集をかけている。
そもそも私立中学校に行かなければならない理由とは何だろう?
私立に行きたいというか、公立に行きたくないと言った方が正確な表現かもしれない。
公立学校の教員採用試験の倍率は年々減少している。
信じられない倍率で教員になれてしまうのが当たり前のように全国で起こっている。
低倍率の試験ということは、その分誰でも教員になれる時代ということだ。
正直私も今の勤務校に愛想を尽かしたら公立受けて適当に教師続けようかなと思っている。
教育の質の低下は国の衰退を意味する。
教育に金をかけない国は必ず滅びる。
私立学校側の人間としては、公立学校の衰退はそれこそビジネスチャンスであるため正直おあつらえ向きである。
しかし、一人の教育者として、現状を見過ごせないというのもある。
子どもたちの笑顔や成長が国の未来につながっている。
それを理解していないこの国に未来はない。