【書き出し紹介】 海街マリアは春を待つ ~neige couleur de lune~ 【年末特別編】
あらすじ
プロローグ: きょうかいのしょうじょ
冷静にあの時の事を思い返してみれば、あの光景はやはりいつもと違っていた。
ただひたすらに、呆れ果ててしまうくらいに、いつも通りの日常だった。
だからこそ、俺はその事実に気付くことができなかった。
☆
「……寒っ」
学校の玄関を出た直後、俺の口からそんな言葉が出て行った。
初雪の便りが来て以来となった今日の雪は、節度を良く守った降り方とでも言える程度で幾分かおとなしい。
温泉地と