
【パース滞在に向けて】コロナ禍に海外に渡航するリスクの理解と下準備
自分がコロナにかかったついでと言ってはなんですが、最近ニュース等でよく取り上げられているトピックについて話してみようと思います。それは『コロナ禍に海外に渡航する際のリスク』についてです。
世界の多くの国々では入国制限が大分緩和されてきており、日本からも海外に出かけて行く人達が増えてきたようですね。私も10月にパースに帰る予定を立てていますが、オーストラリアでもPCRの陰性証明やワクチン接種証明などの提出は既に廃止されているので、『オーストラリアへの入国』に関しては簡単にできるようになりました。
しかし、『日本への入国/帰国』に関しては、日本政府が未だ『出国前72時間以内にPCR検査を受け、陰性証明を入国時に提示すること』を義務付けています(2022年8月24日現在有効)。よって、渡航先でPCR検査の結果が陽性だった場合、飛行機に搭乗させてもらえなくなります。
どうもこの72時間以内のPCR検査について楽観的に捉えている方が多いようで、いざ現地で検査を受けたら『コロナの陽性反応が出てしまい日本に帰国できなくなった』『追加で20万~30万の出費があった』というケースが多発しているようなのです。
『出国前72時間以内のPCR検査の陰性証明』が水際対策として意味のあることなのかどうかという議論はさておき(個人的にはもはや意味のない政策だと思ってますが)、現行はそういうルールで日本が動いているわけですから、それをきちんと考慮した上で旅程や予算を組む必要がありますよね。
渡航先で陽性反応が出てしまった場合の問題点
では、渡航先で陽性反応が出てしまった場合、渡航者は一体どんな問題に直面することになるのでしょうか。テレビやYouTubeでも頻繁に取り上げられていますが、主に下記のような事象が挙げられるのではないかと思います。
①何をどうするべきか分からない/情報が無い
自分が陽性になることを考慮していなかった場合、まずは『何をどうするべきか分からない』という状況に陥るかと思います。
陽性になってまず知りたいことは『渡航先でコロナ陽性になった場合の規定(現地ルール)』と『日本入国のための条件(日本ルール)』でしょう。より噛み砕いて言うと、医師による診察が必要なのか、それとも指示された期間隔離生活を送るだけで良いのか。宿泊先は同じ場所の延長になるのか、現地で新たに指示されるのか、それとも自分で手配するのか。日本に入国(帰国)するためには陰性になるまでひたすらPCR検査を受け続けなければならないのか、それとも別の方法があるのか… などなどです。
瞬時にこのような情報が必要になるわけですが、土地勘も無く言語の壁もあるとなると、情報を集めるだけで余計なコスト(時間的、経済的、精神的)がかかります。さらに、日本入国の条件の理解が不十分だと、無駄にPCR検査を受け続けなければならなかったり、延泊代が重くのしかかってきたりします。
②療養期間中の宿泊場所が見つからない
渡航先で一定期間の隔離が必要になった場合、隔離中の宿泊場所を自分で手配しなければならないこともあるでしょう(注:渡航先によってガイドラインは異なる)。その場合、自分の条件にあった宿泊場所を簡単に見つけられるかどうか分かりません。また、コロナ陽性者であることを伝えたら宿泊を拒否されたという話もチラホラ耳にするので、そうなると尚更選択肢が狭まります。
③療養期間中の宿泊費や食費、フライト変更料が高額になる
例えば、現地ルールで7日間の隔離期間が必要な場合、その分の宿泊費や食費が余計にかかります。また、希望のフライトが取れないこともあるでしょうし、日本帰国に必要な書類がスムーズに取れないこともあるでしょう。そうなると、滞在期間を更に延ばさないといけなくなる可能性も出てきます。
物価の安い国ならまだしも、物価が日本より格段に高い国だと、追加の宿泊費や食費だけで数十万はかかってしまいます。しかも今は円安ですから、滞在延長による経済的負担はかなりのものになるでしょう。
フライトの変更に関しても同じことが言えます。日程重視で予約を取ろうとすると、やはり出費は高額になります。
④高額な治療費・入院費がかかる場合もある
無症状や軽症の方には当てはまらないかもしれませんが、万が一、医師による診察や治療、入院が必要になったりしたら、高額な医療費が発生します。これも渡航先によって、とんでもない高額になります。
⑤日本での仕事を休まないといけなくなる
会社や取引先に、『海外旅行先でコロナになり、帰国できません』と報告しなければならないのは、精神的になかなか辛いものがありますよね。自営業だったり時間給の仕事をされている場合は、収入面にも直接影響が出てしまいます。
⑥療養中にVISAが切れる
療養中に滞在ビザが切れてしまい、オーバーステイになってしまうというケースも聞いたことがあります。
最悪の状況を見越して準備をしておく
渡航中にコロナにかからなければそれが一番良いのでしょうが、残念ながら、必ずしも結果がそうなるとは限りません。そして渡航先で陽性になってしまった場合、経済的・精神的・社会的に受けるダメージはかなり大きいです。
渡航を計画する際は、ワーストケースシナリオ(最悪の状況)も念頭に置いた上で渡航の是非を決める必要がありますし、実際に渡航するならば、出発前にある程度の下準備をしておく必要もあると考えます。そうすることで、『想定外』のダメージを最小限にすることができるでしょう。
では、事前にどのような準備をしておけば良いのでしょうか。自分の経験や知識をもとに下記にまとめてみましたので、参考までにご覧いただければと思います。
※こうすれば絶対大丈夫という事ではありませんので、そこはご理解下さい。
①72時間前のPCR検査が受けれる場所を調べておく
これに関しては、さすがに情報収集して渡航する人がほとんどだと思いますが、一応書いておきます。場所や営業時間の確認はもとより、予約が必要かどうか、支払いの方法は、ドライブスルーじゃないかどうか(旅行者の多くは車が無いと思うので)、結果はいつどのように届くのか等もしっかりと確認しておく必要があります。
厚生労働省のウェブサイトによれば、必須項目さえ網羅していれば、証明書の様式自体に指定は無いようです。しかし、空港でトラブルが無いわけではないようなので、日本政府が用意しているフォーマットに記入してくれる医療機関だと後々面倒が無くて良いです。
②渡航先の隔離期間や規定を調べておく
これは現地でコロナになってからではなく、海外渡航を計画する段階でしっかりと確認しておくべき事だと考えます。渡航先には渡航先のガイドラインがありますので、陽性になった場合の流れを、現地の公式な機関や日本大使館(又は領事館)で事前に確認しておくのが賢明です。流れを理解すると、万が一の時にかかるであろう費用の計算もできますから、それをもとにスケジュールを立てたり予算を組んだりできます。
③陽性後の帰国条件を調べておく
これに関しても、海外渡航を計画する段階で確認するべきだと考えます。基本的に、PCR検査で陰性になったら帰国することはできます。しかし、実際のところ、一度コロナで陽性になると、再び陰性になるまではかなりの時間を要します。陰性が出るまでひたすらPCR検査を繰り返すのも一つの手ではありますが、それではフライトもなかなか予約できませんし、時間も費用もかかり過ぎてしまいます。
最近では、医師による診断を経て、日本大使館(又は領事館)で『領事レター』を発行してもらうこともできるようですので、自分の渡航先の日本大使館で、事前に手続きの流れを確認しておくと良いでしょう。また現地でお世話になれそうな医療機関(日本語が通じれば尚良し)も事前に調べておくことをお勧めします。
④陽性になった場合の療養先や食料調達方法について目星をつけておく
渡航先によっては、陽性が判明した際に宿泊していたホテルにそのまま隔離されるケースもあるみたいですし(高級ホテルに宿泊していたりなんかしたら、めちゃくちゃお金かかりますね!)、自分で新たに療養場所を見つけなければならないケースも多いかと思います。いずれの場合であっても、自分が陽性になったらどうしなければならないのか事前にリサーチしておくことが必要です。その上で、療養しやすそうな宿泊施設をいくつかリストアップしておくと良いかもしれません。しかし、中には陽性者の宿泊を拒否するホテルもあるみたいですので注意は必要です。
食事に関しても自己手配になることが多いでしょう。宿泊施設に小さなキッチンがついていればネットで材料を買って自炊することもできるかもしれませんが、異国の地ではなかなか思い通りにならないこともあるでしょう。一般的なホテルに宿泊する場合だと、Uber Eatsやホテルのルームサービスに頼ることになるかと思いますが、物価の高い国だとかなりの出費です。ホテルに隔離状態になった場合、どういった方法で食料を調達するのか、費用はどのくらいかかるのか、支払いはどのようにするのか(クレジットカードの上限設定はオーバーしないか)、ある程度目星をつけておく必要があります。
⑤海外旅行保険の内容を把握しておく
渡航先で陽性になった場合、海外旅行保険でどこまでカバーしてもらえるのか事前に確認しておくことが必要です。コロナ過の海外渡航において、これは本当に大事です。治療費や入院費、ホテル等の隔離費用やフライト変更費用などをカバーしてくれる保険は結構あるようなので、そういった保険を選ぶのが賢明かと思います。また、申請に必要な書類(医師による陽性証明書など)や手続きの仕方も事前に確認しておくと、後々スムーズでしょう。
⑥陽性になった場合を想定して、一連の手続きに対応できるかどうか考える
大事なのは、自分が渡航先で陽性になった場合、一連の手続きを自分で行うことができるかどうかということです。一般の旅行者の場合、土地勘が無く、現地情報にも乏しいのが当たり前です。加えて言葉の壁もあるでしょう。無症状の場合ならまだしも、症状が出て苦しい中でこれらの手続きを一度に行うには相当のエネルギーが必要です。異国で受ける経済的・精神的ダメージははかりしれません。
一方で、『大丈夫!私は陽性になっても自分で何とかできるよ!』という方に関しては、それはそれで良いかと思います。
しかし、この部分を見誤ると結構大変な経験をすることになると思いますので、最悪の状態に対応不可能だと感じた方は、無理せず、渡航は延期するかキャンセルするのが無難かと思います。
私の渡航におけるリスクについて
ここまで、コロナ禍での海外渡航についてのリスクを散々唱えてきましたが、そんな私も10月にオーストラリアのパースに行きます!!(笑)
もちろん、全てのリスクを理解した上での渡航です。といいますか、私のケースは一般的な海外旅行とは異なるので、万が一、現地で陽性になったとしても、実は大したダメージを受けません。むしろ現地の勝手が分かっている分、日本で陽性になるよりストレスは少ないとも言えます。それでも、『自分がパースで陽性になった場合にはこうする!』というプランをちゃんと立てた上で、手配を進めています。
参考までに、私がパースで陽性になった場合どうなるのか、簡単に紹介しておきますね(2022年8月24日現在)。
①PCR検査場所・手続き
PCR検査に関しては、去年パースから日本に帰国しているので経験済みです。去年は予約が必要だったり、日本語医療センターというところで診察を受けたりしなければなりませんでしたが、今は直接検査会場でPCR検査を受けることができるそうで、前より楽になった印象です。PCR検査の場所や手続きに関しては、『日本語医療センター パース』というところで案内を出していますので、そちらを参考にされるのが良いかと思います。
②陽性になった場合のガイドライン(西オーストラリア州)
Department of Health が陽性になった場合のガイドラインをウェブサイトで公開していますので、そちらを参考にするのが良いかと思います。個人手配旅行でかつ英語に抵抗のある方は、日本大使館や領事館に確認をとってみるのも良いかもしれませんね。
Department of Healthによると、西オーストラリア州でコロナ陽性になった場合、無症状や軽症の場合は、基本的には7日間の隔離(隔離場所は自分で手配)で済むようです。私のパートナーも数カ月前にコロナになりましたが、7日間の療養後は問題なく仕事に復帰してました。
※ガイドラインの本文はDepartment of Health のウェブサイトで確認下さい
症状がひどく診察や治療をして欲しいと思ったら、もちろん医療機関やヘルプラインに相談して、診察してもらうこともできます。また、重症の症状が見られる場合には、救急サービス(000)に連絡することもできます。
軽症以下の人は、7日間が経過し、症状がなくなっていれば隔離は終了となります。
③陽性後の帰国条件
再度PCRを受けて陰性が出れば問題なく帰れます。しかし、陽性反応が続く場合も往々にしてあります。その場合は、陰性でなくても日本に入国できるよう『領事レター』を申請することができます。パースにある日本領事館のウェブサイトで、必要書類などの詳細を確認することができますので、そちらを参考にするのが良いでしょう。
ここで注意が必要なのはフライトの曜日です。『領事レター』を申請するためには、『医師による診察』と『領事館への連絡』が必要になります。特に公的機関は週末は稼働しませんので、日曜や月曜のフライトは避けた方が無難です。
④宿泊場所・食事の調達
これに関しては、私はパートナーの家に滞在するため、心配する必要がありません。オフィスとして使っている部屋もあるので、最悪、そこで隔離してもらうことができます。
⑤陽性になった場合の経済的負担
宿泊費や食費に関しては、前述の通り、特別かかりません。
海外旅行保険には加入していくので、フライトの変更費用や医療費も、全額ではないにせよカバーはされるでしょう。一応、オーストラリアドルも持っているので、円安の影響も受けません。
⑥日本での仕事
訳あって、今は単発的にしか働いていないので、コロナで直ぐ帰国できなくても社会的には問題がありません。何なら、ビザが許す限り滞在できます。
このように、私の今回の渡航はリスクがあまりありません。でもそれは、私にとってパースがホーム的存在であり、今回の渡航が一般的な海外旅行とは異なるものだからです。
これが一般的な海外旅行だった場合、コロナ陽性になった際のリスクは前述の通り高いものとなります。海外旅行を検討している方は、その点を十分に考慮し、しっかりと下準備をした上で渡航されることをお勧めします。
最期に、渡航先のコロナに関するガイドラインですが、こちらも常に変化しています。渡航を決めた場合は、常に最新の情報を手に入れられるよう、アンテナを張っておく必要があります。
コロナ禍とは言え、せっかくの海外旅行ですから、下準備をしっかりして素敵な時間を楽しめると良いですね!